石原夏織、1年ぶりに果たしたファンとの再会 初のモノローグにも挑戦した「Starcast」Vega公演レポ
石原夏織のライブ『石原夏織 LIVE 2022「Starcast」supported by animelo mix』が開催された。心の距離をテーマにしたという昨年11月に発売したシングルから取った本公演のタイトル。心の距離が近いアーティストでいたいという石原の思いとタイトルがリンクした1年ぶりのファンとの再会の場は、「Starcast」の世界観を反映した演出によってドラマチックに彩られた。今回の公演は「Vega」「Altair」という異なるサブタイトルのついた2日間、全4公演が行われる。本稿では、3月12日立川ステージガーデンで行われた「Vega」公演NIGHTの模様をレポートする。
この日のライブでは、石原が初のモノローグに挑戦。オープニングの場面やステージセットが変わる際など、3回のセクションに分けられたモノローグがライブの進行を飾る。オープニングでは「雨が星になったら、願い事をしよう」と語り始める。「Starcast」の歌詞をアレンジし、サブタイトルに掲げたVegaの目線でのストーリーとしてふくらませたというモノローグを優しく語り、タイトルコールへ。壮大な演出で開幕した(ちなみに「Altair」公演ではAltairの目線でストーリが進んでいくとのこと)。
1曲目「Orange Note」のイントロと共にステージに登場した石原は、オレンジ色のペンライトに染まった客席を見渡しながら弾む歌声を披露。〈キミという太陽にもっと近づきたいの〉と歌う「Orange Note」はポップで甘酸っぱい楽曲。同時に、朗読によって”距離感”というキーワードが強調されるこの公演にぴったりな選曲でもあった。4人の“夏織ダンサーズ”を迎え、キュートに「フィービー・フィービー」へ。「ポぺラ・ホリカ」では〈キミのおかげで今日が好き!〉という一節が存在感を持つ。次々と披露される楽曲と石原の思い、そしてこの日のタイトルである「Starcast」のテーマが繋がりながらライブが進む。
アッパーなライブ序盤からひと呼吸置くように披露されたのは、「わざと触れた。」。もどかしい距離を描く澄んだ声が切なさを含みつつも、軽やかなテンポやギターの小気味良いカッティングが明るい雰囲気を作る。ピアノのアウトロから「Plastic Smile」にシームレスに繋がると、歌詞で描かれる不安や憂いを反映するような叙情的なファルセットが美しく響いた。
ステージが暗転し、「キミに会えない間、私の中で随分大きく膨らんだもやもやが空に映し出されてる気がした」と語り始めるモノローグ。静かに不安を綴りながら、「キミ」との再会が叶うその日を望む。
その後、ステージに現れたのはアコースティック編成のバンドセット。寄り添うように温かいバンドサウンドに乗せて披露したのは「キミしきる」。願うような透明感のある声色で歌うと、「雨模様リグレット」ではリズミックなバンド隊と息を合わせた演奏で初のアコースティック編成を楽しんだ。
そして「星のイメージがある曲です」と披露したのは、Mr.Childrenのカバー、「星になれたら」。落ち着いた声色を披露し、きらびやかなウィンドチャイムとキーボードの導入から「Crispy love」へ。ステージ奥のスクリーンには桜が舞い散り、微笑みかけるような歌声とともに春の訪れと恋の始まりを演出した。
手拍子を求めながら「キミに空とクローバー」を歌い上げると、再び暗転しモノローグはクライマックスへ。通じ合った「キミ」と「私」の会いたいという想い。壮大なストリングスが盛り上げる中、雨の中「2人の間に流れる光の粒は、まるで天の川のように輝いていた」と出会いを果たす。〈小さくても大きくてもいいから キミと同じことがいいな〉。「Starcast」の歌詞と同じフレーズが感慨深く語られた。