和ぬか、2021年に上げた人気と知名度 日本中を踊らせた独特な“和と韻”から生まれる中毒性

 和ぬかは2022年に大きく飛躍するアーティストになるはずだ。2021年の活動や人気、知名度の上昇を目の当たりにすると、2022年は勢いをさらに加速する予感がするのだ。和ぬかの詳細なプロフィールは不明。わかっていることは現役大学生のシンガーソングライターということぐらい。そんな謎多きアーティストではあるが、2020年の活動開始直後から楽曲の持つ力によって人気を拡大してきた。特に「寄り酔い」はインターネットを中心に人気を集め、和ぬかの知名度を急上昇させた楽曲である。YouTubeに投稿されたMVは2021年12月時点で1900万回再生を超えている。

寄り酔い/和ぬか【Music Video】

 「寄り酔い」はミドルテンポの楽曲で、小気味よいアコースティックギターが、お洒落な印象を与える音色ではある。しかし、ビートに耳を向けると祭囃子のような跳ねるリズムがミックスされていて、ダンスミュージックとして聴くことができる。これは他のアーティストの曲ではなかなか聴いたことのないビートや音色だが、不思議とノリやすい、日本人のDNAに染み込んでいるようなノスタルジーを感じるリズムだ。そして、使われている音色も和を感じるものが多い。

 歌詞は韻を踏むフレーズが多く、まるでラップを聴いているような気持ちよさがある。その組み合わせによって耳に残る懐かしさや親しみやすさがありながらも、同時に新しい感覚も体験できる楽曲となっている。「寄り酔い」の歌詞はお酒を飲んだ帰り道がシチュエーションになっている。そのため大人だからこそ共感したり、感情移入できる内容でもある。歌詞ではヒリヒリとするような男女の恋愛的な関係を描きながら、どこかとぼけたような、人懐っこいサウンドとボーカルがクセになる。

ヨセアツメ/和ぬか【Music Video】

 「ヨセアツメ」も和ぬかにしか作れない楽曲だ。この曲も和のテイストとして三味線をイメージした音色が使われている。「寄り酔い」と同様に韻を踏み続けるサビの歌詞も印象的だ。〈妥協はできねえ ピリピリ戦況〉や〈アイワナ理性に押っ魂消〉など、和ぬかでなければ出てこないであろう独特な言葉を使っている部分も注目したい。独特で今まで耳にしたことがないような言葉なのに、語感が良いから聴いていて心地よい。斬新なのに落ち着くという、不思議な気持ちにさせる歌詞だ。「ブラウニー」の言葉を短く区切りつつも、韻を踏んで心地よいリズムを作り出す歌詞とメロディも流石だ。〈ブラウニー〉と〈ウォーアイニー〉で何度も韻を踏む歌詞は、思わず口ずさみたくなる。和ぬかの音楽は一度聴いたら忘れられないインパクトがありつつも、何度も聴きたくなる中毒性がある。それでいて大人にこそ響く歌詞の曲もあったりと、老若男女幅広い人を惹きつける魅力がある。これが和ぬかの個性であり魅力だ。

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