新譜連載「本日、フラゲ日!」
Vaundy、AI、SUPER BEAVER、iri、THE ALFEE……2月23日リリースの新譜5作をレビュー
毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は2月23日リリースのVaundy『裸の勇者』、AI『DREAM』、SUPER BEAVER『東京』、iri『neon』、THE ALFEE『天地創造』の5作品をピックアップした。(編集部)
Vaundy『裸の勇者』
小松菜奈がMVに出演した「踊り子」のヒットにより、2020年代音楽シーンの旗手としての存在感を改めて示したVaundyから、CDシングル『裸の勇者』が到着。タイトル曲「裸の勇者」(TVアニメ『王様ランキング』第2クールオープニングテーマ)は、繊細な悲しみや涙を振り払い、自らを鼓舞しながら希望を掴もうとする姿を描いたロックチューン。さらに、離れ離れになった“君”との関係を胸に刻みつつ、さらなる未来に進む姿勢を示した「二人話」、濃密なファンクネスをたたえたサウンドと〈変わらないから咲いた希望も枯れていくから〉というラインが突き刺さる「HERO」、そして“milet×Aimer×幾田りら”に提供した「おもかげ」のセルフカバーを収録。精緻にして大胆なサウンドデザイン、感情の起伏を増した歌など、さらなる進化を実感できる充実作だ。(森)
AI『DREAM』
AIが約4年8カ月ぶりとなるオリジナルフルアルバムをリリース。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)の主題歌としてヒット中の「アルデバラン」をはじめ、三浦大知との「IN THE MIDDLE feat.三浦大知」やダンサーのRIEHATAをボーカリストに迎えた「First Time feat.RIEHATA」など豪華なコラボ曲、代名詞とも言えるゴスペルはもとよりヒップホップやR&Bなどルーツに立ち返った楽曲など全9曲を収録している。サウンドプロデュースにはUTAやバーナード・ハーベイらグローバルなクリエイターが集結し、洗練された音作りを披露。AIの持ち味でもあるシンプルな言葉とパワフルな歌声は今作でも健在で、タイトルに込めた前向きなメッセージが説得力を持って伝わってくる。いつになく素のままのジャケット写真は、彼女が音楽に向き会う姿勢そのものにも思え、潔い。(渡部)
SUPER BEAVER『東京』
〈楽しくありたいと願うと 「誰かのため」が増える 人間冥利〉(「スペシャル」)、〈愛されていて欲しい人がいる/なんて贅沢な人生だ〉(「東京」)。メジャー再契約第1弾アルバム『アイラヴユー』以降、「名前を呼ぶよ」「愛しい人」といったヒット曲を生み出しながら、“あなた(オーディエンス)”の存在をさらに強く意識した活動と楽曲制作を継続してきたSUPER BEAVER。冒頭に紹介した2つの歌詞は、彼らの現在のアティチュードを強く示すとともに、バンドとリスナーの分かちがたい結びつきを証明している。ライブの臨場感を想起させるサウンドメイク、全ての言葉にグルーヴと意思を注ぎ込む渋谷龍太のボーカルを含め、まったくブレることのない音楽性にも心を打たれる。(森)