SCOOBIE DO、キャリアとフレッシュさに満ちた存在感 最新作『Have A Nice Day!』を聴いて

SCOOBIE DO『Have A Nice Day!』評

 7月31日にリリースされたSCOOBIE DOの最新アルバム『Have A Nice Day!』を聴いた瞬間、思わず「若々しい!」と呟いていた。夏のリリースを意識したアルバムということも、そんな思いを呼んでくる要因のひとつだが、結成からは24年を数え、デビュー曲「夕焼けのメロディー」からは20年を数える彼らの「いい意味での若さ」は衰え知らずである。マツキタイジロウ(Gt)とコヤマシュウ(Vo)は1975年生まれ。オカモト"MOBY"タクヤ(Dr)が1976年生まれ。そしてナガイケジョー(Ba)は1981生まれ。平均年齢は40歳を超えた彼らだが、だからこそのフレッシュさがこの最新作にも、そして年間100本近くに及ぶライブにも溢れている。

 彼らのキャッチフレーズは、「ROCKとFUNKの最高沸点“Funk-a-lismo!”貫くサムライ四人衆」。「Funk-a-lismo!」は、彼ら独特の造語だ。今回のアルバムでもオープニングナンバー「真っ赤なノンフィクション」が鳴りだした瞬間、ロックとファンクの沸点がやってくる。ループする複雑なリズム、ギターのカッティング、言葉のアタマの音が強調されたコヤマ節。ロックでありファンクであり、そしてどこまでもSCOOBIE DO。そこからはじまる10曲に踊らされる。アルバム表題曲「Have A Nice Day!」は、「夕焼けのメロディー」を彷彿とさせる、いわば原点回帰曲。だが、そこにはどこか閉塞感のある「イマ」へのメッセージが込められている。塞がれていようが泣いていようが、自分は自分のままで前に向かう、そんな気持ちを「Have A Nice Day!」というフレーズに託したナイスダンサー。

 この「Have A Nice Day!」や、軽やかにアルバムを締めくくるラスト曲「Summer in My Life」には、2004年の夏のアルバム『Beautiful Days』を思い起こすファンも多いことと思う。でも、その間には15年の歳月が流れ、15回の夏があったことを思い出させてくれるのは、そんな原点回帰的なナンバーの歌詞の進化と共に、ライブで磨き上げ、この数年でさらに複雑になってきたリズム。ギター、ベース、ドラム、そしてボーカルのリズムが複雑に絡み合うこのスタイルは、ワン&オンリーとしか呼びようがない。例えば、5曲目に収録された「One Short Summer」は、表向きはタイトル通りの爽やかなサマーソングなのに、後ろのサウンドに耳を傾けてみると、唸りを上げるほどに一筋縄ではいかないアレンジが施されている。各曲のアレンジに関してどれだけこだわり抜いているかということに関しては、リーダー・マツキタイジロウ氏のブログにセルフライナーノーツとして詳しく開陳されているので、ややこしくも楽しい話に興味がある向きには一読をお勧めする。

 冒頭に「だからこそのフレッシュさ」と書いたが、つまりこのアルバムは、キャリアに裏打ちされた複雑な音作りをやり抜いているにも関わらず、それを感じさせないフレッシュさに満ちているのだ。歌詞もサウンドも、年齢を経たからこそ醸し出せるこの聴き心地が「いい意味での若さ」。

 今回のアルバムは、彼らが2006年からタフに運営を続ける自主レーベル<CHAMP RECORDS>と、メジャー時代の古巣であるビクターエンタテインメントのコラボレーションでリリースされた。曲作りやレコーディングにそのことがどのように影響したかは想像するしかないが、フレッシュさの秘密は、そんな「ひとまわりした立ち位置」にもありそうだ。

 バンドのサウンドと、バンドとしてのライフスタイル。ニワトリが先かタマゴが先かはわからないけれど、このアルバムはその両面でSCOOBIE DOの「存在感」を再確認させてくれる。

SCOOBIE DO - 「Have A Nice Day!」 (Official Video)

(文=渡辺祐)

SCOOBIE DO『Have A Nice Day!』

■リリース情報
『Have A Nice Day!』
発売:2019年7月31日
価格:¥3,000(税抜)
1. 真っ赤なノンフィクション
2. Soul Fresher
3. Have A Nice Day!
4. MASETORA
5. One Short Summer
6. Colors
7. サバイバルファンク
8. Sugar
9. Pie
10. Summer in My Life

■ライブ情報
『Funk-a-lismo! vol.12』
10月3日(木) 千葉LOOK
10月5日(土) 福島Out Line
10月12日(土) 広島Cave-Be
10月14日(祝月) 徳島club GRINDHOUSE
10月19日(土) 富山SOUL POWER
10月20日(日) 新潟CLUB RIVERST
10月26日(土) 秋田Club SWINDLE
10月27日(日) 青森Quarter
11月1日(金) 大分club SPOT
11月3日(日) 鹿児島SRホール
11月4日(祝月) 福岡LIVE HOUSE CB
11月6日(水) 神戸太陽と虎
11月10日(日) 水戸ライトハウス
11月16日(土) 盛岡the five morioka
11月17日(日) 仙台LIVE HOUSE enn 2nd
11月23日(土) 金沢vanvan V4
11月24日(日) 長野LIVE HOUSE J
12月1日(日) 恵比寿LIQUIDROOM
12月7日(土) 岡山CRAZY MAMA 2nd Room
12月8日(日) 高松DIME
12月14日(土) 名古屋CLUB UPSET
12月15日(日) 心斎橋JANUS
12月21日(土) 札幌cube garden

『クアトロマンスリーシリーズ2019』
[会場] 渋谷CLUB QUATTRO
9月11日(水)「交差する狂騒と静寂の夜」
[出演] SCOOBIE DO / THE BACK HORN

10月23日(水)「踊り散らす音符たちの夜」
[出演] SCOOBIE DO / パスピエ

オフィシャルサイト

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