香取慎吾は“パーフェクトビジネスアイドル”で在り続ける 誕生日に振り返る、ファンと歩んできた道
本日1月31日は、香取慎吾45歳の誕生日だ。SMAPが結成された1988年当時、香取は11歳だった。彼がアイドルになって34年という驚異的な数字が、また1つ更新された。香取が誕生日を迎えるたびに思うのだ、これほど長い期間アイドルを全うしてきた人は他にいただろうかと。しかも、彼が自認するのは単なる“アイドル”ではない、“パーフェクトビジネスアイドル”なのだ。
僕は心を開かない
ビジネスアイドルじゃない心を開かない
パーフェクトビジネスアイドルだ!!!!!— 香取 慎吾 (@ktrsngofficial) February 14, 2018
ビジネス=プロとしてファンの前に立ち続ける覚悟
「何年か前に冗談めかして発言したら、最初はファンから“そんなこと言わないで”とも言われたけど、“いやいや仕事だから!”と。“仕事としてアイドルを頑張ります”と言い続けてきた。今ではそれが認められるようになって、ファンもよいパフォーマンスができると“よっ! 『パーフェクト・ビジネス・アイドル』”って言ってくれるようになりました(笑)」とは、2019年3月に『WWD』のインタビューでの言葉だ。(※1)
たしかに「ビジネス」や「仕事として頑張る」という言葉には、どこかドライな印象が漂うのもわかる。アイドルという職業に対して夢や希望といった感情的なつながりを感じるファンが多いからこそ、それが「ビジネス」であると面と向かって伝えられると、なんだか幻想から現実に引き戻されるような気分になってしまうのかもしれない。
ならば、香取の言う「ビジネス」や「仕事」という言葉を「プロ」に変換してみたらどうだろうか。「いやいやプロだから!」「プロとしてアイドルを頑張ります」……そう置き換えれば、私たちのよく知る“香取慎吾”という人をそのまま表す発言のように感じられるのではないだろうか。考えてみれば、10〜40代というのは少年から大人へと大きく変化する時期。肉体的にはもちろん、精神的にも別人のように変わる人も少なくない。
そんな中で“みんなの慎吾ちゃん”を貫き続けてきたプロ意識の高さたるや、そうそう真似できる人はいないだろう。その軸の部分を支えていたのは、自分だけの“好き”や“楽しい”だけではない、多くの人との約束である「ビジネス」という責任感が発生する“職業“としてのアイドルを早くから理解し、徹底してきた結果なのかもしれない。
プライベートをどこまで見せるかを徹底する心の強さ
「たとえば家の中を映すなど、プライベートに特化する方がチャンネル登録者数が増えると分かっているが、それはやらない。アイドルを続けてきて、見えない部分こそすごく大事で、どこまで見せるのかが肝だと痛感した。どこかで線引きをするのは、僕なりの大事なルールだと思っている」とは、2022年1月に日本経済新聞のインタビューでYouTube活動の方針について回答したときの一幕だ。(※2)
SNSが浸透したおかげで、多くの芸能人と繋がることができる世界になった。香取も2017年に新しい地図を広げて以降、Twitter、Instagram、ブログ、YouTubeと精力的に発信を続けている1人だ。だが、先の発言通りプライベートを垣間見ることはほとんどない。ブログに至っては『空想ファンテジー』と銘打ち、空想をテーマに創作ストーリーが綴られているほど。親しみや繋がりを感じられるけれど、ある一定のラインでしっかりと区切られている印象だ。
振り返れば、SNSを始める前から芸能界でも香取の連絡先を知る人はごく限られていることで知られている。親友の山本耕史でさえ教えてもらうのにかなり苦労したことでも有名だ。そんな慎重さを持って香取は自身のプライベートを管理してきた。それは、結果としてファンを傷つけることを避ける最善策だったように思う。
求めていない情報までも流出してしまう現代において、むしろせき止めていくことのほうがよっぽど難しい。それでも不本意な憶測が流れてしまうことは多々あった。そんなときにも、香取は何をどこまで話すかきっちりと見極めて発言していたことを思い出す。もしかしたら声を大にして「違う」「勝手なことを言うな」と叫びたかったときもあったかもしれない。人は“何を発信するか”に注目が集まりがちだが、“何も言わずにいられるのか”という点もプロ意識が表れるところ。どんな情報の風が吹き荒れようとも、粛々とやるべきことをこなす姿に、また私たちは香取の「パーフェクトビジネスアイドル」のプライドを感じた。