DA PUMP、25年間の集大成的エンターテインメント 祝祭感に溢れた最新アリーナツアー最終公演レポ

DA PUMP、25年間の集大成的エンターテインメント

 メンバーがステージからはけ、スクリーンに映し出されたのは「Dream on the street」のMVだった。暗転していたステージに、同曲MVに出演したYOSHIE(V6やKinKI Kidsらの振付でおなじみで、「紡-TSUMUGI-」の振付も担当)、akihic☆彡(元Beat Buddy Boi)、Show-hey(RADIO FISH)ら国内外で活躍する通称“アベンジャーズダンサーズ”が登場し、そのままダンスコーナーへと突入。KIMIがクランプ、YORIがポップ、U-YEAHがヒップホップ、KENZOがロックとそれぞれの代名詞のようなジャンルを、先輩&仲間たちを従えソリッドなパフォーマンスで見せていく。やや変り種だったのが、近年のシングル曲の振付を担ってきたTOMOのセクションで、アルバム楽曲「Lean Back~俺たちのキーワード~」に盛り込まれたリーンバック(後ろに寄りかかる)など、TikTokなどで人気を博したインパクトのあるムーブを連発。最後のソウルセクションではISSAがYOSHIEらを引き連れ、貫禄のパフォーマンスでコーナーを締めくくった。KENZOの力強いムーブを皮切りにスタートする「Dream on the street」では、この豪華ゲストダンサーズとともに賑やかかつパワフルなコラボパフォーマンスを展開し、会場の熱気がピークに。さらにライブの定番曲の1つである「We Can't Stop The Music」がドロップされ、メンバーとDPCが拳を掲げ合う。“音楽を止めなかった”時期を経たこの曲は、より力強さを放っているように感じた。

 一息ついてのMCでは、DA PUMPに憧れるキッズだった頃を振り返りつつ「まだISSAくんと目が合うとドキドキしちゃうんですよ」と言うKIMIへの「そろそろ慣れろや!」というISSAのツッコミも微笑ましかった。またファンからの質問コーナーで、ISSAの尊敬しているところを問われたKENZOの「心の中に青い炎が燃えているようなところ。いかにも熱そうな赤い炎と違って内に秘めた信念みたいなものを感じるから、着いていきたくなる」というコメントにも拍手が起こっていた。

 ライブ終盤は一気にお祭りモードに。「U.S.A.」ではツアー前にレクチャー動画が配信されたペンライトを使った振付をメンバーもDPCとともに踊り、一体感のあるパフォーマンスで盛り上げた。「Heart on Fire」では、ペンライトを持ったまま全力で”PPPH”や”ロマンス”などのヲタ芸を展開。そこからTOMOによる振りレクチャーのあと、「Lean Back~俺たちのキーワード~」へとなだれこむ。DPCたちが一斉に同じ方向を向いて”寄りかかる”ダンスや、Gakushi入魂のソロ(1人でドラム、キーボード、シンセギターなどを連続で演奏)などで会場はカオスな様相に。ライブ本編を初期のプロデューサーであり関わりの深いm.c.A・Tのカバー「Oh! My Precious!」で締めくくったが、これがアンコールでのスペシャル企画の”振り”になっていたとは……!

 アンコール1曲目「if...」の後、懐かしいイントロに客席がざわざわし始めた。アリーナツアーの中でもこの日だけの特別企画、m.c.A・Tメドレーがスタートしたのだ。「intro~Higher and Higher!~」で、m.c.A・TがシンガーA・T名義で参加するR&Bグループ·BETCHINのJinとTommyが登場し、「Joyful」ではYORIとU-YEAHも参加してゴスペル風の厚みのあるコーラスを聴かせた。m.c.A・Tのヒット曲「Bomb A Head!」(1993年)からは本人も加わって、強力なハイトーンボーカルで会場を盛り上げていく。ISSAも男性としては音域が広いほうではあるだろうが、「ごきげんだぜっ! ~Nothing But Something~」などでISSAのパートに上ハモを重ねる音域の広さには圧倒された。メドレー最後の曲は25年前のこの日にリリースされた「Feelin' Good ~It's PARADISE~」で、ISSAとm.c.A・Tが見つめあって繰り出すハーモニーが目と耳に焼き付いている。ちなみにm.c.A・TがDA PUMPのライブに出演するのは実に24年ぶりとのことで、記念日にふさわしいスペシャルなコラボとなった。

 アンコールを「Super Power」で締めくくり、最後のMCではDPCへはもちろん、「Dream on the street」のゲストダンサーズなど、さまざまな形でグループを支えてくれた人たちへの感謝のメッセージが語られた。TOMOは「この景色を一生忘れません。DA PUMPという船に決心して乗り込んで、ここまでついてきてよかった。まだまだみなさんといろんなところに行きたいので、ついてきてください!」と力強く宣言。YORIの「DA PUMPを守り続けてきたISSAくん、25年間お疲れ様です。そしておめでとうございます!」のコメントにISSAは「俺が卒業するみたいじゃない? もっといさせてくれよ!」と全力でツッコミを入れていた。そんなISSAは「16、17で右も左もわからないまま東京に出てきて、まさか25年やるとは思ってなかったですね。ただ一つ思うのは、純粋にこの仕事が好きなんだろうなって」とこれまでを振り返り、「まだまだやれる限りは楽しんでいきたいと思います」と締めくくっていた。

 師匠やストリートダンス界の先輩・仲間たちとの共演、DPCとの一体感のある演出など、25年かけて築き上げてきたDA PUMP流エンタメを総決算といえるボリューム感で届けたツアーファイナル。最後に特大の投げキッスを繰り出しステージをはけていくISSAと、それを見守る老若男女のDPCたちの笑顔に温かな絆を感じた夜だった。

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