ザ・ウィークエンド、新作『Dawn FM』楽曲が複数チャートイン 活動初期から現在まで記録的ヒットをおさらい
参照:https://charts.spotify.com/charts/view/regional-global-weekly/2022-01-13
Spotifyの「トップ50(グローバル)」は、世界的に最もストリーミング再生された曲をランク付けしたチャート。本連載では、同チャートを1週間分集計した数値のデータを元に、グローバルな音楽シーンの潮流をお届けする。第16回となる今回は、2021年1月7日~2022年1月13日集計のチャートを見つつ、今世界で最も人気があるアーティストの一人、The Weeknd(ザ・ウィークエンド)の活動をおさらいしたい。
ザ・ウィークエンド『Dawn FM』から複数チャートイン
17歳のシンガーソングライター、ゲイルが歌う、怒りのブレイクアップソング「abcdefu」が1位に返り咲いた。先週1位であったザ・キッド・ラロイの「STAY」は2位に順位を落とし、1月7日に5thアルバム『Dawn FM』をリリースしたザ・ウィークエンドの「Sacrifice」が3位にチャートイン。『Dawn FM』からは、10位に「Out of Time」、11位に「Is There Someone Else?」、13位に「Gasoline」、14位に「How Do I Make You Love Me?」とトップ20に複数曲チャートインしている。世界的人気ゲーム『League of Legends』の世界を舞台にしたアニメ『Arcane』の、Imagine DragonsとJ.I.Dによる主題歌「Enemy」が、6位にランクインした。
インターネット上で公開した初期の楽曲にドレイクも注目
カナダ最大の都市トロント出身のシンガーソングライター ザ・ウィークエンド。スムースな声とダークなリリック、オルタナティブなR&Bから80’sのダンスポップまでこなす、今最も売れているアーティストの一人である。
ザ・ウィークエンドは2009年に音楽活動を開始し、インターネット上に楽曲をアップしていた。2010年には、プロデューサーのジェレミー・ローズと制作した3曲を公開しており、これらの楽曲は同じくトロント出身のドレイクのブログで紹介されていた(※1)。当時は無名であった、ザ・ウィークエンドという名前の由来について、彼はRedditにてこのように語っていた。
私は17歳のときに高校を中退し、家を出ることを決心した。そしてラ・マー・テイラー(ザ・ウィークエンドのレーベル<XO>の共同創業者)にも同じことをするように説得したんだ(笑)。/ある“週末”、私たちは親のマットレスを友人の車に投げ、二度と家に帰ってこなかった。元々は『House of Balloons』のタイトルになるはずだったんだけど、自分の名前が嫌いだったから、ザ・ウィークエンドをステージネームとして使ってみたんだ。イケてると思った。カナダにThe Weekendというバンドが既にいたから、「e」を取り除いた。(※2)
2011年には、ザ・ウィークエンドはレーベル<XO>を立ち上げ、3枚のミックステープ『House of Balloons』、『Thursday』、『Echoes Of Silence』をリリースした。2012年に<Republic Records>とメジャー契約をし、これらの3枚をまとめたコンピレーションアルバム『Trilogy』をリリース。同アルバムは、Billboard 200で4位にチャートインした。2013年にはデビューアルバム『Kiss Land』をリリースし、R&Bとダークウェーブを合わせた作風が話題になった。
ザ・ウィークエンドのキャリアにとって大きな変化のきっかけとなったのが、2ndアルバム『Beauty Behind the Madness』(2015年)であろう。ドラマ『Fifty Shades of Grey』のサウンドトラックにも収録された「Earned It」は、グラミーでベストR&Bパフォーマンス賞を受賞(※3)。2ndシングル「The Hills」はThe Billboard Hot 100で1位を獲得し、後にアメリカレコード協会によってダイヤモンド認定されている。さらに3rdシングルとしてリリースされた「Can’t Feel My Face」でも再度1位を獲得(※4)。「Can't Feel My Face」は、後のザ・ウィークエンドのダンス・ポップ/ファンクのスタイルの礎となった曲と言っても過言ではないだろう。『Beauty Behind the Madness』は、Billboard 200で1位を獲得し、2015年で最もストリーミング再生されたアルバムとなった(※5)。
2016年にリリースされた3rdアルバム『Starboy』では、ダフト・パンクとのコラボ曲「Starboy」が The Billboard Hot 100で1位を獲得。ザ・ウィークエンドはダフト・パンクの大ファンでもあり、彼はダフト・パンクについてこのように語っている。
ダフト・パンクは、私が音楽を作っている理由の一つでもあるから、他のアーティストと比べることすらできない。彼らのブランディング、技術、イメージ、そして作品に対する真剣な姿勢ーーまるで彼らは現実ではないかのようだ。(※6)