nobodyknows+、“兼業スタイル”で鳴らし続けてきた音楽 「THE FIRST TAKE」での「ココロオドル」舞台裏を振り返る

nobodyknows+「THE FIRST TAKE」出演語る

「リバイバル感は僕らの中にはない」(DJ MITSU)

ーーそんな裏話がありつつ、収録日を迎えるわけですが、ヤスさん、本番でやらかしちゃいましたね(笑)。

ヤス一番?:やっぱり弱いですね。これだけのスタッフが動いてると思いながら歌うと(歌詞を)間違えますよ、やっぱり。

ーー間違えた瞬間、どんな感じでした?

ヤス一番?:うぁ〜と思いましたよ。サングラスつけてる場合じゃないなと思ってました(笑)。

一同:(爆笑)

ヤス一番?:サングラス外さなアカンでしょ、間違えたんだから。

ーーヤスさんがしくじって、ノリさんがニヤニヤし始め、Crystalさんがよたよたして、g-tonさんもしくじるっていう連鎖が起きました。

ヤス一番?:g-tonさんは最初の〈届けたい〉のところから声がうわずってたもんね(笑)。

Crystal Boy:周りが緊張感を煽る感じがすごくあったんですよ。あまりにも僕らに緊張感がないから「いいんですか? いいんですか? 本番始めますよ」みたいな。

ーー間奏で、可笑しなムードに耐えきれなくなったホクロマンさんが声を上げて笑っちゃったじゃないですか。

ホクロマン半ライス!!!:あの笑い声は自然に出たんですよね。

ーー声を上げて笑ったことで、メンバーにも笑い声が広がって、一気に楽しい雰囲気に変わった。だからこそ、これだけの反響を巻き起こしたんじゃないかと思うんです。あの笑い声が怪我の功名というか、禍転じて福となった。

ホクロマン半ライス!!!:そう言っていただけると最高です。失敗したから、もう1回やらなアカンの? と思ってたんですよ。ルール違反だけど。でも最終的に楽しい感じで終わったから良かったなって。

ーー収録終了直後のスタジオはどんな雰囲気だったんですか?

DJ MITSU:急遽g-tonが入ったことで僕はちょっと離れた場所で同時収録になったんですよ。収録が終わって、僕だけちょっと遅れて控え室に戻ったらヤスがデカい声で「さーせんでしたっ!」ってすごい勢いで頭を下げてきて(笑)。もうそれも面白いし。一応、撮ったものを現場で見直したんですけど、最後までめっちゃ面白かったし、誰も暗くならずに終わりました。

ヤス一番?:全然、誰からも責められなかったんで、僕だけ東京に延泊して帰りました(笑)。間違えたくせに。サングラスも取らず。東京で遊んでました(笑)。

ーー「ココロオドル」の「THE FIRST TAKE」は、大反響を巻き起こし、iTunesのヒップホップ部門ソングチャートでも「ココロオドル」が1位になりました。その状況をどう受けとめていますか?

ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:畑に行くと、いつもいるおじいちゃんが何も言ってこないんで、まだ信用してないです(笑)。「今日も草、大変やな?」って言ってくるおじいちゃんが。

ヤス一番?:おじいちゃん、iTunesやっとらんやろ(笑)?

Crystal Boy:何も日々は変わらないですね。一緒に働いてる子が「すごいことになってますよ! 1日100万、増えてますよ!」みたいに教えてくれたりするから「あぁ、ありがとね」って感じです。

ホクロマン半ライス!!!:僕も同じです。お店にいる大学生のバイトの子が1回1回教えてくれるんですよ、「いいですね」って。だから、「いいだろ、俺?」って言ってます(笑)。

DJ MITSU:僕もお世話になっている仕事関係の方が喜んでくれるのが嬉しいですね。「すごいですね」「ありがとうございます」って。

ーーヤスさんはどうですか?

ヤス一番?:僕、子供が3歳なんですけど、保育園の先生に「まだまだ現役ですね」って言われました(笑)。まだまだ現役ってどういう意味なんだよと思って(笑)。夜の方の話かな、と(笑)。

ーーこの曲がリバイバルしている、という感覚はありますか?

DJ MITSU:リバイバル感は僕らの中にはないですね。コロナ禍でしたけど、どこに行ってもこの曲は盛り上がるんです。「THE FIRST TAKE」前に福岡でライブしたときにめちゃくちゃ盛り上がりましたし。だからあんまり変わらないというか、「THE FIRST TAKE」の手応えはまだそんなに実感してないですね。

「「ココロオドル」を聴いて泣くという感覚が不思議」(Crystal Boy)

ーーYouTubeのコメント欄に寄せられたメッセージはご覧になりましたか?

Crystal Boy:見ました。「泣いた」とか「号泣した」っていうコメントが多いことにびっくりしました。先輩からも「聴いてたら大泣きして、頭おかしくなったんかと思った」とか言われましたし。青春を思い出すのか、友達を思い出すのか、「ココロオドル」を聴いて泣くという感覚が不思議だなと思って。

ーーでも、nobodyknows+は、「泣き踊り」を曲作りの大きなテーマにしていましたよね。踊れるけど哀愁がある曲みたいな。

DJ MITSU:言ってましたね(笑)。

ーーそういう意味では、まさに泣き踊りじゃないですか。

DJ MITSU:本当、そうかもしれないです。

ーーそもそも「ココロオドル」は、どのように作った曲なんですか?

DJ MITSU:ビートは、その前に出した「以来絶頂」という曲のビートを作り替えたものなんです。「以来絶頂」は6人になって初めて出した曲で、僕はかなり手応えがあったんですけど、あまり評価されなかったから、もう1回同じグルーヴで勝負してやろうと思って。そういうパターンってあまりないと思うんですけど、そこに「以来絶頂」のあとに出した「ススミダス→」や「ポロン2」のメロディ感も踏襲して作った気がします。

ーー当時、5MCは珍しい形態でしたが、ラップの掛け合いが見事でした。そのあたりはどのように考えて取り組んでいましたか?

ヤス一番?:「ココロオドル」は、とにかく韻を踏みまくる曲をやろうと言ってたのを覚えてます。

ホクロマン半ライス!!!:当時は、2-8(ツーエイト)回しを基本にしてましたね。それで「ココロオドル」も書き始めてる。

DJ MITSU:ひとり4小節で回していくっていう。だから通常より短いんですよね。その中でさらに、ここを誰かに歌ってもらうっていうのがちょこちょこある。

ーーそうして生まれるリズミカルな掛け合いが「ココロオドル」の楽しい雰囲気をさらに増幅させているんだと思います。

DJ MITSU:曲調としても、とにかく楽しい感じがいちばんに伝われば良いと思っていたので。みんなが4小節で韻を踏みまくって、細かく被せたり、合いの手を入れて曲を補強していくっていう作り方をしていたんです。

ーー「ココロオドル」のヒットで2004年末の『NHK紅白歌合戦』に出演しました。『紅白』の思い出はありますか?

DJ MITSU:「マツケンサンバ」ですね。「マツケンサンバII」が同じ年にリリースされたんですよ。

ホクロマン半ライス!!!:「マツケンサンバ」に一緒に出させてもらったんです。あのとき着た半被は今も持ってます。

DJ MITSU:俺も。

ヤス一番?:俺も。

DJ MITSU:みんな家に持ってる(笑)。

ヤス一番?:マツケン(松平健)さんも今またブレイクしてますよね。

Crystal Boy:去年、『紅白』出てましたよね。

ーー17年ぶりに『紅白』にカムバック。

ヤス一番?:だったら、着てくれば良かったですね、今回の「THE FIRST TAKE」で(笑)。

ーー『ココロオドル』をリリースした翌年の2005年は3カ月に1枚シングルを出して、アルバムも出して、翌2006年は47都道府県ツアーを開催しました。当時は超忙しかったんじゃないですか?

DJ MITSU:ツアーが始まると忙しくなるよね。

ヤス一番?:朝起きたら、どこにおるかわからんかったもんね。

ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:確かに。でも、楽しかったですよ。いい思い出です。

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