さとうもか、観客を夢の世界へ誘った念願の“パジャマパーティ” 音楽を続ける決意も語ったワンマンライブ

さとうもか『Pajama Party 2022』ワンマンレポ

 岡山県出身のシンガーソングライター、さとうもかが3月23日に渋谷・duo MUSIC EXCHANGEでワンマンライブ『Pajama Party 2022』を開催した。昼夜2公演が行われ、第1部はラッパーでトラックメイカーのぜったくんとの2マンライブ、第2部はワンマンライブという内容となっていた。

さとうもか

 第2部の開演時間を迎えて客電が暗転すると、パジャマ姿のさとうもかとバンドメンバーがステージに上がった。さとうはステージの端にあるルームランプ付近へと向かった。真っ暗な中で「誰かの夢の中って見たことある? 今日はそんな誰かの夢の中を、ここにいるみんなとこっそり覗いてみようと思って、このパーティを開いたの」というナレーションが流れると、彼女はループランプの電源をつけて、ステージの中央に向かい、トイピアノを弾きながら観客を“誰かの夢の世界”へと誘っていった。

 オープニングナンバーは、子供の頃の夢や憧れを持ったまま大人の“私”となった「old young」。脳裏には、ピーターパンが迎えに来たウェンディたちのベッドルームが浮かんだ。そして、長い長いドラムロールが鳴り響き、いよいよ本格的な『Pajama Party』がスタート。長く付き合ってはいるが結婚までは見据えてない“君”に向けた、“私”のもやもやした気持ちを描いた「Woolly」、恋人同士になったばかりの戸惑いと不安からくる喧嘩が繰り広げられる「オレンジ」、眠れない夜を過ごしながら恋に胸を焦がす「Cupid’s arrow」と、終わりから始まりへと遡る3つのラブソングが歌われる。まるで、パジャマに着替えてベッドに入り、電気を消したところから始まる女の子同士の“恋バナ”を聞いているような時間となっていた。

さとうもか

 ここで、ステージに、横ではなく、縦に起き上がった状態のベッドが登場した。さとうがベッドに入って目を瞑ると、スクリーンには天使の羽と輪っかをつけた彼女が幽体離脱したかのように映し出され、スウィートでロマンチックな「Lukewarm」が始まった。〈寝ても見れない 夢をみている〉ような、恋に落ちてしまった天使は堕天して、人間になってしまったのだ。もしかしたら「Cupid’s arrow」で恋の矢を託された“Cupid”が、対象である“君”のことを好きになってしまったのかもしれない。続く映像では、天使姿のさとうが真っ逆さまに地上へと落ち、光る画面を割るような音が聞こえた。ラッパーのようなアティテュードでマイクを握った「Destruction」ではすれ違った末の別れの決意が歌われ、“私”の恋の物語は終わりを告げた。

 スタンドマイクでパラパラを踊りながら歌った「パーマネント・マジック」で甘く危険なロマンスに酔いしれ、「あれ? なぜかムーンウォークができるよ」という束の間の不思議な映像を挟み、シャウト&スクリームするロックンロール「殺人鬼」で殺人鬼から逃げ惑い、「きゃー!」と叫び声を上げたところでガバッと起き上がって現実へと戻った。悪夢から覚ましてくれたのは、彼女が所属するギャング団「Sugar Science団」のボスである“クマ(クマのぬいぐるみ)”。パジャマ姿で『Pajama Party』に参加したボスと一緒に、長い恋の本当の終わりを告げる「melt bitter」を歌い終えたところで、「はぁ~。ライブ中に寝ちゃってすみません。布団があったもんで」と謝罪。そして、「というわけで、夢劇場でした」とボスを見送った彼女は、本公演について、「私が岡山に住んでいた頃、数年間に渡って、毎月、同じ場所でパジャマを着てライブをする企画をやり続けていました。その時は毎回、30人くらいのお客さんの前でやっていたんですけど、いつか大きな場所で、布団みたいなものを置いてやってみたいなと憧れていました」と語り、「今日、それがみんなのおかげで叶って、とても嬉しいです」と観客に感謝の気持ちを伝えた。

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