山下達郎、Official髭男dism、SEKAI NO OWARI、Stray Kids、HKT48……6月22日リリースの新譜5作をレビュー

 毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は6月22日リリースの山下達郎『SOFTLY』、Official髭男dism『ミックスナッツ EP』、SEKAI NO OWARI『Habit』、Stray Kids『CIRCUS』、HKT48『ビーサンはなぜなくなるのか?』の5作品をピックアップした。(編集部)

山下達郎『SOFTLY』

 東日本大震災が発生した年、2011年に発表された前作『Ray Of Hope』以来、じつに11年ぶりとなるオリジナルアルバムが到着。動乱の時代を音楽で柔らかく包み込みたいという思いを込めて『SOFTLY』と名付けられた本作には、「光と君へのレクイエム」(映画『陽だまりの彼女』主題歌)、「ミライのテーマ」(映画『未来のミライ』オープニングテーマ)といったシングル曲に加え、エレクトロ系の4つ打ちビート、シンセベースが心地いい「LOVE’S ON FIRE」、カントリーロックを洗練されたポップスに導いた「人力飛行機」、離れた場所の戦火に対する無力感を滲ませる「OPPRESSION BLUES(弾圧のブルース)」、〈君となら分かち合える〉と歌うエモーショナルなラブソング「YOU」など15曲を収録。昨今は“シティポップ再評価の中心的なアーティスト”と評されることの多い山下だが、外部の評価やトレンドとは関係なく、市井の人々のためのポップミュージックを追求し続ける姿勢こそが、彼がレジェンドと称される理由なのだと思う。(森)

山下達郎「SOFTLY」Trailer

Official髭男dism『ミックスナッツ EP』

 しなやかなランニングベースを軸にしたリズムセクション、ジャズ、ロック、ポップスを自由に行き来するアレンジが気持ちいい「ミックスナッツ」(TVアニメ『SPY×FAMILY』オープニング主題歌)をリードトラックにした新作EP。シンプルで力強いバンドグルーヴ、抑制を効かせたメロディラインとともにシリアスな色合いを感じさせる歌が響く「Anarchy」(映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』主題歌)、ホーンセクションの心地よい響きからはじまり、藤原聡(Vo/Pf)のレンジの広いボーカルが解き放たれていく「Choral A」(映画『異動辞令は音楽隊!』主題歌)、そして、洗練されたコード進行と管楽器、ピアノを中心にして練られた編曲が楽しい「破顔」を含め、音楽的なトライアルとわかりやすい大衆性を兼ね備えた楽曲が並ぶ。ジャンルを超越しながら個性を発揮する、理想的な作品だ。(森)

Official髭男dism - ミックスナッツ [Official Video]

SEKAI NO OWARI『Habit』

 学校を舞台に、教師役のFuakseが独創的なダンスを披露するMV(6月20日時点で再生回数3500万回を突破)も話題の新曲「Habit」は、作詞:Fukase、作曲:Nakajinによる楽曲。メッセージの中心にあるのはおそらく、〈自分で自分を分類するなよ/壊して見せろよ そのBad Habit〉だろう。あらゆる人間や表現、事象、さらには自分自身をジャンル分けしてしまいーー自分は陰キャ/陽キャだから、才能がないから/あるからーーそのなかに収まってしまう悪癖を壊し、〈曖昧で複雑で不明瞭なナニカ〉である自分を信頼しながら生きてほしい。Fukaseが年下の人に対して話しているような歌詞なのだが、その言葉は年齢やジェンダーを越えて、すべての人間に響くはずだ。生楽器の響きを活かしながらもしっかりと抑制を効かせたサウンドメイクも、シニカルで真摯な歌の世界を際立たせている。(森)

SEKAI NO OWARI「Habit」

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