リーガルリリーが導く、儚くも確かな光 幻想的な空間へいざなった『Light Trap Trip』ツアーファイナル公演

リーガルリリー、コンセプトツアー最終日

 ライブも中盤に差し掛かったところで、背景のスクリーンが開いた。川のせせらぎにあわせ、清流の流れる様が映し出される。それを境としたように、3人のパフォーマンスはよりアグレッシブになっていく。街の遠景をうつした映像を背景に、身体を揺らし、飛び跳ねながら躍動する3人の姿は、儚い人生を思い切り謳歌しているように見える。

 「GOLD TRAIN」「惑星トラッシュ」「教室のしかく」と続けた後、「高校生の頃に作った曲」「大人になってから2番を作った」とのたかはしのMCを経て披露されたのは、「教室のドアの向こう」。高校生の頃に綴ったという、あの日の痛みとともに抱いた感情を切なく歌うたかはしの影が、背景にゆっくりと浮かぶ。すると、2番に差し掛かったタイミングで下手に海、上手にゆきやまの影が。 この日は海の加入4年目の記念日でもあった。“海の日”と名前がつけられるほどバンドにとっては大切な日。この影の演出からは、3人がバンドとして歩んだ時の流れをも感じられた。

「お日様が照っている時に、後ろについてくる、私だけの影がずっといて。影は黒いけれど、黒の中には無限の色の可能性があるから、みんな自分だけの色を持っていて。だから、みんな自分だけの暗闇に支えられている」

 ライブの終盤で、たかはしは本ツアーのテーマ曲でもある「セイントアンガー」についてこう語った。“光があるところには影がある”というのはありきたりとも言える言い回しかもしれないが、彼女たちの眼差しを通すと、その意味は新鮮に色を変える。真っ白な星のような照明に包まれて〈みんな光りかた探していた〉と歌うたかはしの姿からは、影をも抱きしめて自分だけの“光りかた”を探す人間のひたむきさが溢れていた。

 アンコールでは、秋に東名阪の2マン企画が開催されること、8月にEPをリリースすることもアナウンスされ、あわせてその中から新曲も披露された。発表されたEPのタイトルは『恋と戦争』。そして、新曲は「ノーワー」。

 彼女たちの歌は、日常をファンタジーのフィルターを通して見つめ直すような、ひたむきで凛とした音楽だ。現在の社会情勢を鑑みるに、このタイトルからは今まさに遠い国で巻き起こっている紛争を彷彿とさせる。色々な悩みや鬱屈を背負って生きる私たちの日常にだって確かに争いは存在していて、海の向こうで起こっていることを、目の前の現実というフィルターを通して、考えるきっかけを与えてくれるそんな1曲だ。世界が暗闇に包まれてしまいかねない日々の中で、彼女たちの淡くも確かな光はとても魅力的に映る。その光に触れればきっと、どんな厳しい状況の中でもブレない、自分自身の“光りかた”を見つけることができるはずだ。

■リリース情報
リーガルリリー
Digital EP『恋と戦争』
2022年8月10日(水)リリース
1. ノーワー
2. 明日戦争がおきるなら
3. 地球でつかまえて
4. ジュテーム?(スピッツ cover)
「ノーワー」先行配信中:http://kmu.lnk.to/landw

■配信情報
『Light Trap Trip』有料アーカイブ配信
7月5日(火)Zepp DiverCity
配信期間:7月16日(土)18:00まで
視聴チケット価格:¥2,500
視聴チケット販売期間:7月16日(土)16:00まで
販売URL:https://w.pia.jp/t/light-trap-trip/

■ツアー情報
『cell,core 2022』
2022年11月9日(水)名古屋ボトムライン
2022年11月15日(火)大阪BIGCAT
2022年11月17日(木)Zepp Haneda

<オフィシャル1次先行>
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/cellcore2022/
受付期間:7月24日(日)23:59まで
枚数制限:お一人様2枚まで

<一般発売>
9月3日(土)10:00〜
各種プレイガイドにて

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