a crowd of rebellionが結成15周年に開拓する新境地 星熊南巫コラボやゲーム主題歌から広がるリスナーの輪
a crowd of rebellionが結成15周年を記念した完全生産限定ミニアルバム『ABANDONSYSTEM__』をリリースした。2021年2月をもって高井佑典(Ba)が脱退した彼らだが、以降も宮田大作(Vo)、小林亮輔(Gt/Vo)、丸山漠(Gt)、近藤岳(Dr)の4人で活動を継続。昨年は8月に「ZENITH」、9月に「DISTRESS」と新曲を立て続けに配信リリースし、このミニアルバムが新編成で初のCD作品となる。
このミニアルバムには過去の作品とは異なる興味深いポイントが用意されている。それは人気のカードゲームアプリ『DUEL MASTERS PLAY'S(デュエル・マスターズ・プレイス)』のキャラクター、火の守護者グレンのテーマソング「ZENITH」と、スマホ向けRPGアプリ『オルタンシア・サーガ リローデッド』および『オルタンシア・サーガR 第二部』 の新テーマソング「Re:Create of the Re:d (feat. 星熊南巫)」という2曲を含むことだ。2015年3月にシングル『The Crow』でメジャーデビューして以降、さまざまな作品/楽曲を世に送り出してきたa crowd of rebellionだが、意外にもゲームのタイアップソングを手がけるのはこの2曲が初めて。彼らのような激しさとキャッチーさをあわせ持つメロディと、スクリーモをベースにしつつもボカロ以降のJ-POPや王道J-ROCKのわかりやすさ/親しみやすさが混在するサウンドやアレンジは、スピード感の強い展開を持つバトル系ゲームや壮大な世界観を誇るRPGにも最適であり、ここまでそういった作品に関わっていなかったこと自体に驚かされる。
新体制として最初の1曲となった「ZENITH」に対し、かつてメンバーの小林はTwitterでこの曲に対する熱い思いのみならず、『デュエル・マスターズ』をはじめとするカードゲームの思い出や情熱も語っている(※1)。新たな一歩を踏み出すこの新曲がかつて夢中になったカードゲームの世界を華麗に彩ることになるとは、子どもの頃は思ってもみなかった未来だったのかもしれない。そういった意味でも、幾重にも気合の入った1曲であることは想像に難しくない。
実際、この曲は重厚感と疾走感が絶妙なバランスでミックスされた、これぞa crowd of rebellionと断言したくなる仕上がり。冒頭のキラキラしたピアノ系のフレーズに続いて飛び込んでくる“轟音の壁”のようなバンドアンサンブル、宮田の堂に入ったスクリーム&グロウルと小林による透明感の強いハイトーンボイスの相性も抜群で、最強デュエリスト“五守護”のひとりである火の守護者グレンに寄り添った歌詞の世界観含め、『DUEL MASTERS PLAY'S』およびa crowd of rebellionどちらの個性も存分に発揮された最良のコラボレーションが実現している。仮にゲームの世界に寄り添った歌詞だと知らなかったとしても、この曲で表現されているストーリーは逃れられない戦いに挑もうとする際の姿勢とリンクするものもあり、特にこのコロナ禍でさまざまな困難と直面している人にとっても強く響くのではないだろうか。