AliA、全力の想いが実った異例の「100円ライブ」 6人のアンサンブルで示した“音楽を届ける素晴らしさ”
AYAMEがステージ袖に捌け、楽器隊だけがステージに残った。空間を切り裂くようなERENのギターリフを突破口に、TKTのピアノとRINAのバイオインが艶やかな旋律を織り成す。BOBが打ち鳴らす破壊力のあるビートにはSEIYAの荒ぶる重低音が絡み合った。次々に主役の座を譲りながら表情を変えてゆくセッションの終わりに、AYAMEが勢いよく飛び込むと、そのまま「impulse」へ突入。激しく明滅する光のなか、反撃の狼煙を上げるように衝動的なロックを聴かせる。途中で時間が止まったかようなパフォーマンスで、混沌に満ちた楽曲の世界観を表現した「eye」のあと、圧巻は「あかり」だった。雑踏の音、ピアノの伴奏に乗せた歌い出し。8分の6拍子のリズムでゆったりと弧を描くようなバンドサウンドが止まり、AYAMEが渾身のアカペラで〈世界は今赤信号だらけだ/時代は今足踏み状態だ〉と歌った。その絶望から立ち上がり、〈火を灯していこう〉と高らかに歌い上げたその歌は、この時代に希望を照らす、独白にも、祈りにも似た歌だった。
「さぁ、声は出せなくても心の奥で一緒に歌ってください!」と呼びかけ、6人の求心力のもとに会場がひとつになった人気曲「かくれんぼ」のあと、最後のMCで、改めて集まってくれたお客さんに感謝を伝えたAYAMEは、いまバンドが抱く想いを伝えるべく言葉を尽くした。
「AliAは事務所に推されてるとか、まだリキッドルーム埋めただけでしょ? とか、散々言われてきました。もっと汚い言葉も言われてきました。超悔しかったです。でもここで負けちゃいけない、コロナに負けちゃいけない。そう思ってこのチームで頑張って作ってきた。このライブに、この世界観に命をかけて、ここからまたスタートしたいって私たちは思ってます」
ERENがギターを爪弾くなか、感極まったように声を震わせるAYAMEが「この6人でまだまだ上に行きたいです」と力強く宣言すると、最後は、12月22日リリースの最新アルバムのタイトルトラック「Me」で終演。スクリーンに豪奢な宮殿のような映像が映し出され、TKTがアップライトピアノを弾いた雄大なロックナンバーには、あなたのために歌い続けていくという熱い決意が刻まれていた。
「Me」を歌う前のMCで、AYAMEはこんなことも言っていた。
「『何かをやりたい』『これが好き』、その想いを絶対になくさないでください。コロナとか上司とか先輩とか友達とか。そういう言い訳はもうやめよう。大丈夫、私たちがついてる。好きなものを好きと言えるように、この場所があります。自分の想いだけは愛してあげてください」
これが、AliAがライブという場所を大切にする意味そのものだと思う。あなたの味方でいること、その人生を肯定すること。AliAにとってライブはそういう場所なのだ。
※1:https://twitter.com/YAME_69/status/1459130146519089161