SKE48、25作連続シングルチャート首位獲得 グループの魅力を豊かな音楽的バラエティで提示した1枚に
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2022-03-21/
2022年3月21日付のオリコン週間シングルランキングで、2位以下と大差をつけて1位を獲得したのがSKE48の『心にFlower』。コロナ禍でも21万枚以上を売り上げ、2011年の『バンザイVenus』以来、25作連続の首位獲得となりました。
「心にFlower」は、冒頭からサビという構成で幕を開け、そのメロディにはシンガロングを巻き起こしそうな高揚感があります。EDM以降の感触があるプログラミングのビートを主体にしながら、それと対になるかのように生っぽいギターも響きます。コーラスでハーモニーを加えるのは48歌謡の王道。ただ、「心にFlower」を聴いて一番驚いたことは、ユニゾン感が薄いということでした。メンバーのボーカルの入れ替え方の巧さにうなりました。作編曲は、48グループで多数の作編曲を手がけてきた板垣祐介。
そして、「心にFlower」のMVでキーとなっている存在は戦車です。戦車を花で埋めつくす、しかもその花は「赤」が多いーーという事実は、ロシアによるウクライナ侵攻が現実のものとなってしまった現在においては、何かしらのメッセージを持っているようにも感じられます。もちろん、「心にFlower」の制作時期を考えれば、それは偶然の産物でしょう。ただ、優れたサブカルチャーはときに誤読や誤解を引き起こすものです。2022年2月24日以降の世界においては、「心にFlower」のMVもまたそうした機能を背負っている作品です。
Type-Aのカップリングの「生まれ変わっても」は、卒業する大場美奈のソロ曲。この美しいミディアムナンバーの作編曲は、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」も生んだ伊藤心太郎によるものです。大場のボーカルの切々とした雰囲気もメロディによく合っています。そして、9分以上に及ぶMVは、時間軸を飛び越えていく感動作です。