KANA-BOON、初期曲から最新曲まで披露したツアーファイナル公演 ファンと心を通わせた新たな幕開け

KANA-BOON、復帰後初のツアーファイナル公演

 『KANA-BOON Re:PLAY TOUR 2021-2022』のファイナル公演が1月21日、Zepp DiverCity(TOKYO)にて開催された。コロナによる2020年のツアー中止や谷口鮪(Vo/Gt)の休養を経て行われた、待望のワンマンツアーだ。

 観客からの盛大な拍手に迎えられながら、小泉貴裕(Dr)、古賀隼斗(Gt)、サポートベースの遠藤昌巳がステージに登場してお辞儀をした後、谷口が現れる。「お台場ー!ツアーファイナル!本気でかかってこいよ!」とフロアに投げかけ、オープニングナンバーとなる「ないものねだり」を投下。サビの〈ゆらゆらゆらゆら〉をみんなで歌うお馴染みのコールアンドレスポンスはまだお預けだが、「コロナ禍で開催できたツアーだからこそ生み出せるものを諦めたくない。あなたにKANA-BOONのドラムを任せてみようかなと思います」と谷口。小泉のドラムをストップし、リスナーのクラップに合わせて谷口が歌うことに。ライブ開始からわずか5分、早くも会場がひとつになった瞬間だった。その勢いのまま「盛者必衰の理、お断り」をサイケデリックな照明と共にプレイ。谷口が寿限無を早口で読み上げる裏で繰り広げられる小泉のブラストビートも爽快で、会場の気温もどんどん上がっていく。間髪入れずに「フルドライブ」に繋げ、キラーチューンを容赦なく畳み掛ける。

KANA-BOON
 MCで行われたメンバー紹介では、谷口が「しっかり帰ってきました」と伝え、温かい拍手が送られる。続けて、「今日はいろんなKANA-BOONとの歴史をお互いに確かめ合うようなセットリストを用意したから、楽しんでほしい」と告げられた。最初の3曲に初期の楽曲を固めてきたのはこういうことだったのかと納得し、2013年のメジャーデビューから8年と少しの時間をこのライブでどのように振り返るのかワクワクしていると、「まだまだ踊り足りないんじゃないでしょうか」と、「ディストラクションビートミュージック」が披露された。

 〈キラキラと輝いているその姿は〉の部分に〈君さ〉と付け加えられる歌詞アレンジがされた「結晶星」、街中の何気ない情景が思い浮かぶメロディックなナンバー「街色」、チャレンジする人の気持ちを奮い立たせてくれる「ターミナル」を続けて届ける。KANA-BOONに出会ったときのことや、これらの楽曲がリリースされた時期のことを思い出しながら聴いていると、改めてKANA-BOONや音楽という文化と共に人生を歩んできたことを実感する。谷口と古賀がグータッチするシーンも見られた「Wake up」のあとは「もうワンギア上げていこうぜ!」という言葉を放ち、自由への解放を歌った疾走感溢れる「Torch of Liberty」、彼らをさらに世に広めるきっかけともなった「シルエット」を奏でた。

 MCで、この状況下でも大きい音が鳴らせることへの喜びやリスナーへの感謝、そして音楽が楽しくて有意義でこれ以上ない存在であることを述べ、「MUSiC」に繋げる。本曲のリリースは2013年だが、〈聞きたくないことばかり聞こえる世界だから そんなもんは聞こえないようにしてあげるよ〉という歌詞は、耳を塞ぎたくなるニュースも多くある時代を生きる今の私たちにとっても、救いになる言葉だ。谷口が曲終わりに言った「届いてるか!」という問いかけに、「届いているよ」と直接言葉で答えられないのがもどかしいが、リスナーの表情や心の中からの叫びできっと伝わっているだろう。リスナーと心を通わせた後の「まっさら」では、4人が向き合って絆を確かめ合うように音を鳴らしていたのも印象的だった。

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