BTS、有観客ライブでARMYと念願の再会  “HOME”へと帰ってきた『PTD』ソウル公演レポ

BTS、ARMYと念願の再会

 「家に帰ってきた」「ここが僕たちのHOME!」

 BTSが約2年半ぶりに韓国での対面コンサートを開催した。『PERMISSION TO DANCE ON STAGE』(以下、『PTD』)の始まりは、昨年10月の無観客オンラインコンサートだった。そして11月にLA公演を経て、今年3月10日、12日、13日と念願の有観客ソウル公演へとたどり着いたのだ。

 “どんなに離れていても、私たちは繋がっている“そう何度もARMY(ファン)たちの心を温め続けてくれた楽曲「Permission to Dance」。世界中のARMYが、この曲に合わせてそれぞれの場所で踊り、ネット上でその動画をシェアしてきた。

 “いつかまたきっと会える”そんな希望をつなぎ続け、ようやく叶った今回の対面コンサート。そんなBTS待ちに待った想いを爆発させたソウル公演初日の模様を振り返りたい。

より洗練された“7人総出演”のセットリスト

 『PTD』の特徴は、すべての楽曲をメンバー全員で披露しているところにある。今回のソウル公演でも、その方針は変わらず7人フル稼働でパフォーマンスが届けられた。開演と同時にステージ上に現れた大画面スクリーンには「WE DON’T NEED PERMISSION」の文字。その後ろから、紅白の衣装に身を包んだ7人が登場する。

 「ON」のマーチングリズムでステージへと飛び出すと、髪の先まで計算されたかのように美しくキレのあるダンスが繰り広げられる。残念ながら、今回は感染症拡大防止対策のために観客数は4分の1に制限。歓声を上げることも、立ち上がることもできない。韓国のARMYたちに会うのは楽しみではあったものの、今回の公演はBTSにとっての新たな挑戦でもあった。

 「リズムに乗る準備はできた?」RMの呼びかけにも拍手やARMY BOMB(ペンライト)の動きでしかリアクションができない。マスク越しで表情も見えない。それでもARMYが心から楽しんでくれていると信じて彼らは花道を駆け抜け、センターステージで炎の特効をバックに「FIRE」を熱唱。力強いステップが鳥肌モノの群舞に思わず体をバウンスさせてしまうARMYも続出したはずだ。

 まだ3月の冷え込みがある屋外会場にも関わらず、すでにメンバーの額や首筋からは汗が光る。カメラを奪い合うように覗き込む演出がなされた「DOPE」では、RMが掴んだカメラが激しく揺れて壊してしまいそうなほどの勢い。JUNG KOOKがVの肩を組んだり、J-HOPEがサングラスをずらして覗き込んだりと、前半から一気にテンションを上げてパフォーマンスする彼らを見て、どれだけこの日を待ちわびてきたのかが伝わってくるようだった。

逆境を乗り越える方法は「一緒に」を忘れないこと

 3曲を歌い終えてMCに突入すると「心臓がバクバクしてるよ」とJIN。乱れた呼吸を整えつつ挨拶を始めると「歓声が上がればいいのに」と本音が溢れる場面も。するとSUGAが「声を出せなくて寂しいと思いますが、一番大事なのはこうやって一緒にいること」とナイスコメントを披露。すかさず観客に変わってメンバーが「おー!」とリアクションしてみせる。

 そんなほのぼのとしたやり取りもまた、今回の公演だからこそ見られたワチャワチャ感かもしれない。「いい時間になればと思います」(JIMIN)、「後悔を残さないように全力で頑張ります」(JUNG KOOK)との宣言通り、続く「DNA」では目を合わせて笑顔を交わし、この時間、この場所をメンバー自身が楽しんでいることがわかるステージングだった。

 かと思えば、ブルーグレーを基調としたロングジャケット姿で再登場した「Blue & Grey」、そして大量の羽が舞う中で披露された幻想的な「Black Swan」と、シックなステージもこなしていくのがBTSのポテンシャルの高さ。続く「Blood Sweat & Tears」「FAKE LOVE」でも動と静のメリハリに圧倒させられる。

 そして、再び春らしい爽やかな衣装にチェンジした「Life Goes On」では、メンバーが自撮りを繰り広げ、最後には「ARMYのみなさんも、キムチ!」と会場全体で集合写真を撮る演出も。「みんなのメールに送れないから、心でもらって」と笑いを誘い、そのまま全員で体をスイングさせるように「Boy With Luv」を歌った。

 ポップでキュートな仕草、表現者としての息を呑むような表情、そして多くの人を引き込んでいくパフォーマンス……。『PTD』のセットリストには、7人がARMYと共に歩んできたからこそ培われてきたものがギュッと凝縮されている。

 そして世界中を巻き込むヒット曲となった「Dynamite」「Butter」へと続く流れもまたBTSのこれまでを象徴しているかのようだ。「どんな危機があっても。一緒にいます、忘れないで!」(RM)いつだってそう前向きに語りかけてくれる彼らの姿勢に、さらなる進化を期待せずにはいられない。

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