VaundyとSaucy Dog、若者から支持を集める2組 リスナーに響くポイントを考察
人気恋愛リアリティ番組の主題歌に起用されたSaucy Dogの新曲「魔法にかけられて」、Vaundyの新曲「恋風邪にのせて」が揃って話題だ。「魔法にかけられて」は『恋する❤️週末ホームステイ 2022春』(ABEMA)の主題歌で、「恋風邪にのせて」は 『彼とオオカミちゃんには騙されない』(ABEMA)の主題歌。Saucy DogとVaundyといえば、若年層から今最も熱い視線を集めているアーティストという印象があり、それもあって今回、若い世代が多く視聴する恋愛リアリティ番組に楽曲を提供することになったのだと思われる。例えば、10~20代を中心に支持されるプレイリスト紹介メディア「PLAYLIST-プレイリスト-」が、Instagramフォロワーを対象に行ったアンケートを元に作成した「PLAYLIST楽曲大賞2021」(※1)では、アーティスト部門でも楽曲部門でもSaucy DogとVaundyは上位に位置づけている。また、Vaundyに関しては、複数曲が年間を通して親しまれたとして「LINE MUSIC 2021 トレンドアワード」(※2)にもラインナップされている。
では、2組の楽曲のどのようなところが若いリスナーに響いているのだろうか。
まずはSaucy Dog。彼らの音楽がバンドシーンに詳しい層以外にも浸透していったのは2021年末以降で、そのきっかけとなったのは「シンデレラボーイ」という楽曲。MVがじわじわと話題になり、YouTubeでは数々のカバー動画がアップされ、TikTokなどでも頻繁に使われるようになった(※3)。2022年1月の『ミュージックステーション』出演もその勢いを後押ししている。認知が拡大したのは最近だが、潜在的なポテンシャルはあった。例えば、人気曲のひとつ「いつか」は活動初期から歌い続けている曲。彼らが所属事務所のオーディション「MASH FIGHT! vol.5」(2016年)の公開ライブ審査で披露した曲でもあり、楽曲のクオリティ、石原慎也(Vo/Gt)の情感溢れる歌唱によって、満員の観客を一瞬で引き込んだ様子は当時私も目撃した。
「シンデレラボーイ」に「いつか」、そして「あぁ、もう。」、「結」、「コンタクトケース」とストリーミングで特に再生数の多い曲はラブソングであり、恋する人の心情を言い当てる絶妙な歌詞表現や、低音はやさしく高音は涙声のような歌声、歌に寄り添うバンドの演奏がリスナーの心を揺さぶるポイントであろう。「魔法にかけられて」も相手への気持ちを丁寧に紡ぐような楽曲だ。歌詞の中の二人の背景を想像させる歌詞、二人の日常を大切に思う気持ちの表れとしてのバンドサウンドが温かな余韻を残す。