Dragon Ash、ロックバンドとしての歩みを止めなかった25年間 揺るぎない意志を体現した特別な夜

Dragon Ash、デビュー25周年公演レポ

 ライブもいよいよ終盤戦に突入。昨年にリリースした最新曲の一つ「ダイアログ」、エレクトロ×ロックの新結合によって生まれた近年の新たなライブアンセム「Jump」を経て、けたたましいブレイクビーツと激情のロックサウンドが交差する「Canvas」へ。そして、ここからラストにかけての4曲は、まさにハイライトの連続であった。これまで無数のステージを熱狂の彼方へと導いてきた「百合の咲く場所で」を経て、ラッパ我リヤと共に「Deep Impact」を叩きつける。〈日本を変える真の音楽と お前の鼓膜直接Contact/心に響く凄まじい爆発音 いよいよ壁は無くなるぞ〉というパンチラインは、まさにDragon Ashが全身全霊で体現し続けてきたミクスチャーロックの精神そのものであり、その一貫した信念は、もちろん現在においても揺らいではいない。

 そして、Dragon Ashの象徴である「百合の花」を曲名に冠した「Lily」へ。そのあまりにも美しいメロディは、いつ何度聴いても感動的であるが、何よりも強く心を動かされたのは、ラストのサビにおいて、ライトアップされた客席に向けてKj(Vo/Gt)が直接語りかけるように届けた次の言葉だ。

〈あと少し咲いて 泣いて 笑っていたいから繰り返し僕ら/間違いを犯し 許された昨日を/誰かを許す今日に変えていけるよ 咲き誇れ〉

 この楽曲はIKUZONEとの別れを経て、その喪失を乗り越えて再び走り始めた当時の彼らが掲げた「それでも、ロックバンドとしての歩みを止めない」という意志表明である。あれから何年も経った今も、この曲がこうして歌い鳴らされる光景は、やはりどうしようもなく感動的なものであった。

Dragon Ash

 そして、SATOSHI、KO-JI ZERO THREEをステージに迎えて、共に「ROCK BAND」を披露する。〈道半ばで散ったバンド その狭間で苦悩していくバンド/次第に満員わかしてくバンド 時代に大輪咲かす新しいバンド/夢物語だろうが いっそ夢ごと鳴らしたロッカーズ/俺達の歌終わんない これがバンドマンのone life〉というKjのリリックが、重みと深みをもって響く。それは言うまでもなく、25年分の重みと深みである。

 「25年間、俺たちの青春に付き合ってくれてありがとう」という言葉の後に披露されたラストナンバーは、最新シングル曲「New Era」だ。鮮烈なシンセサウンドが映し出していく壮大なロックの景色は、とても美しく輝かしいもので、絶え間なく進化を続けてきたDragon Ashだからこそ辿り着くことができた新たな地平なのだと思う。

 間奏で、Kjは「まだやり足りないから、もうちょっと続けていくね、俺たちは」と告げたことが象徴的であったように、全編を通して「バンドが続いていく」ことの輝かしい意義と「バンドを続けていく」という揺るぎない意志を伝えてくれるような、とても感動的な一夜であった。迷い、傷つき、挫け、泥だらけになりながら、それでも「The Show Must Go On」の精神を掲げながら進み続けるDragon Ashに、最大限のリスペクトを伝えたい。

■関連リンク
『DRAGONASH 25th Anniv. LIVE "THE SILVER LILIES"』
セットリスト・プレイリスト公開中
https://dragonash.lnk.to/20220221

Dragon Ash 25th Anniversary Special Site:https://www.jvcmusic.co.jp/dragonash/25th/
Dragon Ash official site:http://www.dragonash.co.jp/
Dragon Ash YouTube ch.:https://www.youtube.com/user/DragonAshCH

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる