never young beach、新たなサポートメンバーと鳴らした“忘れられない一夜” 自由な遊び心を爆発させた3年ぶりのツアー

ネバヤン、3年ぶりのツアーレポ

 途中、9月公開の香取慎吾主演映画『犬も食わねどチャーリーは笑う』主題歌「こころのままに」を歌った後、安部はネバヤンが今年で結成8年になることに触れ、「(「こころのままに」のように)ラララ〜と歌って気持ち良くなる曲を作るのに8年かかった。若いうちはできないよね」と笑った。ネバヤンも成熟のドアをひとつ開けたということだろうか。だけど「やがてはこの曲のギターソロを10分くらいやるようになりたい。みんな上裸になってさ」と苦笑を誘うのも彼らしさ。子供みたいに楽しむことをやめずにちゃんと大人になる。言いたいことは言いながら、好きなものを好きだと表明しながら。

 3年間、ワンマンライブもできなくて、コロナ禍も、メンバー脱退も、ソロ活動も経て、いろいろあったけどこうしてまたみんなの前に戻ってくる自分たちを「フーテンの寅みたいだ」と安部は表現した。『男はつらいよ』に感動して、全50作を完走してしまったからって、バンドまで寅さん化する必要はなかったかもしれない。でも、好きなものを隠せないのが“安部ちゃん”らしさだし、ネバヤンの音楽そのものだからしょうがない。この「しょうがない」は諦めの言葉ではなく、好きという気持ちを祝福するための最高のエンジンだ。本編ラスト、この日配信リリースされたグリッタービートでごきげんな新曲「Hey Hey, My My」を聴いて、その確信がさらに強くなった。

 アンコール最後は「お別れの歌」。安部のボーカルはもはやかすれきって、鈴木のドラムはトラブルでバラバラになりそうになって、客席は興奮で揺れすぎて「Zepp DiverCityが壊れるかも」とさえ一瞬思った。そんなにかっこいい音楽なのに、舞台の上はみんな寅さんの格好で、寅さんの連れである源さん(源公/演・佐藤蛾次郎)に扮したカメラマン(佐藤大)は、最初から最後まで撮影しながら舞台をうろうろしていて、なんだこれ……喜怒哀楽のすべてが丸見えのはちゃめちゃに最高なエンディング。演奏を終えて、舞台からすっと安部の姿が消えたと思ったら、袖にいた香田を挨拶に引っ張り出してきた。そういうところも寅さんマナーっぽい。

 今から22年後の未来、結成30周年を迎えたnever young beachと彼らのファンは、しみじみと不思議そうに、このライブを思い出しているかもしれないと妄想する。こんなふうに。

「2022年の夏、ネバヤンのメンバー全員が寅さんコスプレでやった最高のワンマンライブがあった。真夏の夜の夢みたいだったけど、あれは一体何だったんだろう……?」

「Hey Hey My My」カバーアート
never young beach「Hey Hey My My」

■リリース情報
never young beach「Hey Hey My My」
2022年7月13日(水)配信リリース
ダウンロード/ストリーミングはこちら

公式ホームページ

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