家入レオ、貫禄の歌声で分かち合った再会の喜び ありのまま音楽と向き合ってきた10周年の集大成
そんな家入レオの変わらぬ魂の歌を連投した後は、晴れやかな未来を感じさせるような新曲「Borderless」を披露する。ゴスペル調の曲なので観客とともに歌えたらベストだったと思うが、コロナ禍のご時世なので我慢。だが、皆が心の中で大合唱していただろうし、その熱気はステージの彼女にも届いていたはず。そしてデビュー曲の「サブリナ」ではオーディエンスを「ジャンプ、ジャンプ!」と煽りながら、バンドのパワフルな演奏とともに歌い上げた。まだ17歳(楽曲制作時は15歳)だった当時の家入が、孤独も大人への反抗心も全部ぶつけたようなこの歌を、27歳になった今の彼女が抱きしめるような時間だった。歌というのは真空パックのように、その時々の想いを生々しく封じ込めるものだと思ってきたが、この夜の「サブリナ」を聴いていると、歌い手の力で、歌を幸せにすることもできるんだと思った。それがそのまま、家入レオが歩んできたデビューからの10年なのだろう。
オーディエンスの盛り上がりも最高潮のなか、続く本編ラストの「Hello To The World」では清々しい光に包まれたステージで、これからの自分を迎えに行くように熱唱する彼女と、飛んだり、腕を振り上げたり、思い切り動いて音楽を楽しむ観客たちの姿が目に焼きついた。
アンコールでは「みんな、パワーがすごい。ステージにガンガン届いてました!」と嬉しそうに話していた家入。その後、「すぐ側で歌っているみたいに距離感ゼロで歌います」と言って披露したのは「ずっと、ふたりで」。目を閉じると、心に寄り添うような優しい歌で、まるで魔法のようだった。最後の最後までプロフェッショナルなパフォーマンスで魅了し続け、オーディエンスと幸せを分かち合うような、特別なライブになった。
そして「お知らせがあります」と、秋から始まる全国ツアーを発表。「これからも自分らしく音楽を続けていきます!」と、10周年の大事な節目のステージを、大きな拍手に包まれながら晴れやかな表情で締めくくった。