映画『サバカン SABAKAN』ANCHOR×金沢知樹監督 特別対談 主題歌「キズナ feat. りりあ。」制作秘話と伝えたいメッセージ
『サバカン SABAKAN』は「一番身近な昔話」
――今回はORANGE RANGEさんのカバーなのでANCHORさんは作曲されていませんが、そういうフォークソングや歌謡曲のメロディは、ANCHORさんの音楽のルーツとしてあるものなんですか?
ANCHOR:完全にあります! 僕は、松任谷由実さんと井上陽水さんからの影響がすごく大きくて、そのルーツにはフォークソングがあって。実際に僕もフォークソングが好きなので、やっぱりそこはつながっているんだなって。編曲する時ついアコギを使いたくなってしまうのも、そういう影響があるのかもしれないです。
金沢:井上陽水さん、お好きなんですね。
ANCHOR:僕はもともとゲーマーで、『ぼくのなつやすみ』というシリーズが大好きだったんですけど、そのゲームで流れるのが井上陽水さんの「少年時代」なんですね。それで先ほど『サバカンSABAKAN』を観た印象を「ファンタジーみたい」と表現しましたけど、それは『ぼくのなつやすみ』というゲームで観た景色が、リアルになって目の前にあるみたいなイメージを受けたからなんです。映画を観ながら僕の頭には、「少年時代」も流れていました。
金沢:「少年時代」もいいですよね。
――ちなみに、お2人にとっての映画の中での斉藤由貴さんのような存在、子供の頃の憧れのスターはいますか?
ANCHOR:子供の頃は野球少年だったので、当時の僕の憧れのスターは清原和博さんでした。
金沢:清原さん、すごかったよね。甲子園での活躍を、俺はオンタイムで観てるから!
ANCHOR:PL学園時代の?
金沢:そうそう。
ANCHOR:監督のスターは誰ですか?
金沢:藤子不二雄さんと、とんねるずさん。漫画とお笑いが好きだったので。一度『ドラえもん』の脚本を書いたことがあるんですけど、その時はすごくうれしかったですね。一時期はドラえもんの新しいひみつ道具をずっと考えていたんですけど、一個も採用されませんでした(笑)。
――ANCHORさんは清原さんから、どんなことを学んだのですか? それは今の活動にも生きていますか?
ANCHOR:正直スターすぎて、何を学べばいいか分からなかったです(笑)。ただ野球に例えた話で言うと、僕は作品とのタイアップのことをバッターボックスと表現するんですけど、ここぞという時にバッターボックスに立たせていただける人間は、ほんの一握りしかいないんです。僕にとっては『サバカン SABAKAN』が映画に携わる初めての作品で、今回せっかくバッターボックスに立たせていただけたのだから、しっかり勝負強さを発揮したいなとは思いました。
――『サバカン SABAKAN』には監督の中に残る思い出があり、「キズナ」も17年の時を越えて輝けるものがあると思いました。最近は音楽シーンで平成J-POPのリバイバルが目立っています。そこについては、どんな理由があると思いますか?
ANCHOR:リバイバルヒットするものはどの時代にもあって、例えば僕の世代では『R35』という90年代初頭のヒット曲を収録したコンピ盤がすごく売れました。廃れない名曲は語り継がれていくもの。映画や漫画と一緒で、単純にそれが名作だからなのかなと思います。ティーンの子にとって20年前はファンタジーの世界で、生活スタイルも違えば景色も違っていても、それを昔とか古いものとしてではなく、新しいものとして受け取れる要素があるからヒットするのかなと。『サバカン SABAKAN』にも、今でも変わらないいいものや景色もたくさん出てくる。リバイバルヒットというのは、今と当時の共通点もあれば、ファンタジー的な新しさもあるもの。単純に、そこに刺激があるからリバイバルヒットが生まれるんじゃないかと僕は思います。
――当時のアイコンとしてキン消しも出てきますが、キン消しもリバイバルしていると聞きます。
ANCHOR:キン消しって、「キン肉マンの消しゴム」ですよね。
金沢:そのとおりだけど、その言い方をしたことはなかったな(笑)。ANCHORさんは、何かを集めていたことはありますか?
ANCHOR:僕はポケモンカードとか遊戯王カードですね。でもキン消しは、僕の世代ではバトエン(バトルえんぴつ)なのかもしれないです。
金沢:ああ、でも、そういうことだよね。結局、物は違っても、根底にあるものは同じ。ちょっとした冒険も、僕の時代は山とか森だったけど、今の子は都会やデパートに行くのが冒険なのかもしれないし。ANCHORさんが言ったように携帯とかの持ち物は違うけど、結構置き換えられるものがあって、そう考えると『サバカン SABAKAN』の世界観も、今の人でも結構理解してもらえるものなんじゃないかと思いました。
――最後に映画『サバカン SABAKAN』と、主題歌「キズナ feat. りりあ。」を通して、2人が今に伝えたいメッセージを教えてください。
金沢:コロナ禍で会いたい人になかなか会えなかったり、見えているようで見えない壁ができちゃっていたり。そういう時だからこそ、親子や友達の話を語る。それが時代に合っているんじゃないかと。振り返ってみると企画意図からエンディングの「キズナ」まで、一貫してつながっている。最初はそこまでの意図はなかったけど、振り返って作品を改めて観ると、そういうものになっていました。大事な人を思い出したりしてくれたらいいなと思います。電話一本するでもいいし。
ANCHOR:さっき、りりあ。さんの声を「一番心臓に近い声」と言いましたけど、『サバカン SABAKAN』は「一番身近な昔話」なんじゃないかと思います。主題歌もちょっと前のカバー曲だし。友達や家族、大切な人と観てもらって、この作品を共通言語にしてほしいです。これが新たな思い出になってくれたら、そんなうれしいことはないです。
金沢:ANCHORさん、コメント力高すぎない? 「一番身近な昔話」ってもう映画のタイトルみたいだし!
■リリース情報
ANCHOR「キズナ feat. りりあ。」
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■映画情報
映画『サバカン SABAKAN』
2022年8月19日(金)全国ロードショー
公式HP:https://sabakan-movie.com/
公式Twitter:https://twitter.com/SabakanMovie
(C)2022 SABAKAN Film Partners
VIA/TOY’S FACTORY:https://via-label.jp