変態紳士クラブ、日々の不安や不満を吹き飛ばすエネルギー 極上の音楽でオーディエンス踊らせた初の日本武道館公演

変態紳士クラブ、初武道館レポ

 ラッパーWILYWNKA、レゲエ・ディージェイVIGORMAN、プロデューサー/トラックメーカーGeGの3人からなる変態紳士クラブが、2月20日初の日本武道館公演『変態紳士舞踏会 in 日本武道館』を開催した。

変態紳士クラブ(写真=cherry chill will.)
(写真=cherry chill will.)

 バーカウンターのセットが組まれたステージ近くで従業員に扮したメンバーが開店準備をする模様からライブがスタート。「変態紳士舞踏会、まもなくオープンです!」というアナウンスを経てオープニング演奏が流れると、新曲をいきなり披露。そのまま「On My Way」へと雪崩込み、3人の映像が大きく映し出される壮大な演出で圧倒させた。GeGのもとに集まったメンバーによるバックバンド、G.B.'s BANDの演奏も演出に負けないほどの凄みがある。竹村仁(Dr)と林拓也(Ba)が重低音響くビートを鳴らし、山岸竜之介(Gt)とTatzma the Joyful(Gt)が迫力を加え、中村エイジ(Key)とknockwide(Per)が演奏を彩る。彼らのハイレベルな演奏に感動したオーディエンスも少なくないだろう。

 「Get Back」からはレーザー照明も使われ、会場の大きさを生かしたダイナミックな演出も。さらに「このまま続けたら俺らどうなるんかな?」「この店もお前らもボロボロになります」というVIGORMANとWILYWNKAの煽りから始まった「ボロボロ」と「CIROC」が続き、盛り上がりは最高潮に。その勢いは留まらず「P-BOYZ」では伊藤修平(Cello)も加わり、より壮大なサウンドになる。炎が吹き出る演出は、演奏と同様に圧巻だ。「聴いた時に情景が浮かぶ音楽を作りたい」とVIGORMANが話してからは、まさにその言葉のとおりの楽曲が続く。夜空に雪が舞う映像がステージ後方に流れた「DOWN」では幻想的な空間を作り出し、MVと同じアニメーションが流れる中で歌われた「Sorry」では切ない雰囲気で会場を包みこむ。「Good Memories」もMVが流れる演出だった。この映像からは3人の良好な関係性が伝わってくる。その映像をバックに晴れやかな表情でパフォーマンスする3人の姿を観ていると、ここまで共に歩み、日々培ってきた信頼関係があるからこそ武道館にたどり着いたのだと感じる。「Eureka」ではkojikojiがゲストボーカルとして登場するサプライズがあった。女神のようなオーラを放つ彼女の美しい歌声によって、ライブがより素晴らしいものに彩られた。

 「最初のライブは10人ぐらいしかいなかったし、初めてのワンマンは250人キャパだった」と感慨深そうに語るメンバーたち。しかし「俺らの真髄は1枚目から変わっていません」と宣言し2017年にリリースした1st EP『ZIP ROCK STAR』から「ZIP ROCK STAR」と「UGHHHHH」をミックスして披露。そして「WAVY」で会場を心地よく揺らしてから、代表曲の1つである「すきにやる」で会場をぶち上げる。1st EPと同じ順番で披露された4曲。活動初期から彼らとともに音楽を楽しんできたファンにとっては、特に胸に刺さるパフォーマンスだったはずだ。

変態紳士クラブ(写真=cherry chill will.)
(写真=cherry chill will.)

 ここでメンバーのソロ楽曲を披露するブロックへ。VIGORMANが「ろくでなしの野郎どもの心に、こんなリリックを刺そうと思います」と宣言してから「ろくでなしの唄」を、WILYWNKAは「お前らと俺らのやり方でぶちかまそうぜ」と語り「Our Style」を歌唱した。GeGは美しい旋律のピアノソロを響かせた。その演奏から繋がるように「Merry Go Round」をミラーボールが回る中で披露。同曲では唾奇がゲストとして駆けつけるサプライズもあり、メロウな楽曲ではあるがしっかりと盛り上げていく。さらにサプライズは続く。「俺らの等身大の曲」と説明してから、新曲を披露したのだ。歌詞がスクリーンに映し出される演出で、楽曲のメッセージを真っ直ぐ届けた。

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