EXILE MAKIDAI連載「EXILE MUSIC HISTORY」第6回 EXILE AKIRAが明かす、メンバーとの出会いとクランプへの挑戦

MAKIDAI×AKIRA対談

 EXILE MAKIDAIによる「EXILE MUSIC HISTORY」は、EXILEが2021年9月にデビュー20周年を迎えたことを受けて、その音楽的な進化の軌跡を振り返る連載だ。

 最新のストリートカルチャーやダンスミュージックのエッセンスを、メロディアスで口ずさみやすいJ-POPに注入し、ダンスパフォーマンスによる視覚的な表現を掛け合わせることで、日本の音楽シーンに一時代を築いてきたEXILE。そのクリエイションには一体どんなイノベーションがあったのだろうか。日本の音楽シーンを代表するクリエイターたちの肉声に、MAKIDAIが迫る。

 第6回のゲストには、EXILE AKIRAが登場。2006年にEXILEに加入し、第二章の幕開けを印象付けたAKIRAは、もともと渋谷のクラブイベントでÜSAとMAKIDAIに声をかけられたことがきっかけとなり、EXILEメンバーとの交流がはじまったのだという。EXILE加入前の貴重なエピソードや、どのようにしてEXILEにクランプダンスを持ち込んだのかなど、現在のEXILEにつながるストーリーを明かしてもらった。なお、以下の映像ではLAのストリートでクランプを披露するAKIRAの姿や、EXILE初ステージのパフォーマンスなども収められているので、合わせてチェックしてほしい。(編集部)

【EXILE加入時の貴重映像も満載!】EXILE AKIRAが語る、EXILE魂の原点

RATHER UNIQUEが開拓した表現

MAKIDAI:「EXILE MUSIC HISTORY」第6回はAKIRAが来てくれました。

AKIRA:この連載は毎回読んでますよ。

MAKIDAI:9月27日でEXILEが20周年ということで、おめでとうございます。

AKIRA:MAKIさんこそ(笑)、(花束を贈呈しながら)おめでとうございます! MAKIさんやÜSAさん、MATSUさん、HIROさんなしでEXILEはスタートしていません。

MAKIDAI:おー、ありがとう(笑)。現役メンバーと集う機会は少なくなりましたが、AKIRAがキーマンとなってHIROさんから始まった活動への想いやスタンスを完全に継承して、新しいEXILEを築いてくれていると感じています。

AKIRA:ありがとうございます。

MAKIDAI:折角の節目なので、いろいろと振り返りたいと思うんですよ。そもそも、僕らの出会いは渋谷のクラブ・SIMOONでした。

AKIRA:2004年頃ですね。懐かしい、南口を出た先にあった小さなクラブで。当時、僕が出演していた仲間内のイベントになぜかMAKIDAIさんとÜSAさんが来ていたんですよ。ふたりとも未来のEXILE TRIBEのために仲間を探していたそうで「面白いラッパーがいる」という情報を聞き付けたそうなんです。そこで僕が運良く踊っていて、声をかけてもらったと。

MAKIDAI:踊りも際立っていたけど、本能で「あの人と何かやってみたいね」と思ったんですよ。それでRATHER UNIQUE( MAKIDAI、ÜSAらがMCを務めたヒップホップグループ。2003年〜2006年)に誘いました。

AKIRA:もともとMAKIさんがMATSUさんやÜSAさんとやっていたダンスチーム・BABY NAILが大好きだったんです。何度もダビングが繰り返されたビデオテープが静岡まで流れてくるほど有名なグループでした。映像のMAKIさんはすごく尖っていて、僕もそれを追いかけていたので、当時はより尖っていたと思います(笑)。

MAKIDAI:AKIRAは踊りながらスラングをシャウトしたりしていたほどで、それも含めてエネルギーが溢れてましたね。AKIRAの地元・静岡のイベントに呼んでもらった時に、AKIRAの運転する軽自動車で通ったあぜ道は忘れられない(笑)。あと、AKIRAは現在、EXPG ENTERTAINMENTの名誉校長ですが、まだスタジオがない頃は新宿村スタジオで生徒たちにレッスンをしてくれていて。

AKIRA:やっていましたね。

MAKIDAI:あの頃は毎日遊びまくりながら仕事してましたよ。

AKIRA:東京の知り合いが憧れのMAKIさん、MATSUさん、ÜSAさん、HIROさん、SHUNさん、ATSUSHIくんしかいないという贅沢な環境でしたから(笑)。ご飯に連れて行ってもらったり、お金がない時も助けてもらったり、いつも面倒を見てくださって。そういう毎日でしたから、厳しい現実に向き合うときとEXILEの皆さんと一緒にいるときのファンタジー感のギャップが大きかったですね。ひとりになった時に「まだ俺は何も成し遂げてない」と感じるのですが、ストリートから成りあがったMAKIさんたちと会うと夢を見ることができた。だから、任せてもらったEXPGでEXILEの役に立てたら、という一心で一生懸命にやっていました。

MAKIDAI:当時はMVの照明や衣装とかに関しても「じゃあ、これをやってみよう」とアイデアを出して、なにもかもを手作りでやっていましたよね。カニエ・ウェストが熊の着ぐるみを使ったら、それをオマージュしてみたりとか。

AKIRA:RATHER UNIQUEではMAKIDAIさんとÜSAさんがラップに挑戦していましたね。あれは普通のダンス&ボーカルグループとしての成功で満足せずに、視野を広げて次の活動の場所を常に開拓するという、今のLDHエンタテインメントの走りだと思います。僕がひとりで踊る「1パフォーマー」のグループは前例がなくて手探りでしたが、MAKIさんたちの「イエー、最高だね!」という賞賛が唯一の救いというか正解で。チャップリンみたいにひとりで駆け回って盛り上がって、ステージでやることがないときは客席の後ろの方でひとりで踊ってましたね(笑)。

MAKIDAI:縦横無尽でしたね。僕とÜSAからすれば、AKIRAが踊っていたハーレムシェイクなど、新しいダンスの感覚を自由に出してほしかったんです。「ここはこういう感じ」と決めるよりは、現場で正解を見つけて、それを実践していく楽しさがありました。

AKIRA:三代目 J SOUL BROTHERSのELLYが、ずっと「RATHER UNIQUEのMAKIさんやÜSAさんみたいにラップしたいんです」と言っていたんです。見ていてくれたんだな、と嬉しく思いましたよ。

MAKIDAI:ELLYは僕にも「RATHER UNIQUEの真面目バージョンをやりたいです」と話してくれたことがあります。こちらも真面目にやっていたつもりなのですが(笑)。でも彼がCRAZYBOYとしてラップしてくれたことで、GENERATIONSやTHE RAMPAGEなどJr.EXILEのグループでもマイクを握るパフォーマーがたくさん出てきましたし、さらに(白濱)亜嵐がDJにチャレンジしたりと、RATHER UNIQUEがパフォーマーの表現の可能性を広げるきっかけにはなったのかもしれません。

EXILE 第二章の幕開け

MAKIDAI:そして第二章に入る前に倖田來未さんとコラボした「WON'T BE LONG」でAKIRAがEXILEに入ってくれた。

AKIRA:実はTAKAHIROが加入する前にリリースもしているんですよね。

MAKIDAI:あのMVの時も当時のブラックミュージックに影響を受けていて、EXILEスラングで言うと「甘辛」な感じでした。今見てもいい感じだったりして、濃い作品になったと思ってます。

AKIRA:そういえばEXILEにオーディションなしで加入したのは僕だけなんですよ。他のグループと兼任していないのも、EXILE THE SECONDにひとりで入ったのも僕だけでした。すごく特殊な立ち位置だったなと、今になって思います。

MAKIDAI:そうだね。AKIRAがEXILEに加入した時は「センターを担える存在だ」と思いましたよ。それなりの苦労もあったと思いますけども。

AKIRA:当時は「EXILEなめんなよ」という熱量しかなかったですね。EXILEは僕の憧れでしたから。イベントでもテレビ番組でも「絶対負けないです」と言っていて、HIROさんに「何にだよ(笑)」とよく突っ込まれてました。

MAKIDAI:言ってたね(笑)。でも、「絶対負けない」というガッツは何かを突破するために必要な心構えですよ。「やると決めたらやる」というのがHIROさんイズムでもあります。

 そういえば、「HERO」のMV撮影の時もAKIRAはロサンゼルスに同行してくれましたね。その後、AKIRAのソロプロジェクトの『THE FOOL MOVIE ~Raw to Refined~』でロサンゼルスに行った時に、同じ場所で同じ振りをやってくれたのにも感動しました。

AKIRA:さらにGENERATIONSもロサンゼルスで「HERO」のパフォーマンスを披露して、EXILE TRIRBEの名物みたいになりましたよね。あの頃、毎日一緒にいさせてもらった流れで、HIROさんに「AKIRAも一緒に来れば?」と声をかけてもらったんです。ロサンゼルスで憧れの先輩たちと一緒にいることでテンションが上がって、無敵になった感じがしたのを覚えています。背の高い現地人とすれ違ってもドヤ顔で。

MAKIDAI:(笑)。

AKIRA:撮影の時は僕もビデオを回して、オフの時はメイシーズというショッピングモールでATSUSHI君と買い物。彼が柄シャツを大人買いしている姿を見て、「スターだ……」と感動していました。奢ってくれた食事は普通のフードコートでしたけど(笑)。

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