謎に包まれた新鋭シンガーソングライター 池田 海とは? 往年の“邦ロック”を彷彿させるサウンドプロダクト
5月にリリースした前シングル「秘密」は、それまで弾き語りをベースにしてきた池田がアコースティック楽器とデジタルサウンドを融合させた、きらびやかで美しいサウンドコラージュが流麗なメロディラインとともに、想いがはためく幽玄な世界を創っていく曲である。優しく揺らいだメロディに寄り添い、時に離れていくエレクトリックギター。音数自体は少ないがゆっくりと旋律を描いていくピアノが神秘性を引き出している。池田と並び、編曲者として岸田勇気の名前があった。sasakure.UKやずっと真夜中でいいのに。を手がける気鋭の鍵盤奏者でありアレンジャーでもある。
池田自身もちゃるけん、井上翠、泡く、脆く。といったアーティストのアレンジを手がけている。どのアーティストも、歌とアコースティック楽器の響きを大事にしているアーティストだ。隙間を埋めるような多くの音数や、リスナーにインパクトを与えるような音圧至上主義といったサウンドプロダクトとは真逆のものである。優しく、それでいて強さを感じ取れる池田 海サウンドというべきものだろうか。そこには彼自身が倍音成分多めのハスキーな声質であることも起因しているのかもしれない。良くも悪くも、他楽器とぶつかるような、一歩間違えば通りにくい声でもあるからだ。逆にいえば、その独特な声を中心としたアレンジによって、耳馴染みよくも稀有なプロダクトに持っていくことができる。池田 海にしかなし得ないものである。
池田のYouTubeチャンネルには、オリジナル曲を中心に米津玄師やamazarashiのカバーなど、アコースティックギターの弾き語りが多くアップされている。特徴的なボーカルスタイルと、独自性のあるソングライティングセンスを持っている池田であるが、ギターのプレイテクニックも確かであることがわかる。「茜」で爪弾くアーシーで心に響く優しいアルペジオの音色、打って変わって「閃光」ではパーカッシヴでリズミカルなストロークで、アグレッシヴなプレイを聴かせている。そして、どの曲もアコースティックギターの音色が抜群に良い。プレイヤーとしてはもちろんのこと、宅録を含めたクリエイターとしても強いこだわりを感じられる部分だ。「NEVERLAND」のトレイラーでは、バンドメンバーとともにエレクトリックギターをプレイする池田の姿がある。シンガーであると同時に、バンドのギター&ボーカルであるという証明だ。ギターロック好きである側面が大々的にフィーチャーされた一幕である。
未だ謎も多い池田 海ではあるが、今後はライブ展開など精力的な活動をしていくという。アコースティックギターの弾き語りは言わずもがな、バンドスタイルにも大きなこだわりを持っているアーティストなだけに、その展開に期待したい。
■リリース情報
2ndシングル「秘密」
配信リンク:https://nex-tone.link/A00098867
3rdシングル「NEVERLAND」
配信リンク:https://nex-tone.link/A00101767
Twitter: https://twitter.com/mizu_zokusei
Instagram: https://www.instagram.com/mizu_zokusei