伶、ボーカリストとして鮮やかに広がる表現 多彩なサウンドと歌声の調和を堪能できる1stアルバム
そしてアルバムのリリース前日に詳細が発表され、先日MVも公開されたM9「恋と、終わりと、kiss feat. 清塚信也」。同曲は伶自身が作詞を手掛けており、ピアニスト・清塚信也とのコラボ楽曲でもある。展開ごとに景色の濃淡が鮮やかに変化する清塚のピアノと伶の歌声が合わさることにより、確実に終わりの兆しを感じ取りつつも向き合おうとする2人の悲恋が美しく編み上げられる1曲だ。
かと思えばM10「Playful Mind」では、エレクトロニックなサウンドへの跳躍ぶりと、その高揚感に驚かされる。フューチャーベース的に展開するシンセと音圧高めのビート、伶の繊細な歌声とリズミカルな語感が生み出す独特のグルーヴが心地良く、この趣向でもう何曲か聴いてみたいと思える。続いてM11「散る散る満ちる」は映画『昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-』の一編「怪談 満月蛤坂」の主題歌であり、映画の元となった小竹正人の詞を歌う和テイストの楽曲。基本的にこうしたバラードは本領発揮といったところだろう、詞の趣に合わせて所々で妖しく変化する音色にも、見事に歌声が調和していた。
そしてアルバムの最後は、EXILE ATSUSHI+AIの「So Special」をGENERATIONS from EXILE TRIBEの数原龍友とのコラボでカバーした「So Special-Version EX-」。さらさらと流れる2つの清流が重なるようなハーモニーには、原曲とはまた異なる静謐な心地良さが生まれていて、アルバムの締め括りにも相応しい1曲となっていた。
なお、アルバムの初回生産限定盤には伶がこれまでにカバーしてきた楽曲を中心としたカバー集が同梱されており、こちらには以前にFlowerとしてカバーした「やさしさで溢れるように」(JUJU)や、初音源化となるE-girlsの楽曲「Run with You」のカバーなどを収録。この辺りには、長年応援してきたファンの抱える思いに対するメッセージも込められているのだろう。
次々と新たな挑戦を試みるフットワークの軽さとバイタリティ、そして何よりそれら挑戦の一つひとつを高水準で実現するボーカリストとしての実力により、非常にバラエティに富んだ一作となった『Just Wanna Sing』。“ただ歌いたい”ーーその欲求そのものはシンプルだが、実際にアルバムを聴いてみれば、その“ただ歌う”の意味がいかに大きく、かつ豊かなものであるのかが実感できるはずだ。
■リリース情報
2022年4月13日(水)
1st ALBUM『Just Wanna Sing』
初回生産限定盤(CD+DVD+フォトブック、三方背トールケース)¥5,800(税込)
初回生産限定盤(2CD)¥4,200(税込)
通常盤(CD)¥3,000(税込)
DISC-1
宝石 feat. 幾田りら
Call Me Sick
エンカウント feat. 笹川真生
こんな世界にしたのは誰だ
Dark hero(新曲)
IDNY(新曲)
Butterfly(新曲)
キミとならいいよ。
Playful Mind(新曲)
散る散る満ちる
-Special Collaboration Cover Track-
【So Special-Version EX-】(初音源化)
全12曲予定
DISC-2<カバー集>
1.花束のかわりにメロディーを
2.やさしさで溢れるように
3.Answer
4.蝶々結び
5.Run with You (初音源化)
DVD
<rei “the first” Billboard Live 2021より>
1.Call Me Sick
2.こんな世界にしたのは誰だ
3.花束のかわりにメロディーを
4.情熱
5.白雪姫
6.Blue Sky Blue
7.キミとならいいよ。
8.散る散る満ちる
<MV>
1.こんな世界にしたのは誰だ(Acoustic Ver.)
2.キミとならいいよ。
3.宝石 feat. 幾田りら
4.エンカウント feat. 笹川真生
5.恋と、終わりと、kiss feat. 清塚信也