A.B.C-Z、スキルフルなジャニーズの先駆け的存在 今改めて評価したいダンスや歌の実力
2022年、2月1日にデビュー10周年を迎えたA.B.C-Z。10周年当日には、初のベストアルバム『BEST OF A.B.C-Z』もリリースされた。同作には10年間の軌跡が辿れるこれまでの楽曲が収録されている他、ファン投票で決まった名曲やメンバーたちのソロ曲、ミュージッククリップやバラエティ映像などのコンテンツも充実している。入手必須の作品となりそうだ。
そんな彼らのグループ名「A.B.C-Z」を聞いて、何を思い浮かべるだろうか。バラエティ番組で活躍する河合郁人の姿かもしれないし、元気よく「金髪、筋肉、塚ちゃんです!」と挨拶している塚田僚一の姿かもしれない。メンバー一人ひとりのソロ活動も充実しているが、本稿では彼らの安定したパフォーマンス力に注目したい。
昨今、ジャニーズグループのスキルはかなり高まってきている。歌とダンスのクオリティが高いことはスタートラインに立つ最低限の条件になっており、どのグループもオリジナリティ溢れるパフォーマンス力を有している。そんなジャニーズグループの在り方の先駆け的存在であるのが、A.B.C-Zではないだろうか。
彼らのダンスは一人ひとり強い個性がある。スラリとした手足を活かした流れるようなダンスをする橋本良亮、キレがあって独特のダンススタイルを持つ戸塚祥太、しゃかりきダンスかつ指先の動きまで特徴がある河合、とにかく軽やかで細かな音ハメの仕草をも正確にキャッチしている五関晃一、安定感抜群で全体的に型が美しい塚田。これだけ個性があるのに一体感も失われていないのは、結成から約13年半共に活動してきたが故だろう。
さらにアクロバットの迫力も素晴らしい。例えば、A.B.C-Zのパフォーマンスの定番となっている「5STAR」。「5STAR」は巨大な観覧車のような装置を使ったアクロバットパフォーマンスで、腰に安全装置を付けているもののほぼ足と手の力のみでぐるぐると回っている。しかも、装置が自動的に回転するのではなく五関と塚田が遠心力を使って自力で回し始める。その後もスピードを落とさないために5人の息を合わせる必要があるし、止める時も自分たちで止めているという非常に高いスキルが要求されるものだ。本人たちは恐怖心があると語っているが、見る側がそれを微塵も感じずに安心してパフォーマンスを楽しめるのはA.B.C-Zだからこそできることである。