SUPER BEAVER、さいたまスーパーアリーナで“あなた”一人ひとりに届けた愛

SUPER BEAVER、一人ひとりに届けた愛

 「こんな愛に溢れたバンドは他にいない」と確信したライブだった。

 SUPER BEAVERが初のアリーナツアー『都会のラクダSP ~愛の大砲、二夜連続~』のファイナル公演を11月7日にさいたまスーパーアリーナで開催した。開演を待ちわびる空気の中、会場が暗転。ファンからの大きな拍手に迎えられながらステージに姿を現したSUPER BEAVERがオープニングナンバーに選んだのは、「ハイライト」。スタートからさいたまスーパーアリーナという広い会場いっぱいに力強い演奏と歌声を響かせ、圧倒的な感動をもたらした。「最後まで楽しむ準備できてますか?」(渋谷龍太 / Vo)と声を掛け、「突破口」へ。柳沢亮太(Gt)や上杉研太(Ba)がそれぞれ端まで移動し、ステージを最大限に活かしたステージングを見せ、渋谷も「わかってると思うけど、ちゃんと見えてるよ」、「1対1で音楽やろうぜ」と会場に集まった1万人のファン一人ひとりに向けてメッセージを投げかける。

 MCではリスナーに来場の感謝を述べたあと、この日はWOWOWで生中継をしていることを告知。その後、渋谷が「美しい日」をアカペラで歌い始めるとリスナーからの大きなクラップが鳴り響いた。サビではジャンプをする人も多く、「4人で成り立つステージを作るつもりはない、あなたと一緒にステージを作りたい」という渋谷の言葉を会場にいる全員で体現していた。

 「おはようございます。やっと目覚めました」という渋谷の言葉のもと、「証明」でさらにギアを上げていく4人。サビでは渋谷だけでなく上杉や柳沢らの歌声も重なり、「あなたがいないと成り立たない」というこの曲のメッセージがより強調されて伝わってきた。

 渋谷が大阪に向かう新幹線でコーヒーを盛大にひっくり返してしまい駅員含め7人で拭いたという、ツアーならではのエピソードを披露したMCを挟み、後半戦は渋谷がタンバリンをリズミカルに鳴らす「mob」からスタート。ステージには炎の演出も施され、会場のボルテージをさらに上げていく。続くロックナンバー「正攻法」では、ハイスピードなメロディに合わせて目まぐるしくライトが切り替わり、藤原“33才”広明(Dr)のブラストビートや柳沢のアグレッシブなギターが鳴り響く。次曲「愛しい人」ではステージ上のスクリーンに歌詞を映し出し、目と耳で愛しい人への思いを伝える。

藤原“33才”広明

 その後も、人を信じて愛し続けることをストレートに歌った「人として」や、映画『東京リベンジャーズ』主題歌としてもヒットした「名前を呼ぶよ」、ミラーボールやライトの演出が際立っていた「東京流星群」と人気曲を次々と畳みかける。人を信じることの大切さや、名前を呼ぶことが愛のある行為であるなど、わかっていたようで意識できてなかったことをSUPER BEAVERはいつも気づかせてくれるとしみじみ感じつつ、歌詞を噛み締めた。

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