スカイピース、自然体のまま届けた熱いパフォーマンス 初の武道館は“ピースなお祭り空間”に
当初のセットリストの通り、肩を組んで歌った「相棒」では、「ありがとうじんじん。おかげで緊張がほぐれたよ」と、早速ハプニングをイジるテオに、「じんじんじゃねえよ!」と、照れながらでもどこかうれしそうに「曲中、相方の顔を見ると安心する」と返したじん。こんなふとした会話からも、2人の仲の良さがうかがえた。
「22歳の僕が母に贈った歌」では、それぞれが母親への思いを語り、「年齢を重ねて大人になって、母親の言ってくれていた言葉に何一つ間違いはなかったと気づくことができた」とじん。テオは小学5年生の時の誕生日を振り返り、母親が小さいケーキを買って来てくれたことを涙ながらに語った。「自分の優しさは母親から受け継いだもの。いつか子供ができたら優しい子に育てたい」と母親への感謝と共に、アコースティックギター1本で同曲を歌いあげると会場は温かい空気に包まれた。母の日が近いからこその選曲で、「みんなもお母さんに感謝を伝えてほしい」という2人のメッセージが感じられた。
見応えがあったのは、素肌に黒の衣装を身にまとって、格好いい姿を見せつけた本編終盤。本格的なダンスと共に披露したラップナンバー「Sexy Dance FLOOR」では、〈War War〉というコーラスに合わせ、ステージに炎が吹き上がる演出。「THE STAGE」では四つ打ちビートとEDMサウンドが会場に広がり、会場はクラブのフロアへと早変わりした。
そしてラスト2曲、観客は「え~!」と声を上げる代わりに、2人が発案した両手を挙げて後ろに体を反らすポーズで感情を表現。メジャーデビュー曲「スタートダッシュ」と「オタパリダンシン」を歌い、会場にはテープが発射。アンコールでは、昨年YouTubeに公開した「歌って踊ってみた」動画が300万回を超える再生回数を記録した「グッバイ宣言」をダンスパフォーマンスで披露した他、「Enjoy Summer」ではハッピを着て夏を先取り、ラストの「オタパリパーティー」では赤と青のパリピな上着を着て、ステージはパーティー会場のような華やかさに。最後までスカイピースらしいユーモアと楽しさ溢れるライブで8000人の観客を楽しませた。
「スカイピースのことを好きになってくれて、ここに来てくれて、みんなありがとう」と2人。舞台袖にはけたと思ったら、また戻って来て右や左にお礼をしてと、お茶目なところが実に彼ららしい。最後に、7月27日に発売予定のアルバムタイトルが『Grateful For 』に決まったことや、全国ツアー『SkyPeace TOUR2022「Grateful For 」』の開催などの発表も。日本武道館公演、アルバム、ツアーと、アーティストとして着実にステップを踏んでいく彼らだが、誰一人置いて行くことなくみんなのことを考え、格好つけようとしても格好つかない愛らしさがあり、決して嘘をつかない。ステージはどんどん大きくなっても、心はいつもYouTubeチャンネルで見せる姿と同じだと感じられた。いつもと変わらないスカイピースの2人が、笑顔でそこにいてくれた。それだけで十分だと思ったファンも多かっただろう。