DECO*27、Rockwell&DMYM/No.734と交わすOTOIRO創作対談 初音ミクを取り巻くクリエイティブの全貌

DECO*27、Rockwell&DMYM/No.734創作対談

「“DECOさんらしさ”は、形がないところにあるポップさ」(DMYM/No.734)

DECO*27 - ジレンマ feat. 初音ミク

ーーそれはとてもすごいことだと思います。ちなみに、アルバム『MANNEQUIN』が完成してあらためて聴かれてみていかがでしたか? 

DMYM/No.734:音源をいただいてDECOさんが今までで一番挑戦しているなって思いました。DECOさんは、みんなから求められていることと、自分のやりたいことのバランスを取りながらポップに提案するのがうまいんですよ。今回はその提案が一番ぶっ飛んでいて。だとしたら自分もチーム単位でもっと挑戦できるなと。私は絵も描きますが、OTOIROでは人にこういう絵を描いてくださいとディレクションする方がメインで、自分では描けない可愛い絵であったり、綺麗な絵を個人の枠組みを超えてチームで表現できることにやりがいを感じています。その枠組みや可能性をDECOさんが「ヴァンパイア」のリリースによってさらにポップに広げてくれたことで、とても自由度が上がりましたね。

DECO*27:アルバムはアイデア出しの時から楽しかったですね。

ーーどんなアイデア出しだったんですか?

DECO*27:次のアルバムのテーマ、“アイドル全員初音ミク”にするからって。いきなり言い出して。

DMYM/No.734:あ、やるのか今ここで!って(笑)。

ーー(笑)。言葉だけで聞くとまたインパクト強いですね。ちなみに、アートディレクターとしてもやりがいのあるアルバムだったんじゃないですか?

DMYM/No.734:はい、そうですね。初音ミクを使わせていただくときの表現って、ミクのどこを見せてあげるかが大事で、音楽とのバランスをいつも考えています。私自身は、初音ミクはキャラクターというよりも同じ目線のクリエイターだと思っていて。ミクは楽曲を歌で表現するボーカリストという立ち位置、私はそれをビジュアルで表現するアートディレクターという立ち位置なんだと。初音ミクの得意なことは、もちろんボーカリストとして歌を届けることですが、同時にユーザーと同じ目線でビジュアルを表現できる女優的な側面もあります。なので、私は初音ミクという女優にどんな演技をしてもらうかを考える監督って感じなんです。

ーーわかりやすい。

DMYM/No.734:今作では初音ミクという可愛い16歳の女優でいてもらうと同時に、現代日本に生きている一人の女の子として演技してもらう感覚を大事にしました。こういう子が電車で隣に座っていたらどう思うかなとか、友達になれるんじゃないかなとか、そんな温度感での表現を意識しましたね。

DECO*27:なるほど〜ってなって。親近感がめっちゃ大事なんですよね。曲が共感を生んだり、聴いた人が自分の経験と重ね合わせて、曲を受けて新しい感情が生まれたら嬉しいんですけど。ビジュアルの方もリスナーに寄り添っていくという。まさにアルバム『MANNEQUIN』で成されているんだなって。

DMYM/No.734:音楽を好きな人間としてミクのボーカルって特殊だなと思っていて。音や感情をフラットに聴く側に渡してくれるんです。たとえば、失恋のドロドロした曲だと人が歌うと良くも悪くも個人的表現が強くなるところを、ミクだとリスナーである“あなた”の物語になるんです。そんな声の立ち方もあるので別にビジュアルが存在していなくても、ミクの存在感は表現できるんですよ。なので、あえて表に出していくならミク感をより強めることで、逆に受取り手の体験や気持ちに寄り添える”あなた”の物語を提案できる可能性が広がるなって思ったり。今回、「パラサイト」とか強めの感情を持っているミクが多いので。

DECO*27:(笑)。

DMYM/No.734:あの強めな感じの子は、現代に必ずいるので(笑)。そのまま出すと“その子”の物語になるところがあるんですけど、それをミクに歌ってもらうことで、やっぱり“あなた”の物語になるという。アルバム『MANNEQUIN』は強さもあるんだけど、受け取ってもらいやすさがちゃんとあるんですね。

ーーちなみにDMYM/No.734さんは、アルバム『MANNEQUIN』ではどの初音ミクに感情移入をされましたか?

DECO*27:推しは誰か、ってことですね?

DMYM/No.734:DECOさんは?

DECO*27:メンバーのキャラクターとしては「状態異常彼女」で、曲は「シンデレラ」でした。

DMYM/No.734:なるほど。難しいですね(苦笑)。共感するものとしては、楽曲、見た目共に「ジレンマ」です。生きていて、いろんな恋愛があったみたいな。達観しているところがあって。キャラデザインとしては「U」と「ギフト」と「パラサイト」と「ジレンマ」をやらせてもらって、「パラサイト」がMVのイラストの絵柄のタッチに合わせつつ、実際の頭身でも可愛いようにできたので。達成感があります。

ーー細部まで魂が込められている感じが伝わってきますね。DECO*27作品のMVって、サムネイルから動画展開に至るまで、全てにこだわりを感じますね。

DMYM/No.734:DECOさんらしさって、実は形がないところにあるポップさだと思っているんです。ポップさって時代やタイミング、みんなそれぞれタイミングで変わるので形がない。DECOさんのその柔軟さに追いつきつつ、その時々のみんなのポップの真ん中を付けるように気をつけていますね。

ーーアルバム『MANNEQUIN』初回限定盤CDパッケージもこだわられていますよね。

DMYM/No.734:可愛いのができたなと思っています。いま、音楽がデジタルでリリースされるのが当然な時代となったからこそ、パッケージは、家に置いて、その人の生活として思い出になってほしいなと作っています。ブックレット仕様ではなく、全曲パラのカードになっていて、自分が好きなミクを選んでジャケットにできるんです。その時々に変えてもらっていいですし、この子が特に好きとか選べるようなデザインにしています。

DECO*27:バッチリですね。ぜひ、アルバム『MANNEQUIN』手に取って欲しいです。

■リリース情報
DECO*27『MANNEQUIN』
発売中
初回限定盤[+特典CD]¥3,300(税込)
特典CD:ボイスドラマ「ヴァンパイア」
通常盤¥2,750(税込)

<本編CD>
1.ヴァンパイア
作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell
2.アニマル
作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell
3.状態異常彼女
作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell
4.U
作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell
5.シンデレラ
作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell
6.ケサランパサラン
作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell
7.ギフト
作詞・作曲:DECO*27 編曲:ポリスピカデリー
8.パラサイト
作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell
9.ジレンマ
作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell
10.おじゃま虫Ⅱ
作詞・作曲:DECO*27 編曲:TeddyLoid
11.モザイクロール (Reloaded)
作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell

<初回限定盤 特典CD>
ボイスドラマ「ヴァンパイア」
[CAST]灰原撫子 (CV: 和氣あず未)、緋山櫻司 (CV: 増田俊樹)、鈴雪真白 (CV: 伊東健人)
[STORY] 内田裕基

■DECO*27 公式サイト
オフィシャルサイト(https://otoiro.co.jp)
 オフィシャルYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/c/DECO27Official/)
 オフィシャルTwitter(https://twitter.com/deco27)

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