新連載「lit!」第2回:(G)I-DLE、IVE、BIGBANG……春のK-POPチャート賑わせるヒット曲 BTSら、定番春ソングも

 リアルサウンドで5月から新連載「lit!」が始まるということで、今回担当させていただくDJ泡沫です。主に韓国の音楽・カルチャー関連の記事を書いています。

 韓国はインターネット化がかなり早く進んだために、国民の8割以上がMelOn、genieといった韓国オリジナルの音源配信サービスを利用しており、音楽のデジタル化やストリーミングもアメリカより早く定着していました。そのため、現在CDを購入するのはアイドルファンなどに限られ、一般的にはストリーミングで聴かれていることから、音源サイトのチャートがほぼそのまま韓国内での大衆的な流行を表すことが多いです。今回は新曲のリリースが多い、春の音楽チャートを賑わせている曲と、春の定番ソングを紹介します。

【チャートを賑わすヒット曲】

(G)I-DLE「TOMBOY」

(여자)아이들((G)I-DLE) - 'TOMBOY' Official Music Video

 K-POPのガールズグループでは珍しく、メンバーが楽曲制作やプロデューシングに関わっていることでも知られる(G)I-DLEが3月にリリースした新曲。欧米のポップスでも近年流行が見られるロックベースのハードなギターサウンドと、「イカれたフリをしてるって言えばいいよ/私が何を損するの?/容赦なく貶してみれば」という強烈な歌詞が特徴的な1曲。同楽曲はリリースされるとすぐさまチャート1位を獲得し、ほぼ2カ月間、主要音源チャートのTOP5圏内にランクインし続けている。昨年いじめ疑惑でメンバーの1人が脱退し、空白の期間が長かった後にリリースされた楽曲であることを考えると、収録されたアルバムのタイトル(『I NEVER DIE』)も含め味わいが増す。

IVE「LOVE DIVE」

IVE 아이브 'LOVE DIVE' MV

 元IZ*ONEのメンバーが所属し、今年1月にデビューしたばかりでありながら、大きな注目を集めるホットなガールズグループの仲間入りを果たしたIVEの4カ月ぶりとなる新曲。グループ含め、メンバーはキュートなイメージが強いが、楽曲はシックでどこか物憂げな雰囲気が漂い、そのギャップが魅力ともなっている。自己愛を大事にするZ世代らしさを反映していると思われる歌詞は、「愛」という言葉をあえて使わずに愛の物語を描いているという点でも、最近の韓国の若者たちの感性を表現してるようにも感じる。4月のリリースからじわじわとチャートを駆け上がりTOP3にランクイン。韓国で最も利用者の多いMelOnのユニークリスナー数(固有視聴者数)も、通常であれば1位になってもおかしくない50万人を超えており、グループの人気と勢いがそのままチャートにも表れているようだ。

Red Velvet「Feel My Rhythm」

Red Velvet 레드벨벳 'Feel My Rhythm' MV

 昨年デビュー7周年を迎えた、SMエンターテインメント所属のガールズグループ・Red Velvetが3月にリリースした新曲。クラシックの定番曲「G線上のアリア」をサンプリングしており、春らしいのどかな優雅さも感じられる旋律に、伸びやかなユニゾンボイスと現代的なアレンジが絡みあう。Red Velvetならではのキッチュで品のある世界観を十分に味わえる。こちらも通常であれば1位をとってもおかしくない好成績を記録し、上位をキープしている。

PSY「That That (prod. & feat. SUGA of BTS)」

PSY - 'That That (prod. & feat. SUGA of BTS)' MV

 「江南スタイル」で知られるPSYの9thアルバム『サダ9』のリード曲で、BTSのSUGAをプロデューサー&客演として迎えた。MVにはSUGAも参加しており、軽快なダンスを披露している。ラテン風味は新しいが、PSYのシグネチャーとも言える中毒性の高い反復するビートは健在。『LOVE YOURSELF』シリーズ以降、味わうことが難しくなっていたBTSらしいユーモラスなテイストが久しぶりに味わえる、思いがけない楽曲でもある。ヒットメーカー同士のコラボとあって、4月29日のリリースから音源チャートを上昇中。学園祭キングと呼ばれるPSYだが、韓国の学祭シーズン効果もあり、5月に入ってからさらに順位を上げている。

BIGBANG「Still Life」

BIGBANG - '봄여름가을겨울 (Still Life)' M/V

 本来であれば2020年の『コーチェラ・フェスティバル』にて復活予定だったBIGBANGによる4年ぶりの新曲。0時解禁という変則的なリリース(韓国の主要チャートではカウント開始は18時)だったが、通常は50万人前後で1位を取れるとされている24時間ユニークリスナー数がピーク時は90万人を超えるなど、長期間のブランクを感じさせないモンスター級の記録を残して主要チャートに君臨中だ。4人それぞれの個性的なボーカルが生きており、切なくてメロウな楽曲には自分達の物語が赤裸々に盛り込まれているあたり、実にBIGBANGらしい。

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