きゃない、初のフルバンドセットで歌ったリキッドルームワンマン 路上で培った歌の物語性と力強さ

きゃない、リキッドルームワンマンレポ

 「魔法の日々」、「サイダー」とアップテンポな楽曲が続き、ライブは後半戦に。ここで来年4月から大阪と東京でのツアーをおこなうことが発表されると、熱気が高まった状態から「この曲をバンドでやるのは本当に久々です」と「HALLO」へ。温かみのある音色で優しく背中を押すような演奏を届け、「桃色」に繋がる。歌謡曲的な展開がキャッチーに響き、転調がダイナミックに彩りを加える。会場を温かい雰囲気に染め上げると「バニラ」では直球に愛を歌った。

 「次で最後の曲です」と知らせながらも小声で「アンコールお願いします」と付け足す茶目っ気を見せるきゃないは、慣れないリハーサルで気合を入れて歌いすぎたあまり本番が本調子ではなかったことを告白。「でもこれでいいんです。後悔はしてるけど、今一番楽しい」と語り、「路上ライブで目の前に誰もいないこともあった、それでも1年以上歌うしかなかった。それをくぐり抜けて今はこんなに味方がいる。ひとつやふたつの失敗も後悔も、今さら自分の人生を妨げるものではないんです」と噛みしめるように話した。そして「今日はいい日だった!」と言い切ると「コインランドリー」へ。〈今日はすごくいい日だった 悲しい事より嬉しい事に涙を流したいな〉と心の内を反映するように歌い、オーディエンスは力強く拳を挙げて応えた。

 再びステージに現れたきゃないは「17歳のときに初めて書いた曲です」と「愛の言葉」を披露。柔らかく歌声をコーラスとギターが優しく包み込んだ。最後は「NO MUSIC NO LIFE」。後半、長い空白ののちにしっとりとしたボーカルを披露し、ラスサビへと明るく展開した。

 「どうもありがとうございました! またどこかでお会いしましょう!」と再会を誓ったきゃない。彼にとってはイレギュラーな場所を路上で培った対応力とパワフルさで駆け抜けた。

きゃない オフィシャルサイト
https://kyanai.com/

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