新しい地図の3人が歌い踊る新たな応援歌 時代を反映した「だったらDance!!」を聴いて

 “これこれ、この感じ!”と思った。1月1日に放送された『7.2 新しい別の窓 元日SP』(ABEMA、以下『ななにー』)で披露された「だったらDance!!」のことだ。

魂に刻まれた彼らの歌声

 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が歌う曲には、私たちの中にある目には見えないポケットのようなものにスポッと入ってくる感覚がある。初めて耳にするメロディであったとしてもすっと心に沁みるのは、約30年にわたって彼らの楽曲をテレビで、街で、あるいは学校などで触れてきたからだろうか。

 脳が、体が、心が、“知っているもの”として彼らの歌声を覚えているのだ。それは人によっては“おふくろの味”や”実家の匂い”と表現されるものに近い、深く深く刻まれた魂の記憶と言ってもよいかもしれない。

 「だったらDance!!」は、彼らにとって実に2年半ぶりの新曲となる。それほど間隔が空いているにも関わらず、やっぱり“この感じ!”となることに、どこか嬉しさのようなものさえ湧き上がってくる。

SMAPに通じるサウンドの盛り上がり

 3人の歌声に聴き馴染みがあるのはもちろんのこと、本曲に思わず心が踊ってしまうのは、作曲・編曲を手掛けているのが「SHAKE」「ダイナマイト」「BANG! BANG! バカンス!」など、SMAPのヒットソングを数多く手掛けてきたコモリタミノルだというのも大きな理由だろう。

 そのイントロを聴くだけで“始まった!”と気分が高揚してしまう「SHAKE」、サビに向けて一気に溜めていたエネルギーを爆発させるように歌う「ダイナマイト」、サビの〈BABY BANG! BANG! BANG!〉のメロディに合わせてつい一緒に手を振りたくなる「BANG! BANG! バカンス!」と、SMAPのアップテンポな楽曲のエッセンスが「だったらDace!!」にも垣間見ることができる。

 「だったらDace!!」は、「72かのナニかの何?」に続いて『ななにー』の二代目テーマソングとなったことから、その印象的なイントロはこれからさらに私たちの耳に馴染んでいくことだろう。そして〈隠されてるキミのクチビル ボクにだけ見せてよ〉とサビへ向かう盛り上がり、番組やYouTubeにて振り付け講座も行なわれたサビの〈だったらDance!! ジャンプして気持ちよくなっちゃお〉への流れが、私たちの中に刻まれたものと共鳴せずにはいられないのだ。

新曲『だったらDance‼』振付映像公開!!

時代を反映しながら時代を超える歌に

 “コロナ禍で大変なこと・苦しいこともあるけれど……「だったらDance!!」。体を動かし、笑顔でいい汗をかいて、心も体も健康になりましょう!”という願いのもとに作られた本作。作詞を手掛けたのは東京ゲゲゲイのMIKEYだ。歌詞にも〈世界中で隠れん坊 透明なアイツ〉には未知のウイルスを、〈隠されてるキミのクチビル〉とマスク生活を彷彿とさせるフレーズを見つけることができる。

 SMAP時代の楽曲も踏まえて振り返っていくと、彼らが歌ってきた楽曲は思い通りにいかない人の目線で語られることが少なくない。休みだから昼まで眠りこけたり、シャワーが壊れたり、退屈を飼い慣らす日々だったり、好きな人とすれ違ったり……そんなかっこ悪くて情けないような、聴き手の心をガシッと掴んでいく。

 そのシチュエーションは歌われる時代や歌の世界観によって異なるが、根底にあるうまくいかないところから頑張っていかなければならないという部分は変わらない。そんな誰もが抱える葛藤をポジティブに歌い上げ、「がんばりましょう」と背中を押してきた彼らだからこそ、国民的スターと呼ばれる存在になったのかもしれない。

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