乃木坂46 北野日奈子は“努力・感謝・笑顔”を体現してきたメンバーだったーーアンダーの歴史も伝えた卒業公演を観て

乃木坂46 北野日奈子卒業公演レポ

 アンコールでは愛犬・チップの姿をあしらった黒いドレスをまとい登場した北野は、「何もない私を皆さんのたくさんの支えで、アイドルにしてくれたことを感謝しています。本当に私は幸せでした」と口にしてから、スタッフやメンバー、家族、ファンへの感謝の言葉を紡いでいく。その流れで披露された最初で最後のソロ曲「忘れないといいな」では、卒業セレモニーに付きものの涙を見せることなく、最後まで彼女らしい素直な歌声で表現。北野に当て書きされたような歌詞と相まって、観る者にとっては涙腺を刺激される1曲だが、晴れ晴れとした表情で歌う彼女の姿を前にすると、卒業する悲しさよりも「この先の人生に幸あれ」とポジティブに受け取ることが正解なのかもしれない。だからこそ、そのあとに同曲パフォーマンスの評価を聞かれ、「自分の今までとこれからを映したような歌なので、なんとか笑顔で乗り切ろうと思って。でも、それができたと思うので120点です!」と彼女が答えたのも納得だ。

 ライブ本編の「アンダー」歌唱時に一瞬感極まる場面こそあったが、結局この日はラストナンバー「乃木坂の詩」まで一切涙を見せず、ステージを去る最後まで向日葵のような笑顔を見せ続けた北野。彼女がこれまで見せてきた“背中”が後輩たちにしっかり伝わっていることは、黒見明香や中村麗乃などのMCからもしっかり理解できた。“努力・感謝・笑顔”の人は、何にもなかった野原に自分だけの花をしっかり咲かせ、その花の種は後輩たちの心にまで飛び散り、後輩たちの心にまで花を咲かせた。その姿を見て安心したからこそ、北野は乃木坂46を離れることを決めたのだろう。

 今後、3期生や4期生、そして加入したばかりの5期生が “努力・感謝・笑顔”をどこまで体現していくのか。ぜひこの日の公演で感じたことを忘れずに、11年目以降も笑顔の絶えない日常を過ごしてほしい。と同時に、新たな道へと歩み出す北野の、今後の人生に幸多からんことを願ってやまない。

■セットリスト
『乃木坂46 北野日奈子 卒業コンサート』
2022年3月24日(木)ぴあアリーナMM
00. Overture
01. 気づいたら片想い
02. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
03. ハウス!
04. ロマンスのスタート
05. ここにいる理由
06. 嫉妬の権利
07. 別れ際、もっと好きになる
08. 不等号
09. 風船は生きている
10. ブランコ
11. アンダー
12. 君に贈る花がない
13. ゴルゴンゾーラ
14. 大人への近道
15. 隙間
16. ゆっくりと咲く花
17. バレッタ
18. Route 246
19. ガールズルール
20. 裸足でSummer
21. 僕だけの光
22. 日常
<アンコール>
23. 忘れないといいな
24. 僕は君と会わない方がよかったのかな
25. 乃木坂の詩

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