チャーリー・プース、ポップシーンでの葛藤と目覚ましい躍進 BTS JUNG KOOKとのコラボでも放つ無邪気さ

チャーリー・プース、JUNG KOOKとの無邪気なコラボ

 また、チャーリーにはもう一つの味方がいた。彼は、2019年の出来事を経て、自分らしくいることができるコミュニティを探した結果、TikTokに自らの居場所を見出したのである。自らを歓迎してくれる、安全な場所だと感じられるムードと、自らをありのままで、弱さも隠すことなく発信できる環境に魅力を感じた彼は瞬く間にTikTokの虜になり、今では約1800万人ものフォロワーを抱えるほどだ。そんな彼は自らの楽曲制作においてもTikTokを活用し、今年1月にリリースされたシングル「Light Switch」の制作プロセスにおいては、各楽器のフレーズ作成から、印象的なスイッチの音をサンプリングする姿まで、あらゆる過程をTikTokでシェアし、その反響を見ながら制作を進めていったのである(※3)。同楽曲はYouTube上で約9000万回再生(7月上旬時点)を記録し、全米チャートにも久しぶりにチャートインを実現するといったスマッシュヒットを達成。作曲家/プロデューサーとしてだけではなく、一人のアーティストとしても見事に復活を遂げたのだった。

Charlie Puth - Light Switch [Official Music Video]

 というわけで、BTS・JUNG KOOKとのコラボレーションは、まさにチャーリー的にもベストなタイミングと言えるだろう。実は、JUNG KOOKは以前からチャーリーのファンであることを明らかにしており、2017年にはソロ活動として「We Don't Talk Anymore」のカバーを発表しているのだ。

We don't talk anymore by JK

 チャーリーはこのカバーを発見するとTwitter上で「Love this」と絶賛(当該ツイートは削除済み)。その後もチャーリーがBTSの音楽をTwitter上で称賛するなど、両者は相思相愛の関係が続いており、2018年に行われた韓国の音楽アワード『MBC Plus X Genie Music Awards』ではなんとライブ共演まで実現している。今回のコラボレーションは、まさに数年越しの夢が実現したと言っても過言ではないのだ。そんな「Left and Right (feat. Jung Kook of BTS)」の制作においてもやはりTikTokが活用されており、今年の2月、楽曲のアイデアが披露された頃から逐一制作状況が報告され続けていた(※4)。JUNG KOOKの参加に関しても、6月17日に本人自らチャーリーの投稿に登場したことで明らかになったのである。

@charlieputh

Pre-save Left and Right (with Jungkook) !! Link in bio. (If we get 500,000 pre saves I’ll drop it on June 24.)

♬ original sound - Charlie Puth

 筆者が思うに、チャーリー・プースの魅力はその無垢さ、無邪気さにあるのではないだろうか。転機となった「See You Again (feat. Charlie Puth)」が俳優のポール・ウォーカーへの追悼の意を込めて制作されたことは有名な話だが、実はチャーリーはこの楽曲を、バイク事故で亡くなってしまった自らの個人的な友人への想いも込めて制作しており(※5)、だからこそ、より普遍的な共感と感動を呼ぶ名曲となった。また、彼のTikTokの投稿を見ていると、いかに自らが思いついた楽曲のアイデアにワクワクしていて、一刻も早くファンに見せたいと感じているのかを強く感じることができる。「Left and Right (feat. Jung Kook of BTS)」に関しても、左右から声が聞こえてくるという肝となるアイデアに大興奮しており、JUNG KOOKが登場した際にも、そのパートの録音風景を見せることで心から楽しんでいることが分かる。その無邪気さは、他のBTSメンバーからも愛されるマンネである、純粋無垢なJUNG KOOKにも通ずるものであり、だからこそこの二人の共演は愛おしく、胸を打つのだ。

Charlie Puth - Left And Right (feat. Jung Kook of BTS) [Official Video]

 2019年のスランプを振り返り、本来の自分は“dork(オタクっぽい、暗いという意味のスラング)”であると語ったチャーリー・プースは(※6)、世界的な大ヒットを経て、いつの間にかトップアーティストとしての「らしさ」にとらわれていた自らの姿に疑問を抱き、再び本来の姿である、どこかオタクっぽい、無邪気な音楽好きへと戻ってきたのである。現在、彼は来る新作『CHARLIE』に向けての準備を進めているが、いよいよここからが本当の新たなフェーズとなるのだ。

※1、6:https://music.apple.com/us/post/1606324681
※2:https://www.youtube.com/watch?v=I-S3oqRdS8Y
※3:https://kiss951.com/2022/01/24/these-tiktoks-show-how-charlie-puth-made-his-new-single-light-switch/
※4:https://www.tiktok.com/@charlieputh/video/7068815465082129707
※5:https://www.nbcphiladelphia.com/news/local/see-you-again-charlie-puth-wiz-khalifa-vail-cerullo-furious-7/69698/

■楽曲情報
チャーリー・プース
「Left and Right (feat. Jung Kook of BTS)」
2022年6月24日(金)配信リリース
ダウンロード/ストリーミングはこちら

■アルバム情報
チャーリー・プース
アルバム『CHARLIE』
2022年10月7日(金)全世界同時リリース
日本盤CD¥2,860(税込)
プレオーダー/プレセーブはこちら

「That’s Hilarious」
「Light Switch」
「Left and Right feat. Jung Kook of BTS」
ほか全12曲収録予定
(日本盤CDにはボーナストラック追加収録予定)

※公式ショップ、ワーナーミュージックストア限定アルバム
『CHARLIE』+Tシャツ+サイン入りアートカード(数量限定)限定セット

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