乃木坂46 北野日奈子、選抜制度の中での葛藤も 「アンダー」と「日常」で見せた偉大な姿

 乃木坂46の北野日奈子がグループからの卒業を発表した。1月31日付の北野自身の公式ブログでは、4月いっぱいでグループから離れる予定であることが明かされている。2013年に乃木坂46に加入した2期生メンバーとしては、今月に卒業セレモニーを控える新内眞衣に次ぐ卒業となる。

 北野は2014年春の8枚目シングル『気づいたら片想い』から正規メンバーとして活動、正規メンバー昇格と同時に表題曲選抜を経験する。2期生としては前シングル『バレッタ』でセンターに抜擢された堀未央奈に次いで、当時二人目の選抜メンバー入りを果たし、初期から存在感の強さを見せてきた。

 もっとも、いまだグループとして模索期にあった当時の乃木坂46のなかで、2期生は特有の難しい立場を引き受けてもきた。所属メンバー全員が正規メンバーに昇格するまでに約2年の歳月を要したことに象徴されるように、その加入タイミングゆえに報われにくい場面も少なくなかった。

 最初期からグループの顔を託されてきた1期生とも、新メンバーの受け入れ体制を含めグループのスタイルが確立したなかで新たな任務を担う3、4期生とも異なるその困難は、乃木坂46が安定的なブランドを手にして以降も、ある種のひずみとして残り続ける。昨年3月、8人の2期メンバーによって開催された『乃木坂46 9th YEAR BIRTHDAY LIVE ~2期生ライブ~』は、そんな苦さをともなう彼女たちの歩みをあらためてたどり、すべての起伏まで含めて力強く誇ってみせるものだった。

 この2期生のなかにあって北野は、特に選抜メンバーとアンダーメンバーとを往還する立場に置かれることが多かった。それだけに、グループがそもそも抱える選抜/アンダーという構造のやりきれなさに、たびたび対峙する存在だったといえる。それがありありとうかがえたのは、北野自身が強い言葉を紡ぎ続ける人物でもあるからだ。彼女が折にふれて公式ブログ等につづる明瞭で切実な言葉は、そうした葛藤のありようを時に痛いほど繊細に示してきた。その真摯な言語化を前にして、受け手は己が享受しているエンターテインメントがいかなる性質をもつものなのか、省みないわけにはいかなかった。

 もとより、彼女が乃木坂46メンバーとしていくつものライブを牽引してきたことを振り返るとき、あるいはメンバーたちが互いの関わり合いについて語るその言葉の端々から推察される、周囲をケアする存在としての北野を想起するとき、彼女がいくつものかたちで、またいくつものポジションでグループを支えてきたことの偉大さを思わずにはいられない。

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