『星野源のおんがくこうろん』音楽教養番組としての新しさ 本人コメントとともに紐解く

『星野源のおんがくこうろん』の新しさ

 1人の音楽家に焦点を当てていくというテーマの同番組。星野が音楽家に注目して音楽を聴くようになったきっかけは、13歳でギターを始めたときにあるという。

「楽譜やTAB譜を読みながらギターの練習をするより、耳で聴いて自分で音を探して弾く方が早いことに気づき、楽曲をとにかく注意深く聴くようになったのがきっかけです。色々な楽器のサウンドの違いや、和音の構成の仕方などが理解できるようになってきて、編曲家や楽器、プレイヤーの違いで音楽は全く変わるのだということがわかり、どんどん楽しくなっていきました」

 自身も作詞・作曲・編曲すべてに携わる1人の音楽家である星野。彼自身が音楽制作をする上でどんな瞬間に楽しさや喜びを感じているのだろうか。

「頭の中の音をそのまま出せたとき、とてつもない快感ですね。あとは、ある程度音ができてきて、歌詞を考えているとき、イマジネーションが広がってとても楽しいです。最終的にはミックスダウンの時が一番いろんなものから解放されるので、楽しいですね」

 ちなみに星野が最近気になっている音楽家として挙げたのは、ボー・バーナム。コメディアン、俳優、ミュージシャン、歌手、映画監督……とマルチな活動を見せるアメリカのクリエイターである。彼もまた、この番組の中で紹介されてきた音楽家同様、実に興味深い人生を歩み、現代ならではの多様なアウトプットを行っている。気になった方はぜひチェックいただきたい。

 最後に星野は視聴者へのメッセージとして以下のような言葉を残した。

「この番組の目的は、視聴者の皆さんの音楽の感受性を『田おこし』することにあります。音楽のことが詳しくない人や、これからいろんな音楽を知っていく子供達に、音楽の種を植えるきっかけとなる番組にしたい。さらに、音楽って聴いているうちに守備範囲が狭くなっていってしまうものだと思うので、固まりそうな耳の土をほぐしてもらう切っ掛けにもなったらいいなと思います。この番組を通して、音楽や音楽家の面白さを知っていただき、どんどん皆さんの『好き』を増やしていって欲しいと思います。この番組のタイトルにもある“こうろん”は、“好論”と“耕論”なのですから」

 最終回となる今夜の放送で特集されるのは、作曲家の中村八大。「上を向いて歩こう」や「明日があるさ」など時代を超えて愛される楽曲を数多く生み出した名手だ。番組では作曲家としての魅力に加え、高く評価されたジャズピアニストとしての才能にもスポットを当てて語りあう。

■番組情報
『星野源のおんがくこうろん 第4回 日本のスタンダード・ソングを作った天才ジャズピアニスト 中村八大』
NHKEテレ 3月11日(金) 午後10:30~11:00
出演:星野源 林田理沙アナウンサー
かいせついん:ゴウかいせついん(佐藤剛)ヨシかいせついん(高橋芳朗)

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