THE SUPER FRUIT&世が世なら!!!、ボーイズグループシーンに新たな息吹 つば男チーフマネージャーに聞く同時デビューの狙い
2015年に結成され、メンバー個別の活躍もめざましい5人組ボーイズグループのCUBERS。彼らが所属するつばさレコーズでは、2021年10月1日に「つばさ男子プロダクション」(略称:つば男)が設立され、そこでTHE SUPER FRUITと世が世なら!!!の2グループが結成された。現在では、つば男KIDSもおり、ボーイズグループのファミリー展開の様相を呈している。さらに、EBiDAN NEXTやボイメンエリア研究生など、他の事務所のボーイズグループとも積極的にイベントを開催しているのも特徴だ。
この記事では、THE SUPER FRUITと世が世なら!!!の音楽性、そしてつばさレコーズというレーベル・事務所の伝統の両面に注目し、つば男のチーフマネージャー・堀切裕真のコメントも織り交ぜながら、両グループを紹介していきたい。
つば男には、CUBERS、THE SUPER FRUIT、世が世なら!!!のほか、つば男KIDSもおり、ボーイズグループのファミリー展開の様相を呈している。さらにつば男は、EBiDAN NEXTやボイメンエリア研究生など、他の事務所のボーイズグループとも積極的にイベントを開催しているのも特徴だ。この点について堀切は、「男性アイドル界隈では女性アイドルでいう“TIF”のようなお祭り的なフェスがないんですよね」と語り、男性アイドルでは「単推し」が多い傾向を指摘する。そこで運営サイドから意図的に、ファミリー展開や他事務所との交流を仕掛けているという。
THE SUPER FRUITは、「男性版清純派グループ」というキャッチコピーを掲げる7人組。2003年生まれから2007年生まれのメンバーで構成されている。いや、2007年って、ついこの間じゃないか……? ただのメンバーカラーではなくフルーツが設定されているのもユニークだ。
つば男は、「1小節も最後の1音まで妥協しない音楽」を掲げている。堀切は、「“音楽に対する情熱”みたいなものは負けたくないですし、負けるわけがないくらい凝って突き詰めてやろうと思っています。それはいわゆるシングル表題曲だけでなく、カップリングやアルバム曲に対しても、最後の1音までこだわりを持ってやる。そういった部分を一番の強みにしたいですね。今までもCUBERS含め、全曲そうしてきたので」と語るほどだ。
そのなかでも、THE SUPER FRUITが目指しているのは「デジタルPOPS×アイドル」。堀切が意識しているのは「中毒性」であり、「YOASOBI、ずっと真夜中でいいのに。、ヨルシカなど、ボカロシーンからJ-POPへ活躍のフィールドを広げてきた方々の音楽性にも近しいデジタルPOPSと男性アイドルを融合させるようなイメージで取り掛かって制作してきました」と語る。
そして、2022年8月31日にリリースされる「チグハグ」を聴けば、その意味は一目瞭然ならぬ一耳瞭然。肉声を押しだしたイントロによる見事な「つかみ」で幕を開け、キャッチーなフレーズを全編に散りばめた楽曲が、まさに中毒性を生みだしている。THE SUPER FRUITの少年性の残る歌声が、ビジュアルの中性的なイメージと甘く溶け合う。作詞作曲はサトダユーリ、編曲は木下龍平で、約3分半に詰めこまれた情報量は驚くほど多い。楽曲の構造も、ストリングスの音色が躍動するサウンドも、中毒性を増幅する。
つば男では、堀切が多くの楽曲の作詞作曲を手がけているのも特徴だ。堀切作詞作曲、鎌田瑞輝編曲によるカップリングの「Someday」は、ソウルの香りに満ちた、2022年のトレンドとも呼応するシティポップ・ナンバー。メンバーのボーカルも、「チグハグ」よりも「Someday」のほうが大人びていて勘が良い。
そして世が世なら!!!は、「真面目型おふざけ集団!!!」というキャッチコピーにして、グループ名には「弱者からの逆襲、世の中をひっくり返す!」という意味が込められているそう。アーティスト写真も、変顔と普通の表情の両パターンが用意されている6人組だ。さらに、ライブをエクササイズと位置づけて、ライブ中はカロリー測定バンドを着用、最後に消費カロリーを発表しているという。いろいろと過剰だ。
世が世なら!!!の音楽は、ラウドロック×トンチキソングの融合を目指して、本格的なバンドサウンドで制作しているという。どういうことだろうか……と思いながら、2022年8月31日にリリースされる「鼓動のFighters」を聴いてみると、その謎は一気に解けることに。作詞は、ハロー!プロジェクトで多くの楽曲を手がける児玉雨子。堀切は、ハロプロのブランディングの手法、シーンでの立ち位置の確立方法を意識し、「つば男は男性アイドル界のハロプロを目指したい」と抱負を語っていることからも納得の人選だ。その言葉が意味するのは“アイドルシーンにおけるお洒落着”のような地位を確立したいということでもあるのだという。
「鼓動のFighters」で児玉は、〈絶体絶命からが人生〉とグループのコンセプトを踏襲しながら、〈諦めがオワコン〉とポジティブな姿勢を表現していく。青葉祐五と大山聖福の作編曲によるサウンドが、そんな歌詞をラウドに彩る。サトダユーリは、カップリングの「Happy Birthday!!!」では作詞作曲編曲を担当。ユーモアを交えた歌詞と、ロックをベースにキーボードも前面に出たサウンドを響かせる。