海蔵亮太、「サイコパスのうた」で覚醒したシンガーソングライターとしての表現 岩﨑充穂との対談で紐解く意外な素顔

海蔵亮太×岩﨑充穂 対談

 海蔵亮太が、2月23日に3rdアルバム『コトダマ』をリリースした。2016、2017年で2連覇を果たしたカラオケ世界大会(KWC)を筆頭に、様々なカラオケ歌番組などで活躍し、ボーカリストとして注目を集めてきた海蔵亮太だが、今作では半分以上の楽曲で作詞作曲を担当。シンガーソングライターとしての手腕を堪能できる一枚となった。

 2021年には自身で作詞、初めて作曲した「サイコパスのうた」が、TikTokから人気に火がつきスマッシュヒット。海蔵亮太という存在を世に知らしめるきっかけとなった。そのバズを経て、シンガーソングライターとして覚醒した海蔵亮太は、どんな思いを持って『コトダマ』を制作したのか。本インタビューでは、同作の原盤制作ディレクターを務めた岩﨑充穂を対談相手に招き、海蔵亮太と共に今作の制作秘話を聞いた。(編集部)

「サイコパスのうた」で味わえた感覚がアルバムを作る上での原動力に

海蔵亮太×岩﨑充穂

ーー海蔵さんと、今回のアルバムの原盤制作ディレクターを務めた岩﨑さんは同じ事務所“ミラクル・バス”に所属されているんですよね。

岩﨑充穂(以下、岩﨑):そうですね。海蔵くんがアーティストとして所属している一方で、僕は制作部に所属し、アーティストの音源やアニメ・ドラマ・映画の音楽などを制作しています。海蔵くんのことは事務所に所属した当初から知ってはいたんですけど、制作に参加させてもらったのは今回が初になりますね。

海蔵亮太(以下、海蔵):事務所では何度もお会いしていたし、岩﨑さんがどんなお仕事をされているかはいろんな方から聞いていたので、「え、あの岩﨑さんと一緒に仕事ができるんだ!」ってかなりワクワクしました。

岩﨑:今回、海蔵くんの制作チームのメンバーが変わることになったので、そのタイミングで何かおもしろいことができたらいいよねっていうことで僕に声をかけてもらったのがこの話の始まりなんですけど。

海蔵:チームとしての環境がガラッと変わるタイミングで岩﨑さんに参加していただけることになったので、きっといい意味で変化が生まれるはずだっていう期待がありましたね。

ーー岩﨑さんは海蔵亮太というアーティストに対してどんな印象を持っていましたか?

岩﨑:最初は、歌が上手いな、テクニックがあるなっていう部分に注目していたんですよ。でも、ライブを何度も観させていただく中で、「もうちょっとこんな曲も歌って欲しいな」みたいな欲が出てきていたところもあったんです。海蔵くんの中にある、もっとおもしろい引き出しを開けてみたいと思ったというか。だから今回、制作に参加させていただけることになったとき、そういう部分を押し広げていくことに決めたんです。

海蔵亮太「サイコパスのうた」リリックビデオ

ーー今回のアルバムは海蔵さん自身が作詞・作曲を手掛けた曲が大多数を占めていて。そこがまずこれまでの作品とのもっとも大きな違いですよね。

岩﨑:そうですね。アルバムの制作をスタートさせるタイミングでちょうど、海蔵くんのYouTube動画のコメントがバズって、それを元にした曲が世に出たんですよ。

海蔵:僕が初めて作曲をした「サイコパスのうた」(2021年5月配信)ですね。

岩﨑:そう。言わば海蔵くんが初めて自己表現として曲を作ったわけですけど、それがすごくおもしろかった。「あぁ、海蔵くんはこういう曲を作るアーティストなんだな」って。

ーー海蔵さんが「サイコパスのうた」で、作詞はもちろん、作曲にまでチャレンジしようと思ったのはどうしてだったんでしょう?

海蔵:作曲なんてやったことがなかったし、自分には無理だろうってずっと思っていたんですよ。とにかく自分はいただいた曲をしっかり歌える人間になりたい。その気持ちが優先順位としてはずっと一番だったので。ただ、世の中がコロナ禍になり、心が落ち込んでしまうような状況が続いていく中で、自分の気持ちに変化が生まれたところがあって。「こんな言葉をこんなメロディに乗せたらおもしろいんじゃないかな」みたいなことを考えるようになり、それを実践することに対してワクワクとした楽しさを感じることができたんです。その結果、生まれたのが「サイコパスのうた」なんですけど、そこで味わえた感覚が今回のアルバムを作る上での大きな原動力になっていたような気はしますね。

ーー全11曲中、共作も含めると7曲で作曲に参加されていますよね。

岩﨑:「いつか」や「ここには」は海蔵くんの中でストック曲としてすでに存在していたものなんですけど、それ以外はアルバムに向けて新たに作ってもらった感じですね。

海蔵:ある意味、変わることを肯定できるようになったタイミングでもあったので、自分で作曲をした曲をたくさん収録することに対しては素直に「やってみたい!」と思えたんですけど、いざ作るとなると「ヤバイヤバイ」みたいな気持ちになることもけっこう多くて(笑)。とは言え、岩﨑さんをはじめとする周囲のスタッフの方たちの配慮もあって、あまりストレスを感じることなく自由に楽しみながら制作はできたと思います。自分から出た鼻歌のようなデモが岩﨑さんやアレンジャーさんの力を借りてどんどんブラッシュアップされていくのも感動的でした。

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