林勇がマイキーで歌う「Cry Baby」、雨宮天の『THE FIRST TAKE』……100万再生超える声優たちの歌唱動画
YouTubeにアップされた動画において、通常のアーティストでも一部を除いては100万回以上再生されるのは至難の技。本稿では、そんな高いハードルを飛び越えた声優たちによる歌唱動画をピックアップ。なぜこれほどまでに再生されるのか、何度も見返してしまう映像の中毒性などについて考察していく。
ファンの心揺さぶるマイキーが歌う「Cry Baby」
TVアニメ『東京リベンジャーズ』(TOKYO MXほか)の公式YouTubeチャンネルでは、キャストがアニメ主題歌を歌うカバー企画が好評を得ている。eillによる第1クールED「ここで息をして」を橘 日向役の和氣あず未が歌った第1弾、泣き虫の第2クールED「トーキョーワンダー。」を羽宮一虎役の土岐隼一が歌った第2弾は、どちらも100万回を超える再生数を記録した。10月11日にはその第3弾として、OPテーマであるOfficial髭男dism「Cry Baby」を佐野万次郎役の林勇が歌うスペシャルバージョンも公開され、現在までに250万回を超える再生数を記録し、人気を集めている。
林は、音楽プロデューサー・太田雅友とのユニット、SCREEN modeのボーカルとして2013年にアーティストデビュー。熱さのあるボーカリゼーションとハリのあるハイトーンを武器に、これまでに11枚のシングルと3枚のアルバムなどをリリース。『Animelo Summer Live』や『ANIMAX MUSIX』などアニソンフェスにも多数出演するほか、『文豪ストレイドッグス』(TOKYO MXほか)や『黒子のバスケ』(MBS、TOKYO MXほか)など人気アニメシリーズのテーマソングを務めてきた。なお、SCREEN modeとして担当した、『文豪ストレイドッグス』第2クールOP主題歌「Reason Living」のMVも390万回を超える再生数を記録している。
Official髭男dismの「Cry Baby」は、ごまかしの効かないミディアムテンポとゆったりめのメロディライン、そして時折効果的に出てきては耳を引くハイトーンなど、歌に自信がある人でも歌いこなすのは相当難しい楽曲。それを佐野万次郎=マイキーとして歌いこなしているところは、声優としてはもちろんシンガーとしての実力もあればこそ。林がマイクに向かって歌うスタジオ映像と共に、アニメの名シーンも重ねられた動画は、熱いケンカの裏にあったマイキーの思いが歌詞とも重なり、『東京リベンジャーズ』ファンの心を揺さぶる内容に仕上がっている。
声優三姉妹【チームY】によるYOASOBI「夜に駆ける」の歌ってみた動画も、現在までに110万回を超える再生数を記録している。
声優三姉妹【チームY】は、声優事務所 響に所属する佐々木未来、伊藤彩沙、愛美の3人で結成され、昨年4月からYouTube上で活動をスタート。「歌ってみた」や「踊ってみた」などの動画を始め、ファッション、ゲーム実況、ASMR、検証ものなど多彩な動画をアップして人気を集め、累計動画再生数は2,900万回を超える。その中でも歌ってみた動画は人気で、これまでにAdoの「踊」や「うっせぇわ」、supercell「君の知らない物語」、Eve「廻廻奇譚」、瑛人「香水」などをアップ。YOASOBI「夜に駆ける」も、早口のメロディを流れるように歌っており実に心地いい。
声優三姉妹【チームY】の歌ってみた動画は、個々でも声優やアーティストとして活躍する3人の、三者三様の声質や歌い方の違いが魅力だ。ただ歌うだけでなく、曲に合わせた衣装や映像など工夫を凝らしているほか、収録の裏側に密着した動画も後日アップしていて、そのネタばらし的内容も実に楽しい。密着を見てまた歌唱動画を見返し、さらにほかの動画も見てしまう……そんなループに陥る仕掛けにハマり、何度も見てしまうファンも続出しているのではないだろうか。