SCOOBIE DO、タフな4人が鳴らす明日への希望 目の前の“君”に届けてきた20年間の先へ向かうメッセージ

SCOOBIE DO、タフな4人が鳴らす希望

 続く4曲目「GEKIJYO」はグルーヴィなベースソロから始まり、まさに激情と呼ぶにふさわしい熱量を感じさせるナンバーだが、ふと聴いていると、無観客配信ライブではこんな気持ちになるんじゃないかと想像する。また、柔らかな5曲目のミディアムバラード「悲しい夜も」での季節は巡るが景色だけが止まったという描写は、この2〜3年の街の風景を思い浮かべる。〈どんなに悲しい夜も 自分の歌を歌おう〉と自分を鼓舞するフレーズに、彼らに限らず閉塞感に苦しみながら曲を作り進もうとしていたアーティストたちの思いが浮かび上がるようだ。そして最後は、〈不器用な生き方でも 歩き出そう 何度でも〉と呼びかける。彼ら自身も決して器用とは言えない歩き方をしてきたけれど、それでも前に進んできたバンドだという自負があるからだろう。

 独立独歩の道を選んで設立した<CHAMP RECORDS>は順調に続いているが、順風満帆だったわけではないし、所属は彼らだけの小規模レーベルだ。頑固親父のやっている豆腐屋が誠心誠意作ったものを日々商って行くように、4人で作った作品を誠実に届け続けている。6曲目「成し遂げざる者のブルース」は成し遂げることへの疑問と、それへの彼らなりの回答が歌われている。ブルージーに60年代ポップス風なサウンドが哀愁を誘い、〈成し遂げざる者〉、すなわち無名の人々が地球を回していると歌い上げる。底力を奮い起こさせてくれるような後奏のギターとベースの掛け合いが圧巻だ。

 そして未来を決めるのは自分、そこに迷いは必要ないとばかりにアッパーなリフがケツを叩く7曲目「スピード」は、〈生きてる限りは生き放題〉〈この人生だけは俺のもの〉とパンチライン満載。落ち着いたテンポの8曲目「光の射す道へ」とは対照的なタイプの曲だが、自分を信じて進もうというテーマが繋がっている。

 本作で最もファンキーな「正解Funk」は、〈生きているだけで正解〉というフレーズに、怒髪天「全人類肯定曲」を連想するが、この先輩バンドにFUNKY4は常々大いに共感しているに違いない。自分の信念を持って自分らしく生きていくことが大切なのだと歌っているところは、両バンドに共通するところ。その骨っぽさを信頼するファンが多いことも相通じている。この機会に対バンしてもらいたいものだ。

 『Tough Layer』の最後を飾るのは10曲目「荒野にて」。この3年まさに荒野のようだったライブシーンに、最近ようやくまた草木が生い茂り始めたように感じる。そこに轍を残すべくバンドは再び進んでいく。再会したら共に希望の歌を歌おうと、この曲で歌いかけている。メジャーデビュー20周年という大きな節目を迎え、本作で新たな一歩を踏み出したSCOOBIE DOからのメッセージがこの曲だ。

 アルバムタイトルには、活動がここまで続いて来た強い(Tough)4つの音と4人のパーソナリティが重なる(Layer)ことで産まれた作品との意味が込められているという(※1)。タフな4人が、希望の歌を鳴り響かせる未来が楽しみだ。

※1:https://realsound.jp/2022/06/post-1055691.html

SCOOBIE DO『Tough Layer』
SCOOBIE DO『Tough Layer』

■シングル情報
20th Anniversary New ALBUM
『Tough Layer』
8月24日(水)リリース ¥3,300(税込)
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A016316.html
※限定グッズ付き商品(CD+20周年記念復刻Tシャツ):¥6,800(税込)
https://victor-store.jp/artist/16101458

<収録曲>
1. 明日は手の中に
2. 今日の続きを
3. その声を
4. GEKIJYO
5. 悲しい夜も
6. 成し遂げざる者のブルース
7. スピード
8. 光の射す道へ
9. 正解Funk
10. 荒野にて
All Songs Written by マツキ タイジロウ
Arranged & Produced by SCOOBIE DO

SCOOBIE DO オフィシャルHP

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