乃木坂46 山下美月、NHK朝ドラ『舞いあがれ!』出演の快挙 “二面性”を持つ実力派女優へ

 驚いたのは、朝ドラ出演を果たしたのが“あざといキャラ”の山下であるということだ。乃木坂46としては「あざとい選抜」(『乃木坂46の「の」 presents 「の」フェス』内の企画)で貫禄のセンターを飾った山下。俳優としても主演の一人を演じた『電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-』(テレビ東京)、妻を持つ教師を惑わす女子大生にして不倫相手役を好演した『じゃない方の彼女』(テレビ東京)、さらに『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系)内の『あざと連ドラ』にも出演し、その一面は現段階での山下のパブリックイメージにある。誤解を恐れずに言えば、朝ドラにおいての清純派女優とは対極にあるとも言えるだろう。

 ただ、その一方で山下は『着飾る恋には理由があって』(TBS系)にて、自分に自信がない”低温女子”から徐々に成長していく広報課社員を好演。先日放送された『Around the Corner 曲がり角のところで』(フジテレビ系)内のショートドラマ『だるっ!』では、高木ルル役で主演を演じ、ローテンションから一気に逆上する“0~100”の演技を見せつけた。ほぼ主演と言っていい『じゃない方の彼女』においても、『電影少女』の頃からさらにギアを一段階上げた魔性っぷりを熱演しており、乃木坂46ファン以外にも好評かつ広くリーチした作品であった。改めてになるが、『舞いあがれ!』で山下が演じる望月久留美は、堅実な看護師の道を目指し、自身の困難に立ち向かっていくたくましいキャラクター。おそらくだが、朝ドラオーディションから獲得した役であり、山下の俳優としての実力から抜擢された配役ということは確かだ。

 山下の『舞いあがれ!』出演発表を受けて、ファンから心配の声が挙がっているのが乃木坂46の活動との両立ができるのかという点だ。ヒロイン役の福原遥は4月8日よりクランクインしていることが公表されており、もうじき山下の撮影もスタートするはず。主なロケ予定地には制作局の「大阪府」と物語の舞台である「長崎県五島列島」が発表されており、乃木坂46の主な拠点である東京との行き来の日々になるだろう。グループとしては5月に日産スタジアムで開催される『10th YEAR BIRTHDAY LIVE』、その先には恒例の『真夏の全国ツアー』の開催も予定されているかもしれない。もちろん、シングルリリースでの活動、歌番組への出演、『CanCam』専属モデルとしての顔もある。『舞いあがれ!』が今年の10月~11月に放送開始すると仮定すれば、『NHK紅白歌合戦』をはじめとする怒涛の年末歌番組の時期を経て、来年の春頃まで撮影は続くことになる。根っからの仕事人間として自分を追い込みすぎた結果、2019年にグループの活動を休業した過去を持つ山下をファンが心配するのは当然だ。

 ただ、多忙を極めるスケジュールの果てに得られる反響はこれまでとは比べられないほどに絶大だ。老若男女、幅広い世代が観ている朝ドラ。俳優としての知名度、印象が一変した例は、これまでの取材の中で何度も耳にしてきた。「山下美月」を入り口に、「乃木坂46」を知る逆流現象も多く起きることだろう。山下の朝ドラ出演は彼女を俳優として一段階も二段階も飛躍させるだけでなく、乃木坂46全体をも牽引する影響力を持ち合わせている。

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