星野源、リラックスした空間に広がった温かい音楽 初披露曲も交えた『YP Live Streaming “宴会” 鳳凰篇』レポート

星野源『Live Streaming “宴会” 鳳凰篇』レポ

 3月8日、星野源が配信イベント『YP Live Streaming “宴会” 鳳凰篇』を開催した。

 本イベントは、星野源が年に1回発行するオフィシャル・イヤーブック『YELLOW MAGAZINE』に付属のWEBサービス「YELLOW PASS」に登録している会員のみ視聴できる有料の無観客オンラインイベント。昨年も開催され、その際はファンから大好評を得ていた。今回は2度目となる。この日は配信前からハッシュタグ「#YP_ENKAI」がすでにトレンド1位になっており、いかにこの日が待ち望まれていたかが窺えた。

 開始時間になると大きな本棚を背景に椅子が1つ置いてある部屋が画面に映り、そこに星野源がひょっこりと顔を出した。そしてギターを担いでおもむろに弾き語りを始める。1曲目は「エピソード」。ゆったりと爪弾く指先の所作が優しい。曲中でどこからともなく管楽器の音も聴こえてくる。いつもの日常の中に、彼の歌が自然と現れたような感覚があった。

 歌い終えると「それでは“宴会”始まります!」と言ってメンバーの元へ。会場は書斎のような本棚が並んだ部屋で、ほんのりと光る照明がいくつか置いてある。壁にはいくつか絵が飾られていて、脇にはバーも設置されている。ライトはゆっくりと色が移り変わっていくので、見ているだけでもリラックスした気分になれるセットだ。メンバーたちはそこで体を揺らしながら楽しそうに演奏していた。

 前回も披露した「ドラえもん」では、ギターやサックスが曲中で良いアクセントとなっていた。間奏で「笑点のテーマ」を挟み込むなど、オリジナルとは違ったアレンジにメンバー全員が笑顔を見せる。そして最後に“パフッ”が見事に決まると、一瞬で和やかな空気に一変した。これで空気がほぐれたのか、少々アップテンポの「ダンサー」では演奏陣の脚が小刻みに動いていた。疾走感の中にもドラムの存在感があり、しっかりと踏みしめる感覚もある。終盤でサックスソロが鳴り響くと、星野は手拍子しながら大きく歌い上げた。すると、ここで曲中に撮る予定だったカメラにフィルムが入ってないというアクシデントが発生。「フラッシュを焚いただけだった(笑)」と言って笑いが起きる一幕があった。こうしたシーンも生配信ならではの醍醐味だ。

 今回のライブは、本人曰く「やったことがない曲」が多く、「古い曲を新鮮な気持ちでやれて楽しい」という。「Nothing」もその1つ。もともと2020年に開催予定だった『Gen Hoshino presents “Assembly” Vol.01』(新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止)で披露するつもりだったというが、時を経てこの日の初披露となった。ナイトグルーヴィンなアレンジが冴え渡り、音の一つひとつが生き生きとしている。しっとりとしていて上品な趣があるが、それでいてエモーショナルな魅力もある。メンバーたちの演奏もひときわ感情が込められているようで息を呑んだ。

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