ハリー・スタイルズが“ロックスター”へと覚醒したコーチェラフェス あらゆるイメージを塗り替えた大舞台の全貌

ハリー・スタイルズ、コーチェラの全貌

 今回のパフォーマンスにおける大きなサプライズといえば、カントリーポップのアーティストとして絶大な人気を誇る大ベテラン、シャナイア・トゥエインのゲスト出演である(Week2ではリゾがゲスト出演)。ハリーは以前からシャナイアによる影響を公言しており、2018年には自身のコンサートで(今回のパフォーマンスでも披露された)「スティル・ザ・ワン」をケイシー・マスグレイヴスを交えて披露したこともあるほどだ。本人を前に、ハリー自ら「子どもの頃に、歌い方を教えてくれた人」と語っていることからも、彼にとって相当に思い入れのある共演であったのは間違いない。「フィール・ライク・ア・ウーマン」における(ベースにある)70年代グラムロックの色気を全身に纏いながらポップな輝きを放つデュエットは、90年代カントリー/10年代ボーイバンドと出自も時代も違えども、それに臆することなくその音と意志を受け継いできたアーティスト達による祝祭のようであり、自身だけのパフォーマンスとはまた異なる形で、ハリーにとっての“継承”が表現されていたように感じられた。

Harry Styles & Shania Twain - Man! I Feel Like A Woman! - Live at Coachella 2022

 最後に披露されたのは、2017年にリリースされたソロデビューシングル「サイン・オブ・ザ・タイムズ」だったが、この曲もまた、原曲を遥かに上回るエネルギーを持った堂々たるロックバラードとして会場中に響き渡っていた。それはつまり、5年前からハリーの意志は全く変わっていないということを意味している。変える必要があったのは、自分自身に対する見え方だったのだ。

 今回の『コーチェラ』におけるヘッドライナー出演は、そんなハリー・スタイルズという存在に対する、(特にこれまで偏見の眼差しを向けていた)音楽ファンからの見え方を大きく変えるきっかけになったことだろう。実際、『コーチェラ』でもインパクトを与えた「アズ・イット・ワズ」は、フェス終演後の現在もSpotifyのグローバルチャートで1位を記録(4月26日の本稿掲載時点)するなど今も猛威を奮っている。今回のパフォーマンスでは「ボーイフレンズ」と「レイト・ナイト・トーキング」の2つの新曲が披露されたが、両曲も収録される5月20日リリース予定(国内盤は6月8日発売予定)の最新作『ハリーズ・ハウス』もまた、彼に対する見え方を変える、大きな転機となることだろう。

 ファッション、ステージデザイン、ライブアレンジ、ゲストなどあらゆる角度によって自らのルーツを全力で表現し、圧倒的なパフォーマンススキルを用いて自分自身こそがその継承者であることを大胆に証明したハリー・スタイルズ。世界中が注目する『コーチェラ』という大舞台を通して、まさに“現代におけるロックスター”へと覚醒してみせたのだ。

『ハリーズ・ハウス』

■リリース情報
ハリー・スタイルズ
ニューアルバム『ハリーズ・ハウス』
<国内盤CD>
2022年6月8日(水)発売予定
・初回仕様限定:ポスター封入 / ¥2,640(税込)
・収録内容後日発表

<輸入盤> 
2022年5月20日(金)発売予定  
CD
アナログ盤(12 inch)
【Sony Music Shop 限定】ケースブックCD
【Sony Music Shop 限定】シー・グラス・グリーン アナログ盤(12inch)
【Sony Music Shop 限定】イエロー・カセット
【Sony Music Shop 限定】オレンジ・カセット
各商品詳細:https://onl.sc/pWY6mxn

【タワーレコード限定】イエロー アナログ盤(12inch)
詳細:https://onl.sc/gErYpUw

<配信アルバム> 
2022年5月20日(金)配信予定  
アルバム予約注文/「アズ・イット・ワズ」再生・購入リンク: 
https://SonyMusicJapan.lnk.to/HarrysHouse 

■関連リンク
ソニーミュージック公式WEBサイト:http://www.sonymusic.co.jp/harrystyles/
アーティスト公式WEBサイト:https://hstyles.co.uk/

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