日向坂46、2度目のドキュメンタリーに描かれるものは? グループに対する“希望と絶望”の意味を考える

 日向坂46は、その特殊な立ち位置もあってファンとの結束力が一層強い。欅坂46というグループの勢いが強すぎたが故に、不遇とも取れる扱いを受けることがありながらも、常にファンと二人三脚で歩みを進め、デビューに辿り着いたというストーリーがある。その反面、コロナ禍でライブの延期や中止によって、ファンが離れていってしまうのではないかと不安に駆られるのは無理もなく、そこでメンバーが進退を考えることも自然だったように思う。

 予告映像には、加藤史帆がチアの姿で苦しい表情を浮かべているシーンがある。これは5thシングル『君しか勝たん』のヒット祈願企画で、本格的なチアリーディングに挑戦するシーンだ。新曲プロモーションの合間を縫って本番の一発勝負という、おひさまも心配するほどのハードスケジュール。本番前日に加藤は、朝のレギュラー番組、夕方は始球式、深夜はラジオ出演と多忙を極め、本番ではバク転に失敗して泣き崩れることもあった。それから間もなく『W-KEYAKI FES.2021』が行われ、真夏日でのハードなセットリストで体調を崩すメンバーが出てしまい、スタッフからは「ガムシャラ感がない」と指摘されるなど、負の連鎖が続いていく。これは当時の日向坂46に起こった出来事の一端でしかないが、こういった苦しい局面をグループとしてどう乗り越えていったのか、そして休養メンバーと残されたメンバーの心境が最大の見せ場になってくると考えられる。

 今作において注目したいメンバーは、小坂菜緒と卒業が決まっている渡邉美穂だろう。

 竹中監督は、「日向坂を知るにはセンター小坂菜緒の苦悩を知れ」と『アカデミーナイトG』(TBS系)へのリモート出演時にコメント。小坂菜緒は、引っ込み思案の自分を変えるためにアイドルを目指し、ひらがなけやきが好きという理由でグループに加入したが、そこで二2期生ながらセンターという大役を担うこととなる。第一作では、一期生を差し置いてセンターに抜擢されたことへの葛藤からなのか、当初は常に硬い表情を見せていた小坂が、『第61回 輝く!日本レコード大賞』のパフォーマンスで自然な笑顔、最高の表情を見せていく模様が描かれていた。周囲から支えられながら成長していった小坂がなぜ休養に至ったのか、センター不在の期間をどうメンバーが乗り越えていったのかが明らかになる。

 渡邉美穂は予告映像で「私が今この手を離したらこの子はもう二度と戻って来ないかもしれないと思ったので」と語っている。おそらく、その相手は、休養中に何度も連絡をとっていたという小坂の可能性が高い。渡邉と小坂の友情物語のバックストーリーをはじめ、渡邉がグループにとってどんな存在だったのかを知る最後の機会にもなる。

 『絶望と希望』は、グループカラーとはギャップのあるタイトルのようにも感じられる。しかし、ドーム公演の延期やメンバーの休養というネガティブな出来事が続いた一方で、メンバー同士の絆をより強固なものにしたのも、この期間だったように思う。同じハッピーエンドだったとしても、苦しい時間を共に乗り越えたドーム公演だからこそ、最後の大団円が唯一無二の感動的なものになった。

 もちろん、彼女たちの苦しむ姿を見たくないというファンの気持ちも理解できる。ただ、光と影を受け止めることで、よりグループへの愛情が深まることもあるだろう。また個人的に気になるのが、監督が東村芽依と3ターンまで会話できるようになったと発言していたこと。第一作ではほとんど話しているシーンがなかった東村が、今作では何を語るのか。そして、エンディング曲は何が流れるのか。公開日を心待ちにしたい。

日向坂46ドキュメンタリー映画第2弾『希望と絶望』予告

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