宮本浩次、奥田民生、吉川晃司……“還暦”記念ライブで示す生き様、尖り続ける精神性

 映画『爆弾』主題歌「I AM HERO」やAdoに提供した映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦』主題歌「風と私の物語」などを収録した、約4年半ぶりとなるオリジナルアルバム『I AM HERO』をリリースした宮本浩次が、60歳を迎える自身の誕生日である6月12日に神奈川・ぴあアリーナMMにて『60周年記念公演 さあ、ドーンと行くぜ!』を開催する。宮本のバースデーコンサートは近年では恒例となっており、今年は還暦という大きな節目を祝うメモリアルイヤーということもあり、全国16館の映画館でのライブビューイングも行われる。

自身のスタイルを曲げることなく貫いてきた宮本浩次

 宮本は中学校の同級生を中心に結成されたバンド、エレファントカシマシのボーカルとして1988年にデビュー、30周年を迎えた2017年末には念願であった『第68回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に初出場を果たした。2018年からはソロ活動も活発になり、椎名林檎とのデュエットをはじめ、東京スカパラダイスオーケストラの楽曲に参加。翌年にはソロデビューを果たし、太田裕美や中島みゆきなど女性歌手の楽曲をカバーを収録したアルバム『ROMANCE』のヒットを生んだ。黒のスリムパンツに真っ白もしくは漆黒のワイシャツ姿、無造作ヘアをくしゃくしゃにしながら情感たっぷりに歌い上げるといった、独自の歌唱スタイルは40年近く変わらない宮本のトレードマークだ。

 デビューから40年ほど、自身のスタイルを決して曲げることなく貫いてきた宮本。ライブのタイトルである『さあ、ドーンと行くぜ!』からは、日本中を勇気づけたエレファントカシマシのヒット曲「俺たちの明日」にも通じる、泥臭さと力強さを感じさせる。同曲リリースから18年半、まるで年輪のように、さらなる歴史と経験が刻まれていった宮本のボーカル。聴く人の心を揺さぶり勇気を与えてくれる、自身の生き様を宿す歌声で、彼が人生というステージで新たなフェーズを迎える者たちへどんなエールを送るのか、楽しみだ。

奥田民生、吉川晃司ら老いを感じさせないベテランアーティストたち

 人生において一区切りになる年齢。宮本に限らず、他にも多くのアーティストが還暦を迎えた誕生日当日に記念公演を行っている。昨年還暦を迎えた奥田民生は、誕生日当日である5月12日に東京ガーデンシアターにて、『UNICORN 奥田民生60祭「Let's チリチリタミー」』を開催した。還暦のお祝いに赤いちゃんちゃんこを着るという習わしにちなんで、赤いキャップと赤いツナギというファッションでステージに立ち会場を沸かせるなど、独特のセンスとユーモアは決して変わらない。今年も活動は精力的で、『奥田民生「MTRYツアー2026“春 Ooh La La”」』を開催したほか、8月からは『ABEDON AND THE RINGSIDE 2026ツアー「ROUND 4」』に参加。7月4日には、松江城天守国宝10周年記念事業およびエフエム山陰開局40周年記念として行われる『浜崎貴司 GACHIスペシャル in 国宝松江城2026』にトータス松本とのんとレキシとともに出演するなど、イベント出演も目白押しだ。

 吉川晃司も、還暦を迎えた昨年の誕生日当日である8月18日に、東京国際フォーラム ホールAにて『KIKKAWA KOJI 60TH BIRTHDAY LIVE "KANREKI ROCK"』を開催した。このライブには、うじきつよし、INORAN、大黒摩季、山下久美子、菊地英昭など多くのゲストがお祝いに駆けつけ、交友関係の幅広さと多くのアーティストから寄せられる信頼の厚さを感じるものになっていた。鍛え抜かれた肉体と無尽蔵の体力で、6月13日には全国ツアー『KIKKAWA KOJI LIVE 2026 Higher and Higher Tour』をスタートさせる。

 また宮本と同じく今年還暦を迎える1966年生まれのアーティストはほかにも多く、3月に東京と大阪で開催されたイベント『ROOTS66 -NEW BEGINNING 60- supported by tabiwa』には、斉藤和義、田島貴男、渡辺美里、斉藤由貴、スガ シカオ、吉井和哉、小泉今日子、トータス松本など、今年還暦の錚々たるアーティストが出演し、話題を集めた。同イベントに出演した小泉も、今年『KK60 ~コイズミ記念館~ KYOKO KOIZUMI TOUR 2026』を行い、デビュー44年にして初の日本武道館公演を開催して話題になった。トータス松本もまた還暦を迎える今年12月に、大阪と東京で『トータス松本 ライブ2026 Good Times』を開催する予定だ。

宮本浩次- I love 人生!

 還暦とは人生におけるひとつの大きな節目だが、現在の還暦世代は決して老いを感じさせることなく、むしろ現役で突っ走っている。それに、昭和や過渡期である1980年代、バブル期をリアルに経験してきた世代であることから、培われた経験と熟練の技術が再注目されることも多いはずだ。若々しい精神はそのままに、そこに大人としての落ち着きが加わった、唯一無二の魅力を放つアーティストたち。彼らが開催する記念公演は単にお祝いの意味だけでなく、これからますます尖っていたいという気持ちの表れでもあるのだろう。そしてそれは、“人生100年”と言われるこの時代、人生の後半戦を始めるにあたっての鬨の声であり、上げられた狼煙でもありそうだ。

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