Stray Kids、ワールドツアー日本公演最終日完全レポ STAYに届けたフルスロットルのパフォーマンス

Stray Kids、ワールドツアー日本公演最終日レポ

 6月の神戸公演から始まった、『Stray Kids 2nd World Tour "MANIAC" in JAPAN』が、7月27日に東京・国立代々木競技場第一体育館で最終日を迎えた。生歌でのライブにこだわり、完成度の高いパフォーマンスを常にフルスロットルで見せてくれた同公演の模様をお届けしたい。

写真=田中聖太郎

 開演時間、会場に鳴り響く「Anthem」で幕を開け、盛り上がりが一気に高まる。続くVTRでは、“MANIAC”なライブの始まりを告げるがごとく、『ODDINARY』のトレーラーを彷彿とさせるメンバーの姿が。ライブの1曲目を飾ったのは、ツアー名でもある「MANIAC」。イントロとともに8人が登場し、会場は一気に熱気と興奮に包まれた。この曲は、グループ名に入っている “Stray(古い伝統や形式、システムを打ち破り、そこから抜け出すこと)” を表現しているように思える。

写真=田中聖太郎

 立て続けに披露された「VENOM」は、蜘蛛の巣にかかったように相手の致命的な魅力から抜け出せないという曲。赤い光に包まれたメンバーたちの後ろで、蜘蛛の足のオブジェが絶えず動いていたのも印象的だ。続く「Red Lights」は、ストリングとエレキギターが見事に調和し、優雅さと荒さがぶつかり共存したような楽曲。昨年リリースの『NOEASY』に収録されたバンチャンとヒョンジンのユニット曲を、8人バージョンに再編成したものだ。コントロールできない自分自身との戦いを表現するように、メンバーたちがロープでつながれたままパフォーマンスは進み、最後のフックで自らロープを外したときはまさに解き放たれたようだった。

写真=田中聖太郎

 オープニングMCは、バンチャンの「ただいまー!」の声で始まった。メンバーそれぞれの個性あふれる自己紹介の後、リノの無茶振りでバンチャンとハンが「Red Lights」のフックをメンバーのアカペラに合わせて踊る場面も。そして、チャンビンの「(次の曲は)簡単ですよね?」という振りから、強烈なヒップホップサウンドが特徴的な「Easy」へ。続けざまにJAPAN 1st Mini Albumのタイトル曲「ALL IN」を披露。最後のパートでは通常のパフォーマンスとは違い、一列になって踊っていたため、統一感の中にも個々人のダンススタイルが垣間見えた。

写真=田中聖太郎

 最初のパートを締めくくったのは、2018年3月リリースのデビューアルバムのリード曲「District 9」だ。同曲は日本デビューアルバム『SKZ2020』にも収録されているが、過去の音源と聴き比べると彼らの成長がひしひしと伝わってくる。ダンスの安定感、体にずんと響くような声量、フェイクなど、炎の演出も相まってパフォーマンスのエネルギーを全面に感じられた。オフラインでのライブを切実に待ち望み、絶えず努力を積み重ねてきた賜物だろう。

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 その後のVTRはメンバーそれぞれが“MANIAC”な世界への入口に手をかけ、“ODDINARY”(「どこか普通じゃない奇妙さ」という意味を持つ“ODD”と 「平凡な/正常的な」を指す“ORDINARY”を組み合わせた造語で、「どこか奇妙なのが普通だ」という意味) の片鱗を見せた。ヒョンジンがフィリックスに投げかける「Do you want to be ODDINARY?」。一貫してメッセージングされるこのフレーズは、アルバム『ODDINARY』ひいては「MANIAC」の世界観を象徴している。

 そして、衣装チェンジしたヒョンジンがドアをノックする仕草にスポットライトが当たる。「Back Door」だ。黒を基調としたロック系の衣装でメンバー全員が登場し、バンチャンは、自身のパート〈心臓を鳴らせ rum pum pum pum〉の後に「わくわく」と言って会場を沸かせた。はじけるようなフックに中毒性がある「Charmer」から、同じく『ODDINARY』に収録される「Lonely St.」へ。センターステージでのマイクスタンドを使ったパフォーマンスは、ロック系の衣装と見事にマッチ。フックでメンバーの手の振りに合わせて会場中のペンライトが上下する光景は白い光の海を見ているようだった。

写真=田中聖太郎

 2つ目のパートのラストは「Side Effects」。これまで、ステージで披露する際はダンサーとともにパフォーマンスすることが多かったが、今回は8人のみの構成。しかし、空間の余白を感じさせないほどのオーラと存在感があった。

写真=田中聖太郎

 “ODDINARY”の世界観を表現してきたVTRもついにクライマックス。“ODDINARY”になることを受け入れたフィリックスを祝福するかのように、世界各地で緑色の花火が打ち上がる。まさに“どこか奇妙(ODD)なのが普通(ORDINARY)になった瞬間”を見ているようだった。

 笛の音で始まった伝統音楽から「Thunderous」へ。チャンビンを除く7人がダンスブレイクを披露し、その後、スポットライトに照らされたチャンビンが自らの声のみでパワフルなラップを披露。続けざまに「俺様の名前は何だ?」という振りで、それまでの張りつめた雰囲気とは打って変わってメンバー全員で映画『君の名は。』のパロディをするお茶目なやり取りが飛び出す場面となったが、すぐに冒頭のパート〈声を上げる俺が チャンビンだ〉に移り、再び世界観に引き込まれた。

写真=田中聖太郎

 そこからは畳みかけるように「DOMINO」、「God's Menu」が続く。「Thunderous」からかなり激しい振付の曲が続いて体力の消耗も大きいはずだが、それを一切感じさせないパフォーマンスだった。一糸乱れぬダンスでまさに“スキズらしさ”が溢れていた。

 MCでは「Thunderous」の演出と、舞台後方に登場したバンドメンバーを紹介。この生バンドとのセッションが観客の満足度をさらに押し上げているように思う。そしてアイエンが「どんな好きがチーズですか?」と前日公演で言い間違えた部分をこの日も茶目っ気たっぷりに会場に問いかけて「CHEESE」が始まり、「YAYAYA + ROCK」と続いた。特に、「YAYAYA + ROCK」はデビューのきっかけとなったサバイバル番組で披露した曲ということもあり、胸が熱くなったSTAY(Stray Kidsのファンダムの名前)も多いのではないだろうか。

写真=田中聖太郎

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