SPEEDは4人揃うと「もはや無敵」 hiroが明かす、26年分の思いとグループの行方
ソロへの意欲とSPEED再結成がもたらした戸惑い
ーー解散後はどう過ごしていたんですか。
hiro:当時は16歳で、自分のやりたいことをやれるようになったんです。髪の毛を染めてみるとか、ショートヘアにしてみるとか、今までとは正反対のことをやり出した。それがすごく楽しくて。それと一時はお母さんを沖縄から東京に呼んで、一緒にスーパーへ行ったりもしました。グループの頃はそんな時間もなかったから、そういう普通のことが嬉しかったですね。
ーーそしてソロ活動が始まり、2001年に1stアルバム『BRILLIANT』をリリースしました。「AS TIME GOES BY」「LOOK BACK ON THE TIME」「Close My Eyes」など、楽曲の随所に“別れと旅立ち”を感じたんですけど、やっぱりそういう思いがあったんですか?
hiro:プロデューサーの伊秩弘将さんからのエールというか、「これが人生だよね」と言ってくださっているような楽曲ばっかりで。『BRILLIANT』には、皆さんからの励ましの気持ちがあったと思うんですよ。「前へ進むエネルギーだけは止めないで欲しい」というメッセージを感じますね。その一方で10代の「これから何が起こるんだろう」というワクワク感だったり、新しい何かが始まり出した感覚が詰まっている作品だと思います。
ーー2002年に出した2ndアルバム『Naked and True』は、タフなサウンドの表題曲もあれば、「しあわせの道」のようなデリケートな世界観の曲もあって。よりアーティストとしての幅広さを感じたんですけど、hiroさんにとってはどんな作品ですか?
hiro:これまでの島袋寛子とは違う、hiroの世界観を作っていきたいと思いました。それをどうやったら良いのかわからなかったんですけど、様々なジャンルの曲を聴いたり、やりたい歌い方を模索したりして。とにかく自分の中でカッコいいと思うものや、やりたい音楽をやろうと。とはいえ、その挑戦すら良いのか確信がないから、迷いや不安定さもありました。今聴くと少し笑っちゃいますけど、素直にやりたいことが出せているなと思います。
ーー2004年にはジャズプロジェクト・Coco d’Or(ココドール)が始動したり、2013年には沖縄音楽に特化した『私のオキナワ』をリリースしたり、さらに柔軟性が加速していきましたね。
hiro:ソロになってから「あなたのジャンルは何なんだ?」とたびたび聞かれるようになったんですよ。だけどジャンルって、そんなに大事なのかなと。好きなジャンルが1つに絞れていたら良いんですけど、私は歌うこと自体が好きだから、だから何でも歌いたかった。歌謡曲も好きだし、ロックやジャズだって好き。だから活動する上で曝け出し続けるしかないんですよね。自分の人生の中で、心が向いたもの、心に触れたものをやっていくだけ。Coco d’Orを始めたきっかけは、昔からジャズが好きで、自分も歌いたいと思ったからなんです。『私のオキナワ』に関しても、古謝美佐子さんの「童神」に救われて、ライブでカバーをさせてもらった流れから「沖縄のアルバムを作って、自分が育った島のことを深く知ろう」というアイデアが生まれた。そうやって自分のやりたい音楽を開拓している途中で、SPEEDの再結成があって。
ーーそこですよね。新しいことをやろうとしているときにSPEEDの再結成が決まり、戸惑う気持ちもあったと思うんですよ。
hiro:それはあったし、Coco d’OrからSPEEDのモードに戻すのは相当手こずりました。再結成となれば、今までソロに注いでいた力をSPEEDに向けるわけじゃないですか。今のSPEEDがやったらカッコいいサウンドは何だろうと模索していたら、またもやSPEEDの活動がストップして。
ーー心を揺さぶられ続けていますよね。
hiro:今だったら「なるほど! じゃあ、こっちだ」とか「こういうことなんだな!」とフレキシブルに対応できるようになったけど、当時は突然動きが変わると「どういうこと!?」って。気持ちがついていかなかったですね。
ーー3歳で歌手を志した幼少期、SPEEDで活動していた少女期、ソロ活動とグループの再結成を経験した青年期。これまでの歩みがあった上で、今回の『0』という最新アルバムを作ったと思うんですけど。
hiro:常にリセットしたい欲があったんですよ。もちろん過去があっての自分だし、過去があっての今だし、そこに対する感謝は変わらない。やってきたもので今の自分があるのは変えられない事実なので。
ーーリセットしたくても、そう簡単にはできない。
hiro:色んなことがあったけど、それをなかったことにはできない。だから「ありがとう」って思わないと進めないタイミングだったのかもしれないですね。今、SPEEDで歌って踊ってるのが私1人しかいなくなった状況で、ソロもそうだけど、グループを応援してくれるみんなに何をしてあげられるだろうと考えていたんですよ。どこかでずっと戦っていた。それで、2021年にSPEEDが結成25周年を迎えて、初めてのBOXとかトリュビュートアルバムが出たりして。もっとリラックスして良いんじゃないかなって思えたんです。どこかでずっと戦っていた自分に、良しと言ってあげても良いんじゃないって。
ーー背負っていた物を下ろすことができたからこそ、再びソロ作品を作ろうと思えた。
hiro:あとはコロナ禍になったのも大きいです。時間ができて私がやりたいことを考えて最初に浮かんだのが、アルバムを作ることだったんですよね。実は『私のオキナワ』から『0』の制作はしていたんですけど、なかなか流れに乗れなくて、作品という形まで行かなかった。そんな時期に、レコード会社の担当が変わって、その方に「私はアルバムを作りたい」と言ったら去年8月に配信した「Something Great」が生まれた。他にも「いつか私が歌うときのために取っておきたい」とストックしていた曲もあるし、ライブでずっと歌わせてもらっていた「Sympathy」があったり、この2年の間に送られてきた楽曲も入っています。流れができるときは、ちゃんと形になるんだなと思って。このタイミングでできるということは、今の私にはその力があるってことだから信じようと。
ーーアルバムを作る上で大事にしたことは何ですか?
hiro:つい過去に戻ったり先に行きすぎたりしてしまうけど、今の場所を楽しんだり感じることを大事に考えて作りました。だから、これまで話してきた今までの26年間があっての『0』です。私の歌手人生が始まってからの全てが詰まっていますね。
4人揃うと完全体のエネルギーになる、もはや無敵なんです
ーー『0』というアルバムは、hiroさんが何も描いていない真っ白なキャンバスを持ってきた、ということじゃなくて。油絵のようにこれまで歩んできた人生という絵の上に、白い色で塗り潰して『0』にした作品じゃないのかなと思ったんです。だからリセットして全く違う道を歩き始めたんじゃなくて。これは感覚の話ですけど。
hiro:いや、きっとそれですね。真っさらな、ピュアなものじゃなくて、今までがあった上で「さあ、ここからどうする?」と。『0』だけど終わりと始まりが交差しているアルバムかもしれないですね。作っている最中は苦しいこともいっぱいあるんですけど、これから自分はどんな歌を歌うのだろうとか、どこに行き着くんだろう、みたいにワクワクしている自分がいる。歌だけじゃなくて人生とキャッチボールをするように、何か変化があると歌が変わっていくし、それを楽しみながら「これを踏まえて、どんな歌を歌うんだろう?」と思うんですよ。
ーー苦しさも含めて、楽しんでいますよね。
hiro:なぜ、そうまでして続けているんだろう、って感じですよね。音楽は好きだけど、もちろん好きなだけじゃない。ただ、自分が人生を通して、どこへ行き着くんだろうと常に考えてる。まだ違う自分がいると思ってるんでしょうね。それが実験をしているみたいで楽しいんです。だから何でもやってみたくなっちゃう。
ーーこれからの活動はどう考えています?
hiro:hiroの活動は次の展開も考えていて、具体的にスタッフさんとも話しています。とはいえ、Coco d’Orもやりたくなったりして。かといってオーガニックサウンドとか生音でアルバムを作りたいとも思うし。やりたいことが山ほどあるんですよね。SPEEDについては「またライブをやってほしい」とみんなが言ってくれますけど……もちろん私もそう思います。私もSPEEDを見たいと思うけれども、それぞれの今があるから、そこは尊重したい。私はずっと歌って踊り続けているので、いつか流れが生まれたらおもしろいなと思います。ーー再びSPEEDが動き出す、その日を待っていると。
hiro:4人でやるのはやっぱり楽しいですよ。そんな中、どれだけSPEEDが始まった頃の自分から、色んな経験をして面白い人間になっていけるかだと思うんですよね。いつもそこと戦ってる。だってSPEEDとして世に出てきたときが最高に面白かったじゃないですか。
ーーあまりに幼すぎましたからね。それだけでインパクトもあったし。
hiro:10代でエネルギーに満ち溢れていて、何の迷いもなくて。子供はそういう力が強いから。そこに戻ることは出来ないけれど、どうやって前へ進んでいくのか。とあるジャズボーカリストの方が「10代のときに最初に録ったテイクが一番いい。そこは超えられない」と話していたんですけど、私もそう思う。それとは戦わないように人生経験を積んで、面白い歌が歌えるようになったら良いなと思います。とにかく面白い人になりたい(笑)。
ーー面白い人(笑)。それこそ他の3人が強烈ですからね。
hiro:私よりも3人の方が魅力的だし、磨きがかかっているはずなので、絶対に楽しいと思うんですよね。やっぱり2人になるとエネルギーがブワッとなるのが分かるんです。3人になるとさらにエネルギーが倍増して、4人揃うと完全体のエネルギーになる、みたいな。もはや無敵なんです。あの感覚はSPEEDじゃないと味わえない。
ーー色んなことが整理されて、今が一番充実されている感じがしますよ。
hiro:お話していて、自分って幸せな人生だなと思いました。これだけ協力してくれる人が身近にいて、活動を待ってくれている人がいて、本当に幸せ者。それと、今回改めて自分が作品を作るのが好きだと分かりました。MVもレコーディングも、色々考えるのが本当に好き。どれだけ誠実に取り組めたか、どれだけ挑めたかを基準にやっていきたいですね。
※衣装協力
ロゴプリントドレス:¥25,000/flumor(anden sal) ,
スキニーパンツ:¥16,000/avie(anden sal)
問合せ先:anden sal(flumor,avie) www.andensal.com 03-6786-9267
■リリース情報
hiro
ニューアルバム『0』
NOW ON SALE
購入:https://hiro-sgr.lnk.to/0_CD
配信:https://hiro-sgr.lnk.to/0_DLSTR
「I’m Here To Stay」MV
https://www.youtube.com/watch?v=Y_PSZmDk1rs
SPEED
『SPEED LIVE BOX - ALL THE HISTORY -』
2022年3月30日(水)発売
AVXD-98100~7
購入:https://speed.lnk.to/220330_SLB
『SPEED LIVE BOX - ALL THE HISTORY -』発売を記念してライブ音源配信中
・『Save the Children SPEED LIVE 2003』:https://speed.lnk.to/STC_DLSTR
・『Welcome to SPEEDLAND SPEED LIVE 2009@武道館』:https://speed.lnk.to/WSL_DLSTR
・『GLOWING SUNFLOWER SPEED LIVE 2010@大阪城ホール』:https://speed.lnk.to/GS_DLSTR
■関連リンク
hiro OFFICIAL SITE
hiro Instagram
hiro Twitter
hiro STAFF Twitter
サイン入りチェキプレゼント
hiroのサイン入りチェキを2名様にプレゼント。応募要項は以下の通り。
応募方法
リアルサウンド公式Twitterと公式Instagramをフォロー&本記事ツイートをRTしていただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンドTwitterアカウント、もしくはInstagramアカウントよりDMをお送りさせていただきます。※チェキはランダムでの発送となりますので、メンバーの指定は受け付けておりません。
※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
リアルサウンド 公式Twitter
リアルサウンド 公式Instagram
<締切:4月23日(土)>