nobodyknows+、“兼業スタイル”で鳴らし続けてきた音楽 「THE FIRST TAKE」での「ココロオドル」舞台裏を振り返る
「〈音楽は鳴り続ける〉を地で行く感じです」(ホクロマン半ライス!!!)
ーーリリースから20年近く経ちますが、今回、改めて振り返ってみたら、6人に増員してnobodyknows+という名義にしたのが2003年6月。g-tonさんは2007年4月に脱退を発表したので、6人での活動期間は、実は3年ちょっとしかないんですよね。
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:へぇー。初代タイガーマスクくらいですね(笑)。
ヤス一番?:意外と短いんですね。
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:数字で言われると、短いって感じがするね。
ーー一気に駆け抜けた感じがありますか? それともずっと続いている感じがありますか?
DJ MITSU:続いている感じの方が強いですね。
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:うん。続けてきた感覚の方が強い。
DJ MITSU:g-tonは抜けたけど、帰ってくると年末にやってる『出張ネバーランド』とかで一緒にライブをしていたので。直近だと2019年の『出張ネバーランド』はg-tonに出てもらったし、帰国してタイミングが合うときは「出る?」「出ます」っていう感じでやってきたので。だから、駆け抜けたというよりは、ずっとみんなで楽しみながらやり続けてきた感覚はありますね。
ホクロマン半ライス!!!:そもそも「ココロオドル」で、〈音楽は鳴り続ける〉って歌ってますからね。まさにそれを地で行く感じです。今の僕らを当時から予言してたんです(笑)。
DJ MITSU:名古屋でずっとやってきたことがそこに繋がるのかもしれないです。もうとっくに辞めたと思ってる人とか、解散したと思ってる人も世の中にたくさんいると思うんですよ(笑)。でもそれを僕らが耳にしても悲しくないというか、「別に普通に続けてるしな」みたいな感じなので。名古屋にいると、みんな楽しそうに音楽をやってるから、これが当たり前の感覚になっちゃっていて。今回、「THE FIRST TAKE」で、10年ぶり、20年ぶりに聴いたっていう人がいるのは嬉しいことなんですけど、こうしてやり続けられたのは名古屋のおかげだと思います。ずっと地元を大事にしてきて良かったなと思ってます。
ーー6月22日には「THE FIRST TAKE」第二弾として「Hero's Come Back!!」が公開されました。こちらの収録はいかがでしたか。
ホクロマン半ライス!!!:間違えなくて良かったです(笑)。
ヤス一番?:ここで間違えたら、みんなライブに来なくなりますよ。
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:信頼感がなくなるから(笑)。
ヤス一番?:だから、かなり緊張感がありましたよ。サングラスを着けるか着けないかも悩みました(笑)。とにかく間違えないで良かった。
Crystal Boy:でも、僕はちょっとゴニョゴニョっとしてます。
DJ MITSU:ちょっと変な(リズムの)走り方をしてる。
Crystal Boy:言い訳じゃないですけど、イヤフォンが半掛かりだったのか、終始、自分とノリの声しか聞こえなくて。途中でスタッフさんが気づいて止めてくれるかな? と思って、ちょっとふわふわやってたら、そのまま進めるんだと思って。
ヤス一番?:んー、失敗したときはちゃんと認めた方がいいよ(笑)。
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:そう、言い訳しない方がいい。走ったなら「走った」(笑)。
Crystal Boy:はい、走りました(笑)。
ーー「THE FIRST TAKE」では、普段のライブと違って、メンバーが輪になって歌いました。その点はどうですか?
ホクロマン半ライス!!!:正面を向かないですからね。お客さんを見て歌うとか、カメラを見て歌う感じじゃなかったから、確かに視線に困りましたね。
ホクロマン半ライス!!!:メンバーを見て歌う感じになってるから。
ーーちょっと気恥ずかしい?
ホクロマン半ライス!!!:恥ずかしいというか、いつもそうやって歌わないから。メンバー同士で輪になって歌うことはレコーディングでもないし、それこそ“ファーストテイク”、初めてに近い体験で不思議な感覚でした。
ーー7月20日に「ココロオドル」と「Hero’s Come Back!!」を両A面にした7インチアナログ盤が発売されます。自分たちの曲が7インチになるのはどんな気分ですか?
DJ MITSU:7インチで出ること自体はすごく嬉しいです。アナログレコードが好きな人も多いと思いますし、クラブの現場で曲がかかるのはいいことだなって。
ーー5人はアナログレコードを買っていた世代ですよね。
Crystal Boy:そうですね。
DJ MITSU:昔はみんな買ってたし、ノリはしばらくアナログを買い続けてましたね。
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:今はほとんど買わなくなりましたけどね。最初はヒップホップとか、アナログで追いかけてました。だから僕も7インチ化は嬉しいです。完成品が出来上がったら家に飾ります。
ヤス一番?:そうだね。今、アナログは飾った方が洒落てるかもね。
「ヒップホップがこんなに市民権を得たと思うと嬉しい」(Crystal Boy)
ーーみなさんは20年以上活動を続けてきましたが、今の日本のヒップホップシーンにどのような印象を持っていますか?
ヤス一番?:ラップ上手いですよね、日本の若い子は。かっこいいアーティストもいっぱい出てきていますし、今の人たちは選択肢が増えていていいんじゃないですか。昔は「ヒップホップはこうあるべき」みたいな固定概念があったじゃないですか。そういうちょっと気難しい音楽から、誰でも入れるような音楽になったことは良いことだと思います。
ーー敷居が低くなったというか、門戸が開かれたというか。
ヤス一番?:そうですね。今はどういう生き方をしている人でもラップできるじゃないですか。どんなバックボーンを持っていても、そのままの生い立ちで誰でもやれる。
ーー1stアルバム『Do You Know?』が2週連続でチャート1位を記録して、80万枚のヒット。『紅白』にも出てオーバーグラウンドで活動するnobodyknows+を、当時、セルアウトと評する人もいました。
DJ MITSU:当時は今と意味の違う自由さがありましたね。僕らは自由にやればいいと思っていたから、それをやっていただけで、ヒップホップだからこうしなきゃいけないっていうところから完全にハズれたことをやれていたんです。それで、僕らみたいなことを周りでやってる人たちがいなかったからスパンと抜けられた。今はいろんな成功例がありすぎて、選べる感じになっているから、僕らの頃とは意味の違う自由さがあるように思います。
ーーCrystalさんは専門学校で教えている生徒たちを見て、どのように感じていますか?
Crystal Boy:もう当たり前にヒップホップを聴いているし、教えることをすごく喜んでくれるし、ヒップホップがこんなに市民権を得たと思うと嬉しいですね。あと、今の若い子は耳が肥えてるなと思ってびっくりします。
ーー耳が肥えているというのは?
Crystal Boy:僕らの頃は、韻を踏んでいることに気づいてもらえないとか、それを説明するところから始めていたけど、今は韻を踏むことは当たり前にわかっているし、たとえばZORNのリリックの解説をしてもちゃんと構造を理解した上で驚いてくれたりするんです。だから、耳が肥えたなって。
ーーそういう生徒さんたちはヒップホップの歴史や、古い時代のヒップホップにも関心を示すんですか?
Crystal Boy:リリックを書かせる授業はめちゃくちゃ喜ぶんですけど、歴史の授業は3分の1くらいの生徒が寝てますね(笑)。早く実技やりましょうよ、みたいな。
ーー自分でリリックを書きたいんですね。
Crystal Boy:そうなんです。しかも、びっくりするほど早く吸収するし。リリックを書いて、自分でそれをラップにして歌って披露するところまでが最終課題なんですけど、9割くらいの生徒が半年で1曲書けるようになるんで。その対応力には驚きます。
ーー最後になりますが、今後、どんなスタンスで、どんなペースで活動していきたいですか?
ヤス一番?:コロナも少しずつ落ち着いてきているので、ここから調子を上げて行ければいいですね。今回の「THE FIRST TAKE」をきっかけに僕らのことを知ってもらえたのなら嬉しいし、ライブとかに呼んでもらえるならありがたいです。以前と変わらずに現場は盛り上げるんで。
ーー今回の「THE FIRST TAKE」が営業オファーの起爆剤になれば良いと(笑)。
DJ MITSU:わかりやすく言えばそれです(笑)。
ーーコロナ以前はどれくらいのペースでライブをしていたんですか?
DJ MITSU:2019年は1年で20本くらいですね。今、忙しいように言いましたけどそんなにしてないんですよ(笑)。
ヤス一番?:もっとやってる気がしますけどね。
DJ MITSU:ライブの翌日にも現地で飲んで……とかやってるから、いろんなところに行ってる気がするけど、そうでもないんです。
ーーこの先、その数字をどうしていきたいですか?
DJ MITSU:でもね、何事もやり過ぎは良くないから。
ヤス一番?:あまりやり過ぎても飽きられちゃうし。
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:22で(笑)!
DJ MITSU:うん。それくらいが調子いい。1割増しで!
ヤス一番?:そんなに休めない人もおるしね。
ホクロマン半ライス!!!:みんな仕事あるし。僕らは兼業スタイルですから(笑)。
■リリース情報
タイトル:『ココロオドル/Hero's Come Back!!』
アーティスト名:nobodyknows+
発売日:2022.07.20.
品番:MHkL-67
価格:¥1,980(税込)
仕様:45RPM、7inch
(収録楽曲)
Side-A:ココロオドル -original version-
Side-B:Hero's Come Back!!
(商品特設サイト)
https://www.110107.com/nobodyknows_7inch
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