りりあ。 の“声”に多くの人が魅了される理由 アニメ映画『バブル』ヒロイン&テーマ曲抜擢で遂げる大躍進

りりあ。 の“声”に多くの人が魅了される理由

 「浮気されたけどまだ好きって曲。」「私じゃなかったんだね。」などの切なくリアルなラブソングによって、Z世代の圧倒的な支持を得ているシンガーソングライター、りりあ。が活動の幅を大きく広げている。

 4月28日よりNetflixにて全世界配信、5月13日からは劇場公開がスタートするアニメーション映画『バブル』のヒロイン・ウタの声優に抜擢され、同作のEDテーマ「じゃあね、またね。」を歌唱。さらに5月11日にはメジャー1st EP『記録』がリリースされた。躍進を続けるりりあ。の“歌”と“声”に多くの人が魅了されている理由とは?

 2019年の秋頃からTikTok、YouTubeで弾き語り動画を投稿。ラブソングを中心にしたカバーで10〜20代のリスナーから大きな注目を集めたりりあ。がさらなる飛躍を遂げたきっかけは、2020年5月に配信された初のオリジナル曲「浮気されたけどまだ好きって曲。」だった。親友からの“彼氏に浮気された”というLINEをもとにワンフレーズだけ作り、まずはTikTokで公開。ユーザーからのコメントを参考にしながらフルバージョンが制作されたこの曲は、多くのリスナーの共感を集め、YouTubeの再生回数は1200万を超えた。

浮気されたけどまだ好きって曲。 【オリジナル】

 さらに11月には、SNSで「どんな曲を聴きたい?」とテーマを募集して制作された「蛙化現象に悩んでる女の子の話。」でメジャーデビュー。昨年10月には彼女自身の体験から生まれた「私じゃなかったんだね。」をリリースした。

りりあ。「蛙化現象に悩んでる女の子の話。」MV
りりあ。「私じゃなかったんだね。」MV

 実体験やリスナーの生の声を活かした恋愛ソング、そして、繊細さとエモさを同時に感じさせるボーカルによって、確実に注目度を高めてきたりりあ。。共感度の高い楽曲と類まれな声の表現力は、映画『バブル』主題歌「じゃあね、またね。」でも存分に発揮されている。

 〈じゃあねまたね/それは私の恋が終わった日〉というサビのラインにグッと引き込まれるこの曲は、失恋の喪失感をテーマにしたミディアムバラード。“あの映画を一緒に観たい”“新しい服を着て会いたい”と願っていた〈あなた〉は、もういない。取り戻せるはずのない時間を思い起こしながら、無駄だとわかっていても〈約束はまたすればいいから/戻って来て…〉という思いを止めることができない〈私〉の心情を描いた「じゃあね、またね。」。この曲によって彼女は、自らの歌の幅をさらに広げたと言っていい。

 これまでは自身や友達の体験、リスナーとのやり取りのなかで楽曲を作ることが多かった彼女。映画『バブル』のストーリーや登場キャラクターの心象とリンクしたこの曲にも、この2年間で培ってきた楽曲制作のスタイルがしっかりと活かされている。また、りりあ。の原点である“アコギと歌”を軸にしながら、ピアノによるイントロ、ストリングスやホーンを取り入れたアレンジも絶品だ。

りりあ。「じゃあね、またね。」Audio Video

 ヒロイン・ウタ役を担当した、りりあ。の声の演技にも注目してほしい。

 映画『バブル』の舞台は、世界に降り注いだ謎の泡の影響で重力のバランスが崩れ、ライフラインが閉ざされた未来の東京。支給される物資をかけた危険なバトルに興じる主人公のヒビキ(声・志尊淳)はある日、不思議な能力を持つ少女・ウタに出会うーーというのが本作のストーリー。触れば消えてなくなるような儚い関係性、そして、“歌”によって人と人を結び付け、世界に変化を与えるウタの声にりりあ。は、繊細かつ豊かな表情を与えている。特にクライマックスのバトルシーンにおける、まるで祈りのような歌声は、この映画の大きな軸になっていた。本作の出演によって彼女は、活躍の場を広げることになりそうだ。

 さらにEveが手がけた映画のOPテーマ「Bubble feat.Uta」にも参加。Eveらしい鋭利な疾走感をたたえたアッパーチューンでの歌唱は、これまではフォーキーな印象もあった彼女にとって間違いなく新機軸。特に〈触れることもできなくて/引かれ合う心はなぜ〉の凛としたボーカルには強く惹きつけられた。

Bubble feat.Uta - MV Eve

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