謎に包まれた新鋭シンガーソングライター 池田 海とは? 往年の“邦ロック”を彷彿させるサウンドプロダクト
シンガーソングライター 池田 海が3rdシングル「NEVER LAND」を配信リリースした。
イントロの捲し立てるようなギターのアルペジオから疾走感が迸るバンドアンサンブル。スモーキーでハスキーな、一度聴いたら忘れられなくなる特徴的な声を持ったボーカルが紡ぐメロディラインは、どこか懐かしいような聴き心地だ。エネルギッシュなバンドアレンジが、クールなようで熱い想いを感じ取れる楽曲を引き立てていき、聴き手に昂揚感を掻き立てていく。昨今のソロアーティストでは、ここまでバンドサウンドをフィーチャーするのことは珍しいかもしれない。池田が大きく影響を受けたと語る、90年代後期から00年代前期にかけての邦ロックのスピリッツを感じられる部分だ。サビが横文字ではない、日本語のギターロックである。そういった日本語詞ならではの響きと細やかな譜割を持ったメロディラインの作り方をしている。
池田 海というシンガーソングライターは謎めいたところがある。アーティスト写真や彼のSNSにははっきりと自身の顔がわかるような、正面からの写真はない。それはあえて隠しているというより、単に楽曲とその声だけで勝負しているようにも思える。であるから、「NEVER LAND」のアートワークにしても、いくつかアップされている過去曲のリリックビデオにしても、視覚的なビジュアルとしてのイメージを極力抑えているような趣も感じられる。聴き手にいらぬ先入観を与えることなく、楽曲を伝えているのである。
どこか陰りを感じられるような倍音の多い特徴的なボーカルと、もの悲しさから勝ち上がっていくような詞の世界。〈終わらない夢の檻〉という言葉選び、〈錆びついた翼の羽が落ちる〉からの〈色付いた翼が空を染める〉という表現のコントラスト。その作家性、アーティスト性も、不思議でミステリアスさを増長していく。